目次
ユーロビートとは?
ユーロビートは、速いテンポ(BPM120以上、通常140~160)、電子楽器を多用したダンスミュージックで、特に1990年代のイタロ・ディスコやHi-NRGにルーツを持ち、日本で独自に進化したジャンルです。
ユーロビートは、高速なBPM(通常130~150)、キャッチーなメロディ、派手なシンセリード、強烈なキックドラムが特徴のダンスミュージックです。Spire、Serum、VPS Avengerを使ったユーロビートの作り方を以下に簡潔にまとめます。これらのシンセはEDMやダンスミュージックに最適で、ユーロビート特有の「キラキラ感」や「パンチのある音」を作り出すのに適しています。
基本構成と準備
- DAW設定: DAW(例: FL Studio, Ableton Liveなど)でプロジェクトをBPM 140~150に設定。
- 楽器構成: ユーロビートは以下のような要素で構成されます。
- キックドラム(4つ打ち)
- スネア(2、4拍目)
- ハイハット(オフビートで刻む)
- ベースライン(オクターブジャンプやシンコペーション)
- シンセリード(Euro BrassやSuper Saw)
- コード(パッドやストリングス)
- アルペジオやカウンターメロディ
- プリセット活用: 各シンセにはユーロビートに適したプリセットが豊富。まずはプリセットを試し、必要に応じて調整。
2. シンセごとの役割と音作り
Spire (Reveal Sound)
- 特徴: シンプルなインターフェースで、鋭くクリアなリードやパッドが得意。ユーロビートの「Euro Brass」やリードに最適。
- 音作り例:
- シンセリード(Euro Brass):
- オシレーター: Saw波形を2~3つ重ね、ユニゾンでデチューンを少し加える。
- フィルター: ローパスフィルターをかけ、カットオフを高めに設定(明るい音色)。
- エンベロープ: アタックを短く、リリースを少し長めに設定し、ピッチを一瞬上げる
- エフェクト: リバーブとディレイを軽くかけて空間感を出す。
- パッド: 柔らかいコード進行用に、Saw波形にローパスフィルターをかけ、リバーブを強めに。
- おすすめプリセット: Spireの「Trance」や「Lead」カテゴリから選択し、モジュレーションで動きを追加。
- ヒント: Spireは直感的な操作が難しい場合があるので、理論的に音を組みたい人向け(
Serum (Xfer Records)
- 特徴: ウェーブテーブルシンセで、視覚的な操作性とクリアな音質が強み。リード、ベース、パッド全てに対応可能。
- 音作り例:
- シンセリード(Super Saw):
- オシレーター: Saw波形のウェーブテーブルを選択、ユニゾンを7~9ボイスに設定し、デチューンで広がりを出す。
- LFO/エンベロープ: ピッチにLFOをかけ、アタック時に一瞬ピッチを上げる
- エフェクト: Hyper/Dimensionで厚みを加え、ディストーションでパンチを。
- ベース: サブオシレーターとSaw波形を組み合わせ、ディストーションで太さを強調。サイドチェインでキックと調和。
- おすすめプリセット: 「SY Hypersaw Layered」や無料配布の「Loopmasters Free Serum Presets」など
- ヒント: Serumは初心者にも扱いやすく、リアルタイムで波形が動くので音作りが直感的
VPS Avenger 2 (Vengeance Sound)
- 特徴: 多機能で、サンプルベースの音やドラムも扱える。1台で曲全体を構築可能
- 音作り例:
- シンセリード: サンプルベースのSaw系プリセットを選び、ユニゾンで広がりを出す。モジュレーションでピッチを動かし、派手さを強調。
- ベース/ドラム: Avengerの内蔵ドラムサンプルやマルチサンプルを活用。キックは「Vengeance EDM」系プリセットが即戦力。
- コード/パッド: レイヤーされたプリセットを使い、リバーブやコ。
- ヒント: AvengerはCPU負荷が高いので、高スペックPC推奨。レイヤー機能を活用して1つのプリセットで複雑な音色を(参考:)。

3. アレンジのポイント
- イントロ: キックとパッドで徐々に盛り上げる。アルペジオやリードを少しずつ導入。
- ヴァース: ベースラインとキックを強調し、シンプルなコード進行(例: Am-F-G-C)を。
- サビ: シンセリード(Euro BrassやSuper Saw)を前面に出し、コードを厚く。スネアロールで盛り上げる。
- フレージング: シンセリードにオクターブジャンプやシンコペーションを加え、ユーロビートらしい「走り屋感」を
- サイドチェイン: キックに合わせてベースやパッドをサイドチェインコンプでダッキングさせ、リズムを強調。
4. ミキシングとマスタリング
- キックとベース: キックは100~150Hz、ベースは50~80Hzを強調。EQで棲み分けを。
- シンセリード: 2kHz~5kHzをブーストし、抜けを良く。コンプで音圧を均一に。
- マスタリング: リミッターで音圧を上げ、全体を明るく。ユーロビートは音圧高めが特徴。
ユーロビートで頻出する代表的なコード進行
. 王道進行(I–V–vi–IV)
- 例(Cメジャーキー): C – G – Am – F
- ユーロビートだけでなく、ポップスでも定番の進行。キャッチーで覚えやすく、サビに使われることが多いです。
2. 小室進行(vi–IV–V–I)
- 例(Cメジャーキー): Am – F – G – C
- 小室哲哉氏などが多用したことで有名な進行。日本のユーロビート風楽曲(J-EURO)にもよく登場します。
3. 鉄板ユーロビート進行(vi–V–IV–V)
- 例(Cメジャーキー): Am – G – F – G
- 緊張感を持続させながらエネルギーを出せる進行。テンポの速いユーロビートにマッチします。
4. 循環進行(I–vi–IV–V)
- 例(Cメジャーキー): C – Am – F – G
- 明るく前向きな印象を与える進行。イントロやAメロに向いています。
5. マイナー系ループ(i–♭VII–♭VI–♭VII)
- 例(Aマイナーキー): Am – G – F – G
- マイナー感を強調しながらもノリがよく、疾走感を演出できます。Speed系やInitial Dなどにも多い進行。
使用のポイント:
- テンポが早い(140〜160 BPM程度)ため、コードの切り替えがスムーズでシンプルな進行が好まれます。
- シンセリフやベースと組み合わせて、推進力のあるグルーヴを作るのがユーロビートの特徴です。
ユーロビートの有名な曲
Dave Rodgers – “Deja Vu”
- ユーロビートの代名詞で、「頭文字D」の主題歌として爆発的な人気。高速BPM、キャッチーなリードメロディ、力強いボーカルが特徴。
- シーン: 藤原拓海のAE86のドリフトシーンで流れる。
Manuel – “Gas Gas Gas”
- アップテンポでアグレッシブな曲。レースシーンのテンションを爆上げするトラック。
- 頭文字Dの後期シリーズで特に印象的。
Max Coveri – “Running in the 90s”
- 90年代ユーロビートのクラシック。シンプルかつ中毒性のあるメロディで、頭文字Dの初期シーズンで使用。
Niko – “Night of Fire”
- 情熱的なボーカルとシンセリードが融合した名曲。日本のユーロビートファンに愛される。
Mega NRG Man – “Burning Up for You”
- エネルギッシュでパワフルなトラック。スーパーユーロビートシリーズで人気。
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イタリアのダンスミュージックの背景
- Italo Disco: 1980年代にイタリアで大流行したジャンルで、ディスコ音楽の進化形。シンセサイザーや電子ドラムを多用し、キャッチーなメロディとポジティブな雰囲気が特徴(参考:)。ユーロビートのルーツとも言える。
- Italo Dance: 1990年代中盤から2000年代初頭に発展したジャンルで、ユーロダンスから派生。高速BPM、ピアノメロディ、ボコーダーやピッチ補正されたボーカルが特徴(参考:)。
- ユーロビート: Italo DiscoやItalo Danceから派生し、特に日本の「頭文字D」やスーパーユーロビートシリーズで人気。高速BPM(130~150)、派手なシンセリード、力強い4つ打ちが特徴。
3. その他のイタリアのダンスミュージック
- Italo Discoの名曲:
- Ryan Paris – “Dolce Vita”(1983): 80年代のイタリアンディスコのクラシック。アップビートでロマンティックなメロディ(参考:)。
- Black Box – “Ride on Time”(1989): イタリアのダンスグループによる世界的ヒット。サンプリングとピアノリフが特徴(参考:)。
- 現代のイタリアダンス:
- 2000年代以降、Benny Benassiの「Satisfaction」(2002)のようなエレクトロハウスがイタリアから生まれ、EDMシーンに影響を与えた(参考:)。
- Nu Geneaなど、ディスコやブギーを現代風にアレンジしたアーティストも活躍(参考:)。
4. ユーロビートとイタリアのダンスミュージックの特徴
- 音の特徴: シンセサイザー、ピアノメロディ、4つ打ちリズム、金属的なベースライン(参考:)。ユーロビートは特に「キラキラした」リードと高速BPMが際立つ。
- 文化的影響: イタリアのダンスミュージックは、ユーロダンスやEDMの基礎を築き、日本(特に「頭文字D」)やヨーロッパで強い支持を得た。スーパーユーロビートシリーズはavex traxを通じて日本で特に人気。
- 現代のシーン: Italo Danceは現在もレトロな音楽フェスティバル(例: Arena Suzuki)で愛され、一部のラジオで放送される(参考:,)。
ユーロビートで使われる主な楽器・音源
シンセサイザー(メロディ&リード)
- 特徴: 明るく鋭いシンセリードがユーロビートの核。鋸歯波(Saw Wave)や矩形波(Square Wave)を基調とした音色で、キャッチーなメロディを強調。
- 具体例: Roland TB-303やYamaha DX7、Korg M1などの80~90年代のシンセ音が定番。現代では、SerumやMassiveのようなソフトウェアシンセで同様の音を再現。
- 役割: イントロやサビで印象的なフレーズを奏で、楽曲の「顔」となる。
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ドラムマシン(リズム)
- 特徴: 強烈な4つ打ちキック(Four-on-the-Floor)とスネアがリズムの基盤。ハイハットやクラップでダンスビートの推進力を強化。
- 具体例: Roland TR-808やTR-909の音色が定番。特に808の重低音キックと909のシャープなスネアが特徴的。
- 役割: BPMの高さを活かし、ダンスフロアを盛り上げる駆動力を提供。
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ベースシンセ
- 特徴: 低域を支える太いベースライン。単音のシンセベースが多く、シンセリードと連動してリズミカルなフレーズを刻む。
- 具体例: Moog系のモノフォニックシンセや、ソフトウェアではSylenth1がよく使われる。
- 役割: キックと絡み合い、グルーヴ感を強化。低域の「うねり」を生む。
ピアノ/ストリングス(コード進行)
- 特徴: 明るくアップリフティングなコード進行を支えるため、ピアノやストリングスのパッド音が使われる。特にピアノは、跳ねるようなアルペジオやコードで楽曲に華やかさを加える。
- 具体例: Korg M1のピアノプリセットや、Roland Junoのストリングス音が代表的。
- 役割: メロディとリズムの間をつなぎ、楽曲にエモーショナルな要素を追加。
ブラス/ホーン(アクセント)
- 特徴: 派手なブラスヒットやホーンセクションが、サビや盛り上がりでアクセントとして登場。
- 具体例: Yamaha DX7のブラス音や、サンプルライブラリから引用されるホーン音。
- 役割: 楽曲のダイナミクスを高め、盛り上がりを強調。
ボーカルサンプル/エフェクト
- 特徴: ショートボーカルフレーズ(「Come on!」「Let’s go!」など)や、ピッチシフトされたボーカルチョップが使われる。リバーブやディレイで空間感を出すことも多い。
- 役割: ダンスミュージックのエネルギーをさらに高め、聴衆を煽る。
ユーロビートの音作りのポイント
- エフェクト処理: シンセ音にはリバーブやディレイを軽くかけて空間感を出す。キックとベースはサイドチェインコンプレッションで低域の衝突を避け、クリアなミックスを確保。
- 周波数バランス: ユーロビートは高揚感が命なので、ミッド~ハイミッド(2kHz~5kHz)を強調して明るさを出す。Sonnox ClaroのようなEQプラグインを使えば、Mixモードでキックとベースのマスキングを解消し、クリアなサウンドを構築しやすい。
- アレンジ: イントロ→ビルドアップ→サビの展開が典型的。サビではシンセリードとボーカルが主役になり、ピアノやブラスで盛り上がりを強化。
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