本記事は、レビューのためにPluginBoutique Japan様から製品提供いただき作成しています
Universal Audioからエンハンサープラグイン「UAD A-Type Multiband Dynamic Enhancer」が登場。
先にDSP限定版が出ていましたが、2025年6月にネイティブ対応しました。
エキサイター・エンハンサーに苦手意識がある人は、この種のエフェクトに対して価値観が変わると思います。
エキサイターとエンハンサーは似ているけど、厳密には違いがあります。簡易にするため同じカテゴリとして話を進めます。(エンハンサーとエキサイターの違い >>)
マルチバンド対応のエフェクトってやっぱり難しく感じます。使いこなすまでにかなり時間がかかるし何度も挫折しちゃいました。
Ozoneにもエキサイターモジュールがありますよね。設定がうまくいかずこのモジュールに何度心を折られたことか………
良いプラグインなのに私はこのモジュールが使いこなせなかったです。
StudioOneを使っており、素の音が綺麗なのに対してエキサイターで持ちあげると、帯域を上げた箇所が過剰に聞こえていたのかもしれません。
私の場合は、エキサイターをつかったときの音が持ち上がるけどシャリシャリしすぎた感じが受け付けなかったのですが、
「UAD A-Type Multiband Dynamic Enhancer」のエフェクトを浅めにかけるだけで気持ちよく持ち上がってくれるのが非常に良かったプラグイン。
そして何より操作が簡単です。
UAD A-Type Multiband Dynamic Enhancerは、Universal Audioが開発したプラグインで、1960年代のDolby A-Typeノイズリダクション・システムをベースにしたマルチバンド・ダイナミックプロセッサーです。元々テープヒス低減のために設計されたこのハードウェアは、ボーカルや楽器に明瞭さと存在感を加える「秘密兵器」として、Queen、Fleetwood Mac、Stevie Wonder、AC/DCなどの名盤で活用されてきました。
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目次
UAD A-Type Multiband Dynamic Enhancer レビュー
UAD A-Type Multiband Dynamic Enhancer
メリット
- クラシックロックで利用されてきたエンハンサーを再現
- 上げたい所が素直に上がり、耳に痛くない
- 1画面完結でキビキビ動く抜群の操作性
UAD A-Type Multiband Dynamic Enhancerのレビュー!
「テープヒス低減のために設計されたノイズリダクション・システムの機材を、特定帯域のエンハンサーとして利用した」という歴史ある機材「ドルビーAタイプノイズリダクションシステム」のエミュレート。
引用:ドルビーAタイプノイズリダクションシステム
Queen、Fleetwood Mac、Stevie Wonder、AC/DCなどの名盤で活用されてきました。
音楽制作における「エンハンサー(Enhancer)」とは、
音をより聞こえやすく、明瞭に、魅力的にするための音響処理ツールやプラグインのこと。
エンハンサーというとSPECTREの画面のような帯域を指定して持ち上げる処理を細かく調整する印象が強いため、
UAD A-Type のようにスイッチを入れてノブを回す設計のものはインパクトが強かったです。
これで良い音でちゃうの?
という気分にはなりますよね……
それが出るんですわ!!
A-Type Multiband :OFF
[MasterBus] A-Type Multiband :AIR mode
使い方例
- ボーカルに「Air」モードを適用すると、歪みなく高域の輝きを加え、12~22%のMix設定で自然な効果を得られる。
- ドラムのルームマイクに「Crush」や「Gated」を使用すると、爆発的で特徴的なサウンドが得られる。
- ベースやアコースティックギターにサブハーモニックを追加し、低域を強化可能。
使うターゲットに応じて美味しい帯域が持ち上がるエンハンサー
他社のエンハンサーエフェクトとは異なり、「数え切れないほどのクラシックレコーディングで採用されているエキサイトモードとエアモードを搭載」したエンハンサー。
「過剰に持ちあがらないけど、適度に聞きやすい程度に自己主張してくれる音」という実に都合のよいエフェクトを実行してくれます。
デジタルエンハンサーエフェクトを利用してきて、
- エンハンサーで持ち上げたけど極端に持ち上がりすぎて聞きにくい……
- 最終調整が難しい……
- デジタルっぽさが強調されて嫌
と、感じていたならUAD A-Type Multibandの出番です。
しかもスイッチを押して、エフェクト量を調整するだけなので非常にシンプルです。帯域の指定は画面下のカートリッジ部分をクリックするとエンハンサーの帯域指定画面が表示されます。(Crush,Gateだと無効)
5つの処理モード
| 利用例 |
|---|
| Excite | 低レベル信号を強調し、ボーカルや楽器をミックスの前面に押し出す(「John Lennon Trick」としても知られる)。 |
| Expand | 過度に圧縮されたトラックにダイナミクスを復元し、ノイズ低減にも使用可能。 |
| Air | 高域に空気感とプレゼンスを付加し、ボーカルに自然な輝きを与える。 |
| Crush | グリッティなアナログサチュレーションを追加し、ボーカルやドラムに力強さを与える。 |
| Gated | 80年代風のゲートリバーブやパンチのあるドラムサウンドを生成。 |
UADプラグインはプリセットが大量に用意されているため、DTM初心者でも安心して使うことができます。
特殊なCrush,Gatedモード
実機にはなかったプラグイン独自のモードとして「Crush,Gatedモード」があります。
「Crushモード」はFETコンプレッサーの音を強めにかけたときに似たサチュレーションがかかる音色をガラリと変えるカラーボックスモード。
そして「Gatedモード」は80年代のバスっと切れて膨らみを強調できるゲートリバーブのような音に仕上げられます。
A-Type Multiband :OFF
A-Type Multiband : CRUSH ON
A-Type Multiband : CRUSH ON
Crushモードでは若干音量が持ち上がるので、音量が上がってほしくない場合にはOUTPUTの調整が必要です。
the Dolby air trick?
YOUTUBEに上がっている公式動画を見てもあまり惹かれませんでしたが、自分のDAW環境に入れてみると印象が格段に良かったプラグインです。
映像でジャッジするのではなく、必ず一度デモをおすすめします。
UADプラグインのデモは UA Connectを利用してダウンロードします。
UA Connect DL : https://www.uaudio.com/pages/download-uad-apollo
シグナルチャート
UAD A-Type Multiband Dynamic Enhancer 主な特徴
- ゲインモニタリング
- 3つのプロ級のサチュレーションモード
- 3つのカスタム圧縮タイプ
- 直感的なEQコントロール
- ダイナミックフォーカスEQ
- 11種類のカスタムFXモード
- ディエッサー&ゲート
- 高度なリバーブとディレイ
- 80以上のミックス準備済みプリセット
エキサイターとエンハンサーの違い
| 項目 | エキサイター | エンハンサー |
|---|
| 主な処理 | 倍音の生成・付加 | EQ+ダイナミクス調整 |
| 音の変化 | 明るさ、きらびやかさ | 抜け、存在感、立体感 |
| 使用目的 | 音を鮮やかに、活性化 | 帯域ごとの明瞭化・強調 |
| サチュレーション | あり(軽度の歪み) | なし(または少なめ) |
| 代表例 | Aphex Aural Exciter、Waves R-Axx | BBE Sonic Maximizer、Waves Vitamin |
✅ エキサイター(Exciter)とは?
高調波(ハーモニクス)を人工的に追加することで、音に輝きや存在感を加えるプロセッサー。
特徴:
- 失われた高域の倍音を「生成」する(特に録音やミックスで dull になった音源に有効)。
- 歪みに近い処理(軽度のサチュレーション)を使って倍音を足す。
- 「古い録音を明るく蘇らせる」用途に強い。
- 高域だけでなく、中域や低域用のエキサイターもある(マルチバンド型など)。
代表的用途:
- ボーカルの明瞭さアップ
- ドラムのアタック強調
- ミックスに空気感や抜けを加える
✅ エンハンサー(Enhancer)とは?
イコライザー処理+ダイナミクス処理で、音の明瞭度・広がり・インパクトを強調するツール。
特徴:
- EQで目立たせたい帯域を強調しつつ、ダイナミクス(コンプレッションや拡張)を制御。
- 位相操作やステレオ感の演出なども含まれることがある。
- 倍音の追加は必ずしも行わない(≠エキサイター)。
代表的用途:
特定の帯域を“前に出す”ための処理
マスタリング時に「全体の輪郭」をはっきりさせたいとき
トラック単体に「パンチ」や「抜け」を足したいとき
競合モデル
AudioThingから同じモデルを元にしたType A & Type B Bundle が出ています。
購入はこちら
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