
AudioThing Octaves 科学の測定器がクリエイティブな「フィルター」に化けた

「普通のEQやフィルターでは、音が綺麗になりすぎて面白みが出ない…」
シンセサイザーのテクスチャ作りやドラムループの加工で、もっと有機的で予想外の質感を求めている方は多いはずです。
AudioThingと実験音楽家Hainbachが共同開発した「Octaves(オクターブス)」は、そんな要望に応えるためのプラグインです。1960年代の「音響測定器」をベースにしたこのツールは、音を綺麗に整えるのではなく、積極的に色付けをして新しいサウンドを生み出します。
結論:Octavesは「音の質感を再構築する」ヴィンテージ・フィルターバンク
| 特徴 | 詳細 |
|---|---|
| エフェクトの種類 | 10+1バンドのパッシブ・バンドパス・フィルター |
| 得意なアプローチ | 特殊なテクスチャ生成、パーカッシブな音作り |
| 独自のギミック | フィルター自体を叩いて鳴らす「ピンギング」機能 |
| 価格(セール中) | 約¥3,339(通常約¥8,610) |
「正確なイコライザー」が必要なら他のプラグインを使うべきです。Octavesは、音響実験室のようなレトロで科学的なキャラクターを楽曲に加えたい時に真価を発揮します。

科学の道具が音楽のツールになるまで
Brüel & Kjaer 1613という測定器の歴史
Octavesのベースとなっているのは、Brüel & Kjaer 1613 Octave Filter Setというヴィンテージ機器です。
この機材はもともと音楽用ではありません。1960〜70年代に、空間の音響特性を測定するための科学的なツールとして使われていました。BBCレディオフォニック・ワークショップのような、初期の実験的な電子音楽スタジオでのみ存在したような特殊な機材です。
AudioThingはこの「科学のための道具」が持つ独特の音響特性に目をつけ、音楽的なツールとして現代に蘇らせました。
10+1バンド構成が意味するもの
プラグインのメインとなるのは、10個のオクターブ・バンドと1つの追加サブ・バンドです。
パッシブ回路(電源を持たない回路)の特徴をモデリングしているため、バンドを操作した際の音のカーブや重なり方が非常に滑らかで、デジタルEQ特有の冷たさがありません。
直感的にツマミを回すだけで、ラジオボイスのようなローファイ感や、特定の帯域だけが強調された奇妙な響きを簡単に作れます。
- BBCレディオフォニック・ワークショップ:イギリスのBBC内に設立された音響効果と電子音楽の制作部門。世界初の電子音楽スタジオの1つであり、シンセサイザー普及前にテープ操作などで前衛的なサウンドを生み出しました。
- パッシブ回路:電源や増幅器を使わず、抵抗やコンデンサなどの受動素子のみで構成された回路。自然で耳馴染みの良い温かい音が特徴です。
Octavesならではの「ユニークな機能」たち
フィルターを打楽器にする「ピンギング」とArtefacts
Octavesの最も面白い機能の一つがArtefacts(アーティファクト)ノブです。
実機でバンドを切り替える際に発生する「ポップノイズ」をあえて再現し、これをリズムに合わせてモジュレーションすることで、フィルター自体を「カン」「ポコッ」というパーカッションのように鳴らすことができます。
入力信号をきっかけ(トリガー)としてフィルターの共鳴音を鳴らすこの手法はピンギングと呼ばれ、アンビエントやドローン音楽で非常に重宝されます。
裏面パネルの「インピーダンス」ハック
UIのボタンをクリックすると、機材の裏面パネルにアクセスできます。ここにはImpedance(インピーダンス)設定という隠し機能が存在します。
このインピーダンス設定を変更すると、フィルターの回路特性が変わり、実質的なレゾナンス(共鳴)コントロールとして機能します。機材を自分なりに改造するようなワクワク感を楽しめる設計です。
予期せぬ音に出会うランダマイザー
Hainbachのコラボレーション製品らしく、直感的なプリセット・ランダマイザーを備えています。
サイコロのボタンを押すだけで、全パラメーターがランダムに設定されます。「自分の手癖では絶対に作らない設定」が突然目の前に現れるため、行き詰まった時の創造的な起爆剤として機能します。
- ピンギング(Pinging):極端に短いパルス音やノイズを強い共振(レゾナンス)を持たせたフィルターに入力し、フィルターそのものを「打楽器」や「ベル」のように鳴らすシンセサイザーのテクニック。
- インピーダンス:交流回路における電気抵抗のこと。オーディオ機器では、入出力のインピーダンスの組み合わせによって周波数特性や音質に大きな変化が現れます。
ジャンル別の実践的な使い方
どんな音楽でOctavesが役立つのか、いくつかの例を挙げます。
| ジャンル/素材 | アプローチ | 得られる効果 |
|---|---|---|
| アンビエント | インピーダンスを下げてピンギング | 長く続く水滴のような美しい共鳴音 |
| ローファイ・ヒップホップ | ドラムバスにかけて極端なバンド設定 | サンプリング音源のようなザラついた質感 |
| テクノ/IDM | Artefactsを有効にしてリズムでオートメーション | バンド切り替えノイズによるパーカッシブなトラック |
| シネマティック | サブ帯域(+1バンド)を強調 | 下腹部に響く不安をあおるドローンサウンド |
現代向けのアップデート
ヴィンテージ機材の再現でありながら、DAWの中で使いやすいモダンな配慮も忘れていません。
- 最大16倍のオーバーサンプリング:ノイズを抑えた高品位なオーディオ処理
- Input / Output / Mixコントロール:「Soft Saturation」による温かいドライブ感の追加
- リサイズ可能なUIと明るさ調整:高解像度モニターでの作業にも完璧に対応
「古き良き音質」と「現代の快適な操作性」が完全に両立しています。
- オーバーサンプリング:内部の処理解像度を一時的に高める技術。デジタル特有の不快な折り返しノイズ(エイリアス)を減少させ、アナログのような滑らかな音質を実現します。
まとめ:セール期間中にランダマイザーを試してみてください
AudioThing Octavesは、「科学の測定器を音楽のフィルターに転用する」というコンセプトが生んだ、非常にクリエイティブなプラグインです。
- 10+1バンドのパッシブフィルターが描くヴィンテージな質感
- Artefactsとピンギングで生み出すパーカッシブな響き
- 裏面パネルのインピーダンス設定を通じた改造的な音作り
- 新しいアイデアを瞬時に生むランダマイザー
現在、定価の61%OFF(約¥3,339)という非常に手頃な価格で入手できます(セールは2026年4月30日まで)。
まずはPlugin Boutiqueのページでデモ音源を確認し、自分自身のドラムループにこのフィルターをかけて「ランダムボタン」を押す体験を想像してみてください。あなたのサウンドデザインに、まったく異なる視点が加わるはずです。
【2026/4/14 ~ 4/30 まで AudioThing Octaves が 61%OFF】
¥8,566 ⇒ ¥3,321 (※価格は為替レートで変動あり)













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