KORG Prophecyは、KORGの歴史を作ってきた名シンセの1台。
90年代の伝説的シンセで、 MOSS技術による—アナログ、FM、物理モデリングで無限の表現力が得られるシンセ。
時代を感じられる音楽を彩る多彩な音色を鳴らすことが可能です。
実機は最大同時発音数1音のモノフォニック・シンセサイザーですが、もちろんプラグイン版では和音が鳴らせます。
目次
KORG Prophecyの導入メリット
使用事例:The ProdigyやAutechre、George Michaelなどの作品で、Prophecyの独特な音色が活かされており、特に1990年代のダンス/エレクトロニカシーンでその存在感を発揮しました。
ソフトシンセ版の「KORG Prophecy」では実機同様のインターフェースと音の質感で音作りが可能です。
- 多様な音作りの可能性
- MOSSエンジンにより、アナタログシンセ、VPM(FMシンセに似た変調方式)、物理モデリング(弦楽器、管楽器、打楽器のシミュレーション)など、9種類のオシレータータイプを搭載。幅広い音色作成が可能。

- 2つのシグナルルーティングパスやフィードバックループにより、複雑でユニークなサウンドデザインを実現。
- ソフトウェア版(KORG Collection)ではポリフォニー対応や180の新プログラム追加(Ver.1.5)で、さらに表現力が向上。
- リアルタイム操作性
- ピッチベンド、モジュレーションホイール、独自の「ログ」コントローラー(リボンコントローラーとモジュレーションホイールを組み合わせたもの)により、ライブパフォーマンスでの表現力が高い。
- 5つのパフォーマンスエディター(PE)ノブで、フィルターカットオフやエンベロープなどのパラメータをリアルタイムに調整可能。
- コストパフォーマンス
- 1995年当時、約£1,000という価格で、アナタログ、FM、物理モデリングを統合したシンセとしては破格のコストパフォーマンス。
- 現在の中古市場でも比較的手頃な価格で入手可能。ソフトウェア版はKORG Collection 5の一部として、月額$15.99(SpliceのRent-to-Own)で利用可能。
- ユニークな音色と個性
- 特に歪んだサウンドやレゾナントスイープ、フィードバック音に優れ、ダンスやテクノミュージックに適したエッジの効いた音色を提供。
- 物理モデリングにより、従来のアナタログシンセでは難しかった表現力(例:管楽器や弦楽器のニュアンス)を追加。
- 歴史的意義と拡張性
- Korg OASYSプロジェクトの技術を基盤とし、後のZ1やTrinity/TritonのMOSSボードに影響を与えた。

- ハードウェア版では拡張カード(ANALOG & VINTAGE、MODERN MODELS)で音色を追加可能。
※KORG Collectionに収録されています。
KORG Prophecyの導入デメリット
- プログラミングの複雑さ
- 13種類のオシレーターや多数のパラメータ(LFO×4、エンベロープ×6など)により、音色編集が非常に複雑で初心者には扱いづらい。メニュー駆動型のインターフェースも直感的とは言えず、学習コストが高い。
- パフォーマンスエディターのノブ操作に「ピックアップ」動作(設定値に合わせる必要)があり、ライブでの即時調整が難しい場合がある。
- モノフォニックであること
- ハードウェア版は1音のみの発音(モノフォニック)で、コード演奏が不可。弦楽器や管楽器のシミュレーションが優れているが、ポリフォニックな用途には不向き。
- ソフトウェア版ではポリフォニー対応だが、オリジナルハードの個性を重視するユーザーには物足りない可能性。
- 音色の限界
- 物理モデリングは革新的だが、Yamaha VLシリーズのような自然な管楽器エミュレーションには及ばず、デジタル特有の「粗さ」が残る。
- エフェクトセクション(ディストーション、ディレイ、リバーブなど)は90年代の水準であり、現代の基準では物足りない場合がある。
- ハードウェアのメンテナンス性
- ハードウェア版のボタン(Korg M1と共通)は経年劣化しやすく、交換部品の入手が困難で高価。メンテナンスには専門知識(例:ハンダ付け)が必要。
- 内部バッテリー(CR2032)の交換も定期的に必要。
- インターフェースの古さ
- 2×40文字のバックライトLCDは現代のグラフィカルUIに比べ見づらく、操作性が劣る。ソフトウェア版では改善されているが、ハードウェア版は直感性に欠ける。
KORG Prophecyが使用された名曲の事例
KORG Prophecyは、特にダンス、テクノ、エレクトロニカのアーティストに愛され、以下のような名曲で使用されています。
- The Prodigy – “Firestarter” (1996)
- 使用箇所:特徴的な「Space Adventure」プリセットが使用され、攻撃的なシンセサウンドを提供。
- 解説:The ProdigyのLiam HowlettはProphecyをライブやスタジオで多用し、特に歪んだTB-303風のシンセリードにも使用(例:「Smack My Bitch Up」)。Prophecyのエッジの効いた音色が、彼らのアグレッシブなサウンドに貢献。
- George Michael – “Older” (アルバム, 1996)
- 使用箇所:アルバム全体でProphecyが使用され、独特のテクスチャーやソロパートに活用。
- 解説:Prophecyの物理モデリングやアナタログ風の音色が、洗練されたポップサウンドに深みを加えた。
- Autechre – 各種トラック (1990年代後半)
- 使用箇所:実験的なエレクトロニカトラックで、Prophecyのユニークな音色(特にフィードバックやレゾナントスイープ)が使用。
- 解説:AutechreはProphecyの複雑なサウンドデザイン機能を活かし、抽象的で先鋭的な音を作り上げた。
- The Orb, Orbital, Apollo 440など
- 使用箇所:1990年代のダンス/テクノシーンで、Prophecyは歪んだリードや効果音に頻繁に使用。
- 解説:これらのアーティストは、Prophecyのリアルタイムコントロール(特にログコントローラー)を活用し、ライブパフォーマンスでダイナミックなサウンドを生成。
- Joe Zawinul – ライブパフォーマンス
- 使用箇所:ジャズ/フュージョン界の巨匠Joe Zawinulが、ソロパートでProphecyを使用。物理モデリングを活かした表現力豊かな音色を披露。
- 解説:Prophecyの管楽器モデリングが、Zawinulの即興的なライブ演奏に適していた。
エフェクトセクション
KORG Prophecyで使えるエフェクトは
- DIST(ディストーション)
- WAH
- DELAY
- EQ
- CHO/FLG (コーラス・フランジャー)
- REVERB
プリセット
KORG Prophecy プリセット画面
モノフォニックシンセのためプリセットは基本的に単音のものが多いです。
和音が使える設定のプリセットはProphecy 1.5プリセットに多く収録されています。
総評
メリット:KORG Prophecyは、アナタログ、FM、物理モデリングを統合した革新的なシンセサイザーで、ダンスやテクノ、エレクトロニカに最適なエッジの効いた音色とリアルタイム操作性を提供します。特にソフトウェア版はポリフォニー対応や新プログラム追加で現代のニーズにも対応。コストパフォーマンスも高く、ユニークなサウンドを求めるプロデューサーにとって魅力的な選択肢です。
デメリット:プログラミングの複雑さやモノフォニック制約(ハードウェア版)、メンテナンスの難しさは、特に初心者や即戦力を求めるプロデューサーにとってハードルとなる可能性があります。現代的なワークフローを重視する場合は、ソフトウェア版の方が扱いやすいでしょう。
※KORG Collectionに収録されています。
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