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SH-101とは別次元!Cherry Audio SH-MAXの圧倒的な音作りと魅力を検証

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Cherry Audio SH-MAX

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中の人

SHシリーズのフランケンシンセ

アナログシンセサイザーの黄金時代である1970年代。その歴史の中で、ひときわ異彩を放ち、多くの電子音楽家を虜にしてきたのがRoland(ローランド)の初期SHシリーズです。SH-101のような後に続く軽快なモデルとは一線を画す、無骨で、実験的で、そして恐ろしいほど太いサウンド。

2026年、シンセ・エミュレーションの名手Cherry Audioが、その初期SHシリーズの「真髄」を一つに凝縮した、驚愕のハイブリッド・プラグイン『SH-MAX』をリリースしました。これは単なる復刻ではありません。SH-5の柔軟なルーティング、SH-7の多機能性、そしてSH-3Aの独自の波形合成。これらが現代のテクノロジーによって融合し、プラグインならではの16ボイス・ポリフォニーや強力なシーケンサーを身に纏った「最強のSH」として蘇ったのです。

この記事では、新製品SH-MAXがいかにしてヴィンテージ楽器の魂を継承し、現代の音楽制作にどのような革命をもたらすのか。その魅力を徹底的に解剖します。

Cherry Audio SH-MAX
Cherry Audio SH-MAX

目次

Cherry Audio SH-MAX誕生:70年代Roland SHシリーズの魂が一つに

アナログシンセの歴史を振り返る時、Roland SH-101の名前は避けて通れません。しかし、真に「音作り」の深淵を追求したギークなプレイヤーたちが愛してやまないのは、さらにその数年前に生まれた初期モデルたちです。

Cherry Audio SH-MAXは、そんな「知る人ぞ知る名機」たちにスポットライトを当てた製品です。ブランド名に「MAX」とあるように、これはこれまでのどのSHエミュレーションよりもパワフルで、可能性に満ちたものです。

Cherry Audioが挑む「初期SHシリーズ」の再定義

Cherry Audioというメーカーは、これまでもポリモーグやARP 2600といった伝説的機材を、驚くほど手頃な価格(SH-MAXも定価59ドルという破格!)で、かつ驚くべき精度で世に送り出してきました。今回のSH-MAXにおいて彼らが目指したのは、単一の機材のコピーではなく、「SHスピリットの集大成」です。

70年代のSHシリーズ、特にフラッグシップ級のSH-5SH-7は、まるでセミモジュラーシンセのように複雑な信号経路を持っていました。SH-MAXは、その入り組んだ回路を整理しつつ、現代のクリエイターが「欲しかった音」をすぐに出せるよう、UIを含めて再設計されています。


伝説の3機種(SH-5, SH-7, SH-3A)が融合したハイブリッド・モンスター

SH-MAXがなぜ「ハイブリッド」と呼ばれるのか。それは、このプラグインの随所に、Rolandがかつて誇った3つの名機の「DNA」が組み込まれているからです。

VCO、リングモジュレーター、ノイズ:5つの音源が織りなす厚み

SH-MAXのサウンド・ソースは、驚くほど豪華です。基本となるのは、Cherry Audioが得意とする精密なモデリングによるVCO。しかし、そこには単なるオシレーター以上の仕掛けがあります。

  • SH-7由来の多機能性: VCO-1とVCO-2には、SH-7が持っていた強力な同期(Sync)機能や、オーディオ・レートでのモジュレーションが可能です。これにより、攻撃的なハードシンク・サウンドや、FM合成に近い複雑な倍音変化をアナログの質感で得ることができます。
  • SH-3Aの特殊な波形: SH-3Aの特徴であった、複数のフィート(音域)の波形を混ぜ合わせる「additive-style oscillator」のニュアンスも盛り込まれています。これによって、一本のVCOだけでオルガンのような分厚いサウンドや、中域が強調された独特のリードサウンドを構築できるのです。
  • 柔軟なリング・モジュレーター: SH-5のリング・モジュレーターは、非常に音楽的で「使える」ノイズを生むことで定評がありました。SH-MAXでもその挙動が再現されており、ベルのような金属音から、予測不能なSF的なFXまで、音作りの幅を劇的に広げています。

これにより、単なる「太い音」だけでなく、金属的な倍音を含むリングモジュレーション・サウンドから、地を這うような重低音のサブベースまで、一瞬にして鳴らすことができるのです。

SH-5譲りのマルチモード&バンドパス・並列フィルター・セクション

SH-MAXの音色を決定づける最大の要因。それがSH-5から継承された並列フィルター構造です。

一般的なシンセサイザーは、1つのフィルターで音を整えます。しかし、SH-MAX(および実機のSH-5)には、標準的なマルチモード・フィルターに加えて、独立した「バンドパス・フィルター」が搭載されています。これらを並列に配置し、それぞれのフィルターに送る信号のバランスを調整することで、プラグインの平面的になりがちな音に、ハードウェア特有の「奥行き」と「立体感」を与えています。

具体的には、マルチモード・フィルターで全体的な音の明るさをコントロールしつつ、バンドパス・フィルターを特定の周波数(例えば1kHz付近の中域)に固定して共鳴させることで、ミックスの中でも埋もれない、芯の強いサウンドを作ることができます。これはボーカルのような存在感を持つリードシンセを作る際に極めて有効な手法です。

SH-7から受け継いだデュオフォニック機能とフィルターFM

1978年に登場したSH-7は、モノフォニック(単音)が主流だった時代に、2つの音を同時に鳴らすことができるデュオフォニック機能を持っていました。SH-MAXはこの機能を拡張し、現代的なポリフォニック(和音)への道筋を立てつつ、SH-7特有の「Filter FM」を再現しました。

オシレーターの音(オーディオ信号)をフィルターのカットオフ周波数の変調ソースとして使うことで、アナログ感溢れる過激なノイズサウンドや、咆哮のようなリードトーンを生成可能です。この「音で音を揺らす」という感覚は、最新のウェーブテーブル・シンセにはない、アナログ回路特有の粗暴さと美しさを同居させています。


ヴィンテージ・サウンドを極める:SH-MAXでの音作りTips

ここでは、SH-MAXの機能をフルに活用して、より説得力のあるヴィンテージ・トーンを作るための具体的なTipsを紹介します。

「VCO/VCF/VCA Drift」の黄金比

Cherry AudioのDrift機能は、単なるピッチの揺れではありません。電圧の不安定さからくる「魂」の再現です。おすすめの設定は、Driftの値を15〜25%程度に設定すること。これによって、和音を弾いた時の「うねり」が劇的に改善されます。特に、デコーディングした直後のようなクリーンなパッチにこのDriftを加えるだけで、まるで40年前からスタジオに置いてあった実機のような説得力が生まれます。

フィルターのルーティング:直列 vs 並列

SH-MAXでは、フィルター。セクションの柔軟性が最大の武器です。

  • 並列(Parallel): SH-5スタイルの複雑なトーン。低域をLPFで維持しながら、高域の特定の成分をバンドパスで強調する手法です。
  • 直列(Serial): より伝統的な減衰。2つのフィルターを重ねることで、通常のシンセでは得られない急峻なカットオフ(24dB/oct + 12dB/octなど)を実現し、究極にタイトなベースを作ることができます。

シーケンサーによる「有機的な」リズム

内蔵の4チャンネル・シーケンサーは、単に音を鳴らすためだけのものではありません。チャンネル2をフィルターのカットオフに、チャンネル3をレゾナンスに割り当ててみてください。ステップごとにフィルターの表情が変わることで、スタティックなループではない、呼吸するようなリズム・トラックが生まれます。



SH-MAXの真髄:並列フィルターと強力なモジュレーションが生む「怪物級」サウンド

シンセサイザーの魅力の半分以上は、パラメーターを動かした時の「変化」にあります。SH-MAXは、その変化の仕方が驚くほどオーガニックです。

アナログの「ゆらぎ」を再現:VCO/VCF/VCA Drift機能

デジタルの正確さは時に「退屈さ」に繋がります。SH-MAXには、Cherry Audioの最新技術であるDriftコントロールが搭載されています。これは、各コンポーネントのピッチや音量が、アナログ回路のように微妙に、かつ予測不能に揺れ動く様子を再現するものです。

この値をわずかに上げるだけで、複数のオシレーターが複雑に干渉し合い、コーラスをかけずとも音が壁のように広がる「あの質感」が手に入ります。

4チャンネル・ステップシーケンサー:モデル104へのオマージュ

SH-MAXの強力な武器が、内蔵されている4チャンネル・ステップシーケンサーです。これはRolandの初期モジュラーシステム用シーケンサー、Model 104をモチーフにしており、直感的でありながら非常に複雑なパターンを生み出すことができます。

ピッチを制御するだけでなく、各チャンネルをフィルターや音量のモジュレーションソースとして使うことで、生き物のようにうごめくベースラインや、パーカッシブなシーケンスを簡単に構築できます。


【検証】SH-101とはここが違う!SH-MAXを選ぶべき理由

さて、ここで多くの人が抱くであろう疑問があります。「すでにSH-101のエミュレーションを持っているけれど、SH-MAXは何が違うのか?」という点です。

構造上の根本的な違い

SH-101は、1980年代のダンスミュージックを支えた名機であり、その魅力は「シンプルで迷いのない操作体系」と「タイトな音」です。 対して、SH-MAXのベースとなっている70年代のSHシリーズは、より「無骨で、荒々しく、そして多才」です。

  1. フィルターの深み: SH-101は有名な3109チップによるスムースな効き。対してSH-MAXのハイブリッド・フィルターは、よりざらついた、倍音豊かな音色を持っています。
  2. オシレーターの数: SH-101は1VCO+1SUB。SH-MAXは実質的に2VCO+リングモジュレーター+ノイズという重戦車仕様。
  3. 音作りのレンジ: SH-101が得意とする「アシッドなベース」だけでなく、SH-MAXは「サウンドトラック的なドローン」や「凶暴なシンセリード」までをカバーします。

もしあなたが、単なるダンスミュージックの定番音色を超えて、「独自の音」を追求したいのであれば、SH-MAXの持つ複雑なルーティングは最高の遊び場になるはずです。


現代的なワークフロー:16ボイス・ポリフォニーと高度なエフェクト

ヴィンテージ実機の再現度が高いだけでは、現代の制作現場では通用しません。Cherry Audioはそこに、デジタルだからこそできる究極の利便性を加えました。

16ボイス・ポリフォニーの衝撃

オリジナルのSH-5やSH-7は単音、あるいは2音までしか出せませんでした。しかし、SH-MAXは最大16ボイス・ポリフォニーに対応しています。 ヴィンテージSHのあの「濃密すぎる音」でパッドを弾いたり、リッチな複雑な和音を鳴らしたりすることを想像してみてください。これは、かつてのオーナーたちが夢見ていた光景です。分厚いストリングス・サウンドや、ブラス・スタックも、SH-MAXなら圧倒的な説得力で作成できます。

また、ユニゾン・モードを活用することで、最大16音を重ねた殺人的なまでに分厚いベース・サウンドを作ることも可能です。Drift機能と組み合わせれば、もはやシンセの域を超えた、巨大な「音の壁」がスピーカーから溢れ出します。

20種類のスタジオ・クオリティ・エフェクト:4系統の柔軟なルーティング

Cherry Audio製品の魅力の一つに、豪華なエフェクト・セクションがあります。SH-MAXには、伝説的なラック機材やペダルを彷彿とさせる20種類のエフェクトが搭載されています。これには、往年のRolandコーラスを想起させるモジュレーションから、スタジオ品質のリバーブ、そして過激なディストーションまでが含まれます。

特筆すべきは、そのルーティングです。3つの音源系統それぞれに独立したエフェクトをかけ、さらに最終段でマスター・エフェクトを適用するという、非常に贅沢な設計になっています。例えば、VCO-1にはクリアなDelayを、VCO-2には激しいDistortionをかけ、それらを統合した後にMaster Reverbで包み込む、といった高度な音響処理が1つのプラグイン内で完結します。


ユーザー・インターフェースの魔法:所有欲を満たす3つのテーマ

SH-MAXの魅力は音だけではありません。その見た目、つまり「体験」も最高級です。

視覚から入るインスピレーション:3色のヴィンテージ・テーマ

Cherry Audioは、SH-3Aのシルバー、SH-5のブラック、SH-7のダークブルーといった、それぞれの実機をイメージした3つのインターフェース・テーマを用意しました。単なる色の違いのように思えるかもしれませんが、実機を知るユーザーにとっては、この「見た目」が音作りの際の思考に与える影響は無視できません。

  • SH-3Aテーマ: 清潔感のあるデザインで、緻密な音作りに向いています。
  • SH-5テーマ: 無骨なプロフェッショナル機材の風格。
  • SH-7テーマ: 複雑な変調を楽しみたい時の「実験室」のような雰囲気。

このテーマの切り替えは瞬時に行えるため、その日の気分や楽曲の雰囲気に合わせて最適な作業環境を選べるのは、他のプラグインにはない遊び心溢れる機能です。


スペックと動作環境:最新テクノロジーによる快適な動作

強力な機能を備えたSH-MAXですが、Cherry Audioの最適化技術により、現代のPC環境では驚くほど快適に動作します。

  • 対応OS: Windows 7以降 / macOS 10.13以降(Native Apple Silicon対応)
  • プラグイン形式: VST, VST3, AU, AAX および スタンドアロン
  • リソース消費: 16ボイス・ポリフォニーをフル活用しても、現代のクアッドコアCPUであればCPUメーターを圧迫することはありません。

また、300以上のプリセットはカテゴリー分けされており、「BASS」「LEAD」「PAD」「SFX」など、目的の音色に数秒でアクセスできます。プリセットを読み込むたびに、このシンセが持つポテンシャルの高さに驚かされることでしょう。


【まとめ】SH-MAXは究極のヴィンテージ・アナログ体験への招待状

これだけの機能を備え、圧倒的な「本物の質感」を持ちながら、Cherry Audio SH-MAXは非常に軽量で、最新のApple Silicon機でも軽快に動作します。

  • 伝説の融合: SH-5のフィルター、SH-7の変調、SH-3Aの波形が1つに。
  • 300以上の即戦力プリセット: 著名なサウンドデザイナーによる膨大なパッチが、あなたの制作のインスピレーションを支えます。
  • 驚異のコストパフォーマンス: 59ドルという価格で、数千ドルのヴィンテージ機材の集合体を手に入れることができます。

もしあなたが、昨今の「どれも似たり寄ったりなプラグイン」に飽きているなら、ぜひこのSH-MAXというタイムマシンに乗り込んでみてください。70年代のRolandが抱いていた、シンセサイザーへの熱狂と実験精神が、あなたの楽曲を新しい次元へと導くはずです。

Cherry Audio SH-MAX。それは、ヴィンテージの呪縛を解き放ち、自由な音作りを現代に蘇らせる、まさに「MAX」な選択なのです。今日からあなたの制作環境に、あの「太く、熱い」Roland初期SHの血脈を取り入れてみませんか?


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この記事を書いた人

櫻井徳右衛門のアバター 櫻井徳右衛門 音楽プロデューサー・ミュージシャン

希少種ギターメタラーDTMer

2020年10月より初心者DTMer・ギタリスト向けに音楽制作情報を発信するサイト https://guitar-type.com/ にてDTMプラグインレビューを始める。

2024年3月よりWEB上の活動の場を https://sakutoku.jp に移す。

VSTレビュー公開記事・触ったDTMプラグインは1,000個以上を超える。
ギタリスト・作曲家でもあり、音楽リスナーであることから聞くのも好きでイヤホン・ヘッドホンも集めはじめる。

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