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Project SAM Lineage Percussion!オーケストラ打楽器の無料版から始めるシネマティック制作

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オーケストラ打楽器って、どこから手をつければいいのか迷いませんか?

ティンパニ、グランカッサ、シンバル……本格的なオーケストラサウンドに必要な打楽器は種類が多く、ライブラリを買っても「使いこなせなかった」という話をよく聞きます。かといって安価なものを選ぶと音の薄さや録音クオリティの低さが気になって、結果的に使わないまま積みプラグインになってしまう。

そんなジレンマを解消してくれるのが「Lineage Percussion」です。

Project SAMがリリースしたこのオーケストラ打楽器ライブラリは、完全無料のFreeバージョンから試せて、満足したらPro版に移行できるという構成になっています。しかも無料版から空間配置やAdaptive Sync(テンポ追従ロール機能)といったプロ仕様の機能が使えるという、かなり太っ腹な設計。

2003年にリリースされた「True Strike 1」の実質的な後継ライブラリとして開発された経緯もあり、Project SAMの「これが集大成」という自信を感じます。

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目次

Lineage Percussionとは?

Lineage Percussionは、Project SAMが開発したオーケストラ打楽器専門のKontaktライブラリです。オランダ・ヒルバーウムのBroadcasting Music Centre(Symphobiaシリーズと同じコンサートホール)で収録された100%新録音を使用しており、音の格は保証されています。

バージョンは3つ:

バージョン収録楽器数ファイルサイズ価格
Pro70楽器・300以上のアーティキュレーション51GB€330(2026-06-09時点)
Core45楽器8.3GB€149(税別)
Free10楽器・13アーティキュレーション4.7GB無料

今回はFreeとProを中心にレビューします。


Lineage Percussion Free — まず無料版から始めよう

Lineage Percussion Free

収録楽器(10種)

Freeには以下の10楽器が収録されています:

  • Suspended Cymbal 1
  • Gran Cassa 1
  • Snare Drum Ensemble 1
  • Tomtom 1
  • Conga 1 & 2
  • Piatti 1
  • Rototom 3
  • Kashishi
  • Melodic Ensemble

数だけ見ると少なく感じるかもしれませんが、シネマティック・トレーラー系の制作でよく使うパーカッションはひと通り揃っています。Melodic Ensembleが入っているのも地味にうれしいところ。

無料版でも使えるプロ機能

Freeが優秀なのは、価格の壁がなく本格的な機能にアクセスできる点です。

マイクポジションはClose・Stage・Ambientの3系統が用意されており、ミックスで空間感を調整できます。4.7GBという容量にこれだけの機能が詰まっているのは正直驚きました。

Kit Builderも2基搭載されており、手持ちの10楽器を組み合わせて自分だけのキットを作れます。Pro版で70楽器を組み合わせる場合の操作感をそのまま体験できる、という意味でも「お試し」の域をはるかに超えています。


Lineage Percussion Pro — 70楽器・300アーティキュレーションの本命

収録楽器カテゴリ

Pro版は70種の楽器を以下のカテゴリで収録しています:

ピッチ系(9種)
ティンパニ、グロッケンシュピール、ビブラフォン、シロフォン、マリンバ、チューブラーベル、クロタレス(2種)、チェレスタ

ドラム系(14種以上)
グランカッサ、スネアドラム、ボンゴ、コンガ、ティンバレ、トムトム、ロートムなど

シンバル・ゴング系(6種以上)
サスペンデッドシンバル、ピアッティ、タムタムなど

その他打楽器・小物
カウベル、トライアングル、ベルツリー、アンビル、カシシなど

合計70種、アーティキュレーションは300以上。フル編成のオーケストラ打楽器セクションをほぼ網羅しています。さらに10のセット(同じファミリーからの楽器群)と14のキットが最初から用意されており、すぐに使えるコンビネーションが充実しています。


Lineage Percussionの主要機能

XY Stage(仮想空間配置)

最も印象的な機能がこの「XY Stage」です。

最大15楽器をXY座標上に自由配置し、パンニングと前後のマイクポジションを同時にコントロールできます。ティンパニを舞台中央に置いて、シンバルを左奥に引いて……といった作業がGUI上で完結します。実際のオーケストラ配置に近い感覚で操作できるので、音の奥行きを作る工程がかなり直感的です。

ミックスで打楽器セクションに立体感を出すのに苦労している人には刺さる機能だと思います。

Adaptive Sync(テンポ追従ロール)

ロールやクレッシェンドのタイミングを、プロジェクトのBPMに自動でシンクさせる機能です。

トレーラー系の制作では「映像の山場に合わせてロールがピタッと決まってほしい」という場面が多いはずです。従来はオートメーションやグリッド調整でなんとかするしかなかったのが、Adaptive Syncを使えばビート数または秒数を指定するだけで自動追従してくれます。テンポチェンジが複数ある楽曲でも機能するという点で、実用性は高いと思います。

Note Stacker

単一キー操作でカスタムコードを鳴らせるツールです。打楽器のコード演奏というイメージが湧きにくいですが、ピッチ系楽器(マリンバ、ビブラフォン、チューブラーベルなど)でシンプルなアンサンブルボイシングを素早く組みたいときに役立ちます。

Kit Builder(2基)

2系統のKit Builderで、任意の楽器を組み合わせたカスタムキットを構築できます。ジャンルや場面ごとにプリセットを保存しておく使い方が合いそうです。


Lineage Percussion

総合評価

音の質感は明らかに高く、録音された空気感が違う印象です。ヒルバーウムのコンサートホールで収録されているだけあって、残響のつき方が自然で、EQやリバーブで無理やり加工しなくてもそれらしいサウンドになります。

マリンバは「甘くきつい攻撃音と豊かで響く持続音」というSOS誌の評価が的確で、叩き感と余韻のバランスが絶妙。シロフォンは繊細なメロディラインから明るく鋭い音まで、同じ楽器とは思えないくらいバリエーションがあります。グロッケンシュピールのグリッサンドは質感が美しく、映像との相性が特に良さそうです。

メリット

  • Kontakt Player対応なので、フルKontakt不要で使える
  • 無料版でも空間配置・Adaptive Sync・Kit Builderを体験できる
  • ヒルバーウムのコンサートホール録音による高品質な残響
  • 70楽器300アーティキュレーションと圧倒的な収録規模(Pro)
  • 10のセット・14のキットで即戦力のスターターパックが充実

デメリット

  • タイコ、スルド、ジェンベといった現代シネマで定番の民族系大型ドラムが収録されていない
  • ビブラフォンでロングノートの通常演奏パッチが使えない(ビブラートシミュレーションのみという印象)
  • 51GBという容量はストレージに余裕のない環境では重い

Freeバージョンの完成度が想像以上でした。

「無料なのでとりあえず試す」という感覚で触り始めたのですが、クリアなパーカッションサウンドが特徴的。

私の場合は、先にHeavyocity Damage2を使っていたため、パーカッションといえばパワフルな存在感とヒット!という印象が強いのですが、Lineage Percussionの場合はクリアで、使う曲のジャンルを限定しない汎用性の高さが魅力的に感じられます。

サウンドステージの設定ができるため、音像の調整も便利。クラッシックなオーケストラホールから音像のハッキリ感が欲しいロックまで対応できます。

ボンゴ、コンガ、ティンバ、トライアングルといった広い収録幅があるのも良いですね。

──個人的には、まずFreeで操作感とサウンドを確認して、気に入ったらProへという流れが正解だと思います。


ジャンル別の使いどころ

シネマティック・トレーラー

このライブラリが最も映える場面です。XY Stageで楽器を舞台に配置し、Adaptive Syncでロールを山場のヒットポイントに合わせる。この2機能だけで、映像制作者の要求に応えるパーカッションサウンドが作れます。グランカッサとサスペンデッドシンバルの組み合わせはとくに強力です。

オーケストラ編曲・クラシック系DTM

ティンパニ、マリンバ、チューブラーベル、シロフォンのピッチ系楽器が充実しているため、オーケストラスコアの打楽器パートを全部このライブラリで賄うことができます。複数バリエーションの楽器が収録されているので、楽曲の強弱に合わせて楽器を選び分ける使い方も可能です。

エレクトロニカ・ポストクラシカル

民族系の大型ドラムが入っていないのは確かに惜しいですが、クロタレスやカシシ、ベルツリーといった「柔らかい金属系小物」が充実しているのはエレクトロニカと相性が良いです。ループやグリッドに乗せると、生音の質感をキープしながらも現代的なサウンドが作れます。

ゲームBGM・スコア

RGPやアドベンチャー系のスコアで使いやすいのが、10のセット・14のキットです。場面ごとに適したキットを呼び出すだけで、音楽監督が求めるパーカッションのバランスにすぐ近づけます。ビブラフォンの質感はRPG的な神秘感を出すのにはまります。


どんな人におすすめ?

  • オーケストラ打楽器ライブラリを初めて導入したい人(まずFreeで試せる)
  • シネマティック・トレーラー制作でXY Stageによる空間配置を試したい人
  • Symphobiaシリーズを使っていて、同じホール録音のパーカッションが欲しい人
  • Adaptive Syncのテンポ追従機能を映像制作のワークフローに組み込みたい人
  • 既存のパーカッションライブラリに「録音の格」を感じなくなってきた人

価格・購入情報

2026-06-09時点の情報です。

バージョン価格サイズ
Pro€330(公式サイト価格)51GB
Core€149(税別)8.3GB
Free無料4.7GB

必要環境:Kontakt Player バージョン 8.5 以上 / macOS 13以降 または Windows 10/11

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Lineage Percussion Free » ProjectSAM


FAQ

Q. Kontaktのフルライセンスがないと使えませんか?
A. 無料の「Kontakt Player」で動作します。フルKontaktは不要です。

Q. FreeからProへのアップグレードはできますか?
A. 公式サイトから直接Proを購入できます。差額でのアップグレードパス(クロスグレード)があるかどうかはProject SAMに直接確認することをおすすめします。

Q. タイコやジェンベのような民族大型ドラムは入っていますか?
A. 入っていません。Lineage Percussionの収録楽器はクラシカル・オーケストラ系に特化しています。民族打楽器を求める場合は他のライブラリを組み合わせる必要があります。

Q. 全バージョンで同じマイク設定が使えますか?
A. Pro版は4マイク系統(Close・Stage・Far+ステレオミックス)、Free版はClose・Stage・Ambient(3系統)です。Free版でもマルチマイク対応している点は見どころです。

Q. 14のキットはカスタマイズできますか?
A. Kit Builderで独自のキットを組み合わせて保存できます。Pro版の2基のKit Builderで70楽器から自由にアセンブルできます。

Q. Pro版とCore版の選び方は?
A. まずFreeで操作に慣れた上で、ピッチ系楽器(マリンバ・ビブラフォン・チューブラーベルなど)を本格的に使いたいならPro、クラシカルなシンフォニックパーカッションのコアセットで十分ならCore、という選び方が合うと思います。


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この記事を書いた人

櫻井徳右衛門のアバター 櫻井徳右衛門 音楽プロデューサー・ミュージシャン

希少種ギターメタラーDTMer
VSTレビュー公開記事・触ったDTMプラグインは1,000個以上を超える。
ギタリスト・作曲家でもあり、音楽リスナーであることから聞くのも好きでイヤホン・ヘッドホンも集めはじめる。

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