「自宅のベース録音、何かが足りない…」そんな悩みを持つ全てのベーシストへ。
ついに、あのAguilarが公式プラグイン「Aguilar Plug-in Suite 」を2025年9月にリリースしました。
Tone Hammerのタイトなパンチ感、DB 751の芳醇なチューブサウンド、そして名機OctamizerやTLC Compressorまで、全てがMac/PCの中に。これは単なるシミュレーターではありません。あなたの部屋をNYの一流レコーディングスタジオに変える魔法のツールです。「実機と何が違うの?」「デジタル臭くない?」そんな疑問を解消すべく、徹底的に使い倒してレビューしました。読めば必ず、このプラグインが欲しくなるはずです。
Aguilar Plug-in Suite
目次
Aguilar Plug-in Suiteとは?ベース界の巨人が放つ最強プラグイン
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世界中のステージやスタジオでその姿を見ない日はないと言っても過言ではない、ベースアンプ界の巨人「Aguilar Amplification」。そのAguilarがついに、自社の伝説的な機材を完全再現した公式プラグインスイート「Aguilar Plug-in Suite 」をリリースしました。これまでも他社製のシミュレーターにAguilarのモデリングが含まれることはありましたが、本家本元がリリースするプラグインとなれば、その期待値は計り知れません。
このプラグインは単なるアンプシミュレーターではありません。Aguilarがこれまでに世に送り出してきた名機たちを、DAW上で自由に組み合わせ、無限のサウンドメイクを可能にする「バーチャル・ベース・リグ」なのです。自宅スタジオでDTMを行うベーシストはもちろん、プロのミキシングエンジニアに取っても、このプラグインの登場は事件と言えるでしょう。
なぜなら、Aguilarのサウンドは「モダン・ベース・サウンドのひとつの基準」だからです。クリアでハイファイでありながら、決して無機質ではなく、アンサンブルの中でしっかりとボトムを支える太さと温かみがある。あの「Aguilarトーン」が、重たいヘッドアンプやキャビネットを運ぶことなく、MacやPCの中で手に入るようになったのです。今回は、この注目のプラグインスイートについて、その収録ギアからサウンドの詳細、使い勝手に至るまで、1万文字を超えるボリュームで徹底的にレビューしていきます。
伝説的アンプとエフェクターがDAWに集結
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Aguilar Plug-in Suiteの最大の魅力は、なんといってもその収録ギアの豪華さにあります。Aguilarのラインナップの中でも特に人気が高く、多くのプロベーシストに愛用されているアンプヘッドとエフェクターが惜しげもなく投入されています。
収録されているギア一覧:Tone Hammer, DB 751他
このスイートには、以下の伝説的なギアが含まれています。これらを単体で実機として揃えようとすれば、数十万円、あるいは百万円近い投資が必要になりますが、それが一つのプラグインに凝縮されているのです。
Tone Hammer 500 : 軽量かつパワフルなソリッドステートアンプの傑作。モダンでパンチのあるサウンドが特徴で、Aguilarの代名詞とも言える「Aguilar Sound」を象徴するモデルです。
DB 751 : チューブプリアンプとMOSFETパワーアンプを組み合わせたハイブリッドアンプの最高峰。圧倒的なヘッドルームと、クリーミーでリッチなチューブドライブサウンドは、多くの著名ベーシストを虜にしてきました。
TLC Compressor : 独自のトランス・リニア・コントロール回路を採用したコンプレッサー。原音のニュアンスを損なうことなく、驚くほど自然にダイナミクスを整えてくれます。
Octamizer : アナログ・オクターバーの名機。重厚かつ有機的なサブベースサウンドと、卓越したトラッキング性能を誇ります。
Filter Twin : 2種類のフィルターを独立してコントロールできるエンベロープ・フィルター。ファンキーなベースラインには欠かせない、表情豊かなサウンドを生み出します。
Agro : ベース用オーバードライブの決定版。タイトでモダンな歪みから、攻撃的なディストーションサウンドまで幅広くカバーします。
Chorvangelist : 豊かで深みのあるコーラス・エフェクト。ベースの音像を広げ、美しい倍音を付加します。
Fuzzistor : ヴィンテージ・ファズのサウンドを現代的に解釈したモデル。荒々しくも音楽的なファズトーンを提供します。
Grape Phaser : シンプルながら効果的なフェイザー。ベースサウンドに独特のうねりと動きを与えます。
Aguilar Plugin Suite VERSION 1.2
TLC DLX Compressor EQ
Octamizer DLX
が追加されています。
これらのギアは、単に並べられているだけでなく、自由にルーティングを組むことができます。実際のペダルボードのように、自分の好みの順序でエフェクターを接続し、理想のアンプに繋ぐ。その自由度の高さも、このプラグインの大きな魅力です。
なぜ今、Aguilarのプラグインなのか?
「すでに他に良いアンプシミュレーターを持っているから不要では?」と思う方もいるかもしれません。しかし、Aguilar Plug-in Suiteには、他には代えがたい価値があります。それは「本家公式ならではの再現度」 です。
Aguilarは2021年にKORG傘下になっており 、Aguilarのユニークな音をKORGの技術でモデリングして生まれたプラグインとなっています。
KORGのモデリング技術はKORG Collection 収録のシンセを使ったことがある・音を聞いたことが有る人であれば、実機と聞き分けができない秀逸なサウンドであることはご存知でしょう。
これまでのモデリングプラグインも優秀なものはありましたが、どうしても「Aguilarっぽい音」止まりであったり、実機の持つ微妙なニュアンス、例えばピッキングの強弱に対する追従性や、ツマミを回したときの挙動の変化などが、完全に再現されていない場合がありました。しかし、この公式スイートでは、Aguilarのエンジニア自身が監修に関わり、実機の回路図や実際のコンポーネントの挙動を徹底的に解析しています。その結果、プラグインであることを忘れるほどのリアリティと、演奏していて心地よい「弾き心地」を実現しているのです。
特に、DTM環境でのベース録音においては、ライン録りの音が味気なくなりがちです。そこにこのプラグインを挿すだけで、まるで最高級のレコーディングスタジオで、マイキングされたAguilarアンプを鳴らしているかのような、空気感を含んだリッチなサウンドが一瞬にして手に入ります。これは、時間のない制作現場において、クリエイティビティを阻害しないための強力な武器となります。
圧倒的サウンド:Tone Hammer & DB 751 徹底レビュー
それでは、このスイートの中核を担う2つのアンプヘッド、Tone Hammer とDB 751 について、そのサウンドと機能を詳しく見ていきましょう。
Tone Hammer:モダンでタイトな「あの音」が手に入る
Tone Hammer
Tone Hammer 500は、近年のAguilarを代表するモデルであり、世界中で最も見かけるベースアンプの一つです。プラグイン版でも、その特徴である「Aguilar Sound」 が見事に再現されています。
まず驚かされるのは、その音の立ち上がりの速さと、中低域の密度の濃さです。フラットな設定でも十分に使える音ですが、EQセクションの効きが非常に音楽的です。特に中域のコントロール(Mid FreqとMid Level)が秀逸で、アンサンブルの中でベースを「前に出す」のか、それとも「底で支える」のかを、直感的にコントロールできます。
また、Driveコントロール を上げていったときの歪み方が非常に自然です。いわゆる「バリバリ」とした歪みではなく、音に厚みとサステインを加え、僅かにコンプレッションがかかったような、温かみのあるサチュレーションが得られます。このDriveの質感が、他のシミュレーターとは一線を画すポイントです。指弾きで強く弾いたときにだけ「グッ」と歪むような、ダイナミックな表現が可能になります。
スラップ奏法においても、Tone Hammerの特性は存分に発揮されます。高域の抜けが良く、かつ耳に痛くない絶妙なバランスで、パーカッシブなプレイスタイルでも音が散らばらず、タイトにまとまります。モダンなロックやポップス、R&Bなど、幅広いジャンルに対応できる「万能選手」と言えるでしょう。
DB 751:チューブドライブの圧倒的な音圧と温かみ
一方のDB 751は、Aguilarのラインナップの中でもフラッグシップに位置するモンスターアンプです。実機は非常に重く高価ですが、そのサウンドは唯一無二。プラグイン版でも、その圧倒的なヘッドルームの広さと、チューブプリアンプ特有のリッチな倍音がしっかりと再現されています。
DB 751のサウンドを一言で表すなら「芳醇」 です。Tone Hammerがタイトでモダンならば、DB 751はワイドで包容力のあるサウンドです。ローエンドの伸びが素晴らしく、5弦ベースや6弦ベースのLow-B弦を弾いたときでも、音が痩せることなく、地を這うような重低音を再生します。
特筆すべきは、やはりそのドライブサウンドでしょう。プリアンプ部に真空管を使用している実機の特性をモデリングしており、ゲインを上げたときの歪みは、まさにチューブアンプそのもの。温かく、太く、そしてどこかセクシーな艶を含んだ歪みは、ロックやブルース、ソウルなどのジャンルに最適です。ピック弾きでゴリゴリと刻むようなプレイでも、音が潰れすぎず、弦の分離感を保ったまま、強烈な音圧を生み出します。
また、DB 751独自のEQスイッチ(Deep, Bright)も忠実に再現されています。このスイッチ一つで、キャラクターをガラリと変えることができ、例えば「Deep」スイッチを入れれば、一瞬にしてレゲエやダブに最適な、超重量級のベースサウンドを作ることができます。
キャビネットシミュレーションのリアルさとマイキングの自由度
アンプヘッドの良さを活かすも殺すも、キャビネット次第です。Aguilar Plug-in Suiteには、同社の代表的なキャビネット(SLシリーズ、DBシリーズなど)のIR(インパルス・レスポンス)が多数収録されています。
ここで特筆すべきは、単にIRを選べるだけでなく、マイキングのシミュレーション が非常に細かく設定できる点です。使用するマイクの種類(ダイナミック、リボン、コンデンサーなど)はもちろん、スピーカーコーンに対するマイクの位置(センター、エッジ、オフアクシス)、そして距離までも調整可能です。
例えば、Shure SM57タイプのマイクをスピーカーのセンター寄りにセットしてアタックを強調し、同時にRoyer R-121タイプのリボンマイクを少し離してセットして部屋鳴りや低域のふくよかさを拾う。そしてそれらをミキサー画面でブレンドする…といった、プロのレコーディングエンジニアが行うような音作りが、マウス操作だけで簡単に行えます。
さらに、独自のIRローダー機能も搭載しているため、手持ちのお気に入りのIRデータを読み込んで、Aguilarヘッドと組み合わせることも可能です。しかし、正直なところ、標準搭載されているAguilarキャビネットのクオリティが非常に高いため、外部IRの必要性を感じることは少ないかもしれません。公式キャビネットならではの、ヘッドとのインピーダンスマッチングまで考慮されたような、一体感のあるサウンドは特筆ものです。
必須級のエフェクターペダルも完全再現
Aguilarといえば、アンプだけでなくエフェクターペダルも大人気です。このスイートには、プロのペダルボード常連の機種が網羅されています。
Octamizer:重厚かつ有機的なサブベースサウンド
アナログオクターバーの名機、Octamizer。このペダルの最大の特徴は、トラッキングの正確さと、作り出されるオクターブ下の音の太さです。デジタルオクターバーのような無機質な音ではなく、あくまで原音に寄り添うような、有機的でシンセベースのような太いサウンドを作り出します。
プラグイン版でもその追従性は健在で、速いパッセージでも音が途切れたり誤動作したりすることなく、しっかりと追従してくれます。また、Clean LevelとOctave Levelを独立して調整できるだけでなく、それぞれのトーンコントロールも付いているため、原音は抜け良く、オクターブ音は丸く太く、といった音作りが可能です。飛び道具としてだけでなく、楽曲のボトムを増強するための隠し味としても非常に優秀です。
TLC Compressor:原音を損なわずダイナミクスを整える魔法の箱
個人的に、このスイートの中で最も使用頻度が高いのがこのTLC Compressor です。ベース用コンプレッサーに求められる性能を全て満たしています。
多くのコンプレッサーは、かけると音が細くなったり、高域が曇ったりすることがありますが、TLC Compressorは驚くほど透明です(トランスペアレント)。原音のキャラクターを変えることなく、不揃いなダイナミクスだけを綺麗に整えてくれます。スラップのプル音のピークを抑えたり、指弾きの粒立ちを揃えたりといった用途に最適です。
Attack, Slope (Ratio), Threshold, Levelというシンプルな4つのノブ構成ですが、その守備範囲は広く、リミッター的な使い方から、薄くかけっぱなしにして全体のまとまりを良くする使い方まで対応します。プラグインになってもその操作性は変わらず、視認性の良いUIのおかげで、コンプの設定に慣れていない人でも直感的に扱えるでしょう。
Filter Twin & Chorvangelist:ファンキーで広がりあるサウンドメイク
Filter Twinは、2つのフィルターがそれぞれ逆方向(アップ/ダウン)に動くことで、人間の声のような複雑で有機的なワウ・サウンドを生み出すエンベロープ・フィルターです。ブーツィー・コリンズのようなファンキーなベースラインや、飛び道具的なソロプレイに最適です。ベロシティ(弾く強さ)に対する反応が非常に敏感で、指先のニュアンスでフィルターの開き具合をコントロールできる快感は、プラグインでも十分に味わえます。
Chorvangelistは、Aguilarのコーラスペダルです。ベースにコーラスをかけると、どうしても低域がぼやけてしまいがちですが、このペダルは低域の芯を残したまま、中高域に美しいうねりと広がりを与えてくれます。バラードでのメロディアスなプレイや、コード弾きをするときなどに、このChorvangelistを薄くかけるだけで、楽曲の世界観が一気に広がります。ステレオ出力に対応しているため、DAW上で左右に広がるリッチな空間演出も可能です。
Agro & Fuzzistor:モダンな歪みからヴィンテージファズまで
歪み系も充実しています。Agroは、Tone HammerのAGRO回路を独立させたペダルで、ミッドレンジにピークを持った攻撃的なディストーションサウンドが得られます。バンドアンサンブルの中で埋もれない、存在感のある歪みが欲しいときに重宝します。Saturationノブを回していくと、かなり激しく歪みますが、それでも音の芯が失われないのはさすがAguilarです。
一方のFuzzistorは、1970年代のシリコントランジスタ・ファズのサウンドをモチーフにしたモデルです。こちらはAgroとは対照的に、ゲート感のあるブチブチとした荒々しい歪みが特徴です。シンセベースのようなサウンドを作りたいときや、グランジ/オルタナティブロックのようなジャンルで、ベースで壁を作るような轟音を出したいときに最適です。Blendノブが付いているため、原音と歪み音をミックスして、音程感を損なわずに歪ませることができるのも実用的です。
プロ直伝!ジャンル別おすすめセッティング
ここでは、私が実際に制作で頻繁に使用している「すぐに使える」おすすめのセッティング例をご紹介します。Aguilar Plug-in Suiteの可能性を引き出すヒントになれば幸いです。
1. モダン・ロック/ポップス向け「万能Tone Hammer」設定
バンドサウンドの中で埋もれず、かといって主張しすぎない、理想的なベースサウンドです。
Amp : Tone Hammer 500
Drive : 12時〜1時(薄く歪ませてコンプ感を出す)
Bass : 1時
Mid Level : 2時
Mid Freq : 400Hz付近(ここが肝。少しブーストして音の芯を出す)
Treble : 12時
Cab : SL 112 × 2
Pedal : TLC Compressor(Ratio 4:1, Attack遅め)
この設定は、指弾きでもピック弾きでも対応できる「基準」となる音です。Driveの加減で楽曲の激しさに合わせることができます。
2. ネオソウル/R&B向け「極太DB 751」設定
ローエンドの包容力と、リッチな高域の艶を両立させた、セクシーなサウンドです。
Amp : DB 751
Deep Switch : ON(必須!これで重低音が出ます)
Bright Switch : OFF(落ち着いた音にするため)
Bass : 1時
Mid : 11時(少しカットしてドンシャリ気味に)
Treble : 1時
Cab : DB 410
Pedal : Octamizer(Clean 10, Octave 3 くらいの薄がけで厚みを足す)
5弦ベースとの相性が抜群で、キックドラムと一体化するような心地よい低音が得られます。
3. モダン・スラップ向け「ドンシャリ&コンプ」設定
マーカス・ミラーのような、パーカッシブで抜けの良いスラップサウンドです。
Amp : Tone Hammer 500
Drive : 9時(ほぼクリーン)
Bass : 2時
Mid Level : 10時(少しカット)
Mid Freq : 500Hz
Treble : 2時
Cab : SL 410x
Pedal : TLC Compressor(Threshold深め, Ratio 8:1, Attack早めでピークを叩く)
コンプでしっかりとピークを抑えつつ、アンプのEQでハイとローを強調することで、軽いタッチでもパキッとした音が鳴るようになります。
実際の使用感とサウンドデモによる検証
ここでは、実際に私が様々なプレイスタイルでAguilar Plug-in Suiteを使用してみた感想をお伝えします。
指弾き、スラップ、ピック弾き別のサウンド傾向
指弾き(Finger Style) : Tone Hammerを中心としたセッティングで試しましたが、指先のタッチがそのまま音になる感覚があります。優しく弾けば丸く温かい音、強く弾けば弦がフレットに当たるバズ音まで含めたアタック感が忠実に出力されます。特に200Hz〜400Hzあたりの中低域の充実感が素晴らしく、アンサンブルの中でベースの居場所をしっかりと確保してくれます。
スラップ(Slap) : ここではDB 751のアンプモデルを使用し、TLC Compressorを少し深めにかけてみました。結果は極上です。サムピングの重さとプルの鋭さが絶妙なバランスで共存し、いわゆる「ドンシャリ」になりすぎない、肉厚なスラップサウンドが得られました。高域は痛くないのに煌びやかで、モダンなフュージョンやポップスにそのまま使えます。
ピック弾き(Pick) : Agroを薄くかけ、Tone HammerでMidを少しブーストしたセッティングは、ロックベースの王道を行くサウンドでした。ピックのアタック音がジャリッとした心地よい成分を含み、ドライブ感のあるルート弾きが最高に気持ち良いです。ダウンピッキングで刻み続けたときの、スピーカーが空気を震わせるような「箱鳴り感」もシミュレートされているようです。
ミックスに馴染む「抜けの良さ」は健在か?
プラグインのアンプシミュレーターでよくある悩みが、「単体で聞くと良い音だが、オケに混ぜると埋もれる」という現象です。しかし、Aguilar Plug-in Suiteに関しては、その心配は無用でした。
実際にドラム、ギター、ボーカルが入ったプロジェクトにこのプラグインを通したベーストラックを混ぜてみましたが、驚くほど自然に馴染みます。そして馴染むだけでなく、しっかりと「抜けて」きます。これは、Aguilarのアンプが元々持っている周波数特性が、音楽的に非常に整理されているからでしょう。余分な超低域や、ボーカルと被る帯域が最初から程よくコントロールされている印象です。そのため、ミックス時のEQ処理が最小限で済み、作業効率も上がりました。
CPU負荷と動作の安定性について
高音質なプラグインというと気になるのがCPU負荷ですが、Aguilar Plug-in Suiteは比較的軽量に設計されています。私の環境(MacBook Pro M1, 16GB RAM)で、複数のトラックに立ち上げたり、オーバーサンプリング設定を高めにしたりしても、動作が重くなったりプチノイズが入ったりすることはありませんでした。
ライブでの使用も想定されているのか、レイテンシーも非常に低く抑えられています。オーディオインターフェースのバッファサイズを詰めれば、ほぼリアルタイム感覚で演奏することが可能です。これなら、ライブ会場にPCを持ち込んで、このプラグインをメイン機材として使うことも十分に現実的です。
導入前に知っておきたいポイントと競合比較
素晴らしいプラグインであることは間違いありませんが、導入を検討する上で気になる競合製品との比較や、コストパフォーマンスについても触れておきましょう。
他社製ベースアンプシミュレーターとの違い(vs Neural DSP etc.)
現在、ベースアンプシミュレーター界で最強の一角を占めるのがNeural DSP の製品群(Parallax やDarkglass Ultraなど)です。これらと比較してどうなのか?
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Parallax
Darkglass Ultra
結論から言うと「キャラクターが違う」 となります。 Neural DSP、特にDarkglass系は、どちらかと言えば「モダン・メタル」「ジェント」「ラウドロック」といったジャンルに特化した、深く歪みかつクリアなサウンドが得意です。一方、Aguilar Plug-in Suiteは、ジャズ、フュージョン、R&B、ファンク、ポップス、そしてロックまで、より「汎用性が高く、トラディショナルな良さを残したモダンサウンド」 が得意です。
歪み歪みした攻撃的なサウンドだけを求めるならNeural DSPやDarkglassに分があるかもしれませんが、指弾きのニュアンスを大切にする、温かみのある太い音が欲しい、様々なジャンルの楽曲に対応したい、という場合は、Aguilar Plug-in Suiteの方が守備範囲が広いです。
また、IK MultimediaのAmpliTube などと比較すると、Aguilar Plug-in Suiteは「Aguilar専用」である分、UIが洗練されており、迷いなく「あの音」に辿り着けるというメリットがあります。AmpliTubeは多機能すぎて音作りに迷うことがありますが、こちらは実機を触る感覚で直感的に操作できます。
価格とコストパフォーマンス:実機に比べてどれだけお得?
実機でこれだけの機材を揃えることを想像してみてください。 Tone Hammerヘッド:約10万円 DB 751ヘッド:約35万円 キャビネット(DB 410など):約15万円 エフェクター(各2〜3万円×6個):約15万円 合計すると70万円〜100万円近い金額になります。
それが、このプラグインスイートなら数分の一、あるいは十分の一以下の価格で手に入るのです(正確な価格は公式サイトや販売店でご確認ください)。しかも、実機は重くて持ち運びが大変で、メンテナンスも必要です。真空管の交換も不要、ケーブルの断線トラブルもなし。そう考えると、コストパフォーマンスは「異常」 と言えるほど高いです。場所も取りません。
もちろん「実機の空気を震わせる音圧」は実機にしか出せませんが、レコーディングされた音として聴く分には、もはや区別がつかないレベルに達しています。プロの現場でも、実機とプラグインを併用、あるいはプラグインのみで完結させるケースが増えているのも納得です。
Aguilarの歴史と『NYサウンド』の正体
最後に、少しだけAguilarというブランドの背景について触れておきましょう。 Aguilar Amplificationは、1995年にDave Boonshoftによってニューヨークで設立されました。当時のベースアンプ事情は、大きくて重いか、音が良いけど扱いづらいものが主流でした。そこで「プロのミュージシャンが現場で本当に使える、高音質で実用的な機材」を目指して作られたのがAguilarの始まりです。
Aguilarサウンドがしばしば「NYサウンド」 と形容される理由。それは、ニューヨークという街が持つ多様性と、そこで活躍するトップミュージシャンたちの要望に応え続けてきた歴史にあります。ジャズの繊細なタッチから、ソウルのグルーヴ、ロックのパワー感まで、あらゆるジャンルが混在するNYのシーンにおいて、求められたのは「楽器本来の音色を素直に出力しつつ、音楽的な温かみを加える」ことでした。
この「透明感(Transparency)」と「温かみ(Warmth)」の絶妙なバランスこそが、Aguilarの真骨頂であり、このプラグインスイートにも脈々と受け継がれているDNAなのです。
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まとめ:Aguilar Plug-in Suiteはベーシストの新たな武器になる
長くなりましたが、Aguilar Plug-in Suiteの魅力をお伝えしてきました。 最後に、このプラグインがどんな人におすすめなのかをまとめます。
どんな人におすすめ?(ジャンル・用途別)
宅録ベーシスト全般 : とにかく音が良いので、演奏していて楽しくなり、練習のモチベーションも上がります。
R&B、ファンク、フュージョン系のプレイヤー : Tone HammerやDB 751のクリーン〜クランチサウンドは、このジャンルに最適解を提供してくれます。
歌モノのバックを務めるベーシスト : 歌を邪魔せず、かつ存在感のある「良い伴奏」ができる音作りが簡単にできます。
多ジャンルをこなす職業作曲家 : プリセットを切り替えるだけで、60年代風のヴィンテージサウンドから、最新のハイファイサウンドまで瞬時に対応できるため、作業効率が格段に上がります。
実機のAguilarユーザー : スタジオやライブでは実機、家ではプラグインと使い分けることで、常に同じ感覚で音作りができ、プリプロの精度が上がります。
導入するだけで制作環境がアップグレードされる理由
機材を変えても腕は変わらない、とよく言われますが、「良い音は良いプレイを引き出す」 のも事実です。ペラペラの細い音で弾くよりも、リッチで反応の良い音で弾いた方が、間違いなく表現力豊かな演奏ができます。そして、その良いテイクが録音できれば、その後のミックスもスムーズに進み、最終的な楽曲のクオリティが底上げされます。
Aguilar Plug-in Suiteは、単なる機材シミュレーターを超えて、あなたの音楽制作のクオリティをワンランク引き上げてくれる「パートナー」となり得る存在です。もしあなたがベースの音作りに迷っているなら、ぜひ一度このプラグインを試してみてください。きっと、探していた「答え」が見つかるはずです。
さあ、あなたのDAWに、世界最高峰のベースリグを迎え入れましょう。
Aguilar公式サイトでのみ販売 https://www.aguilar.korg-kid.com/plugin-suite
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