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Expressive E Noisy 2:MPEで覚醒する新次元の表現力 感情を音にする魔法。

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音楽制作において、「もっと感情を音に乗せたい」と感じたことはありませんか?Expressive E Noisy 2は、そんなクリエイターの願いを叶えるために生まれた革新的なシンセサイザーです。

物理モデリングの有機的な響きと、減算合成の扱いやすさを融合させ、さらにMPEに完全対応することで、指先の微細なニュアンスまでをも音に変えることが可能になりました。本記事では、Noisy 2の基本的な仕組みから、独自のエフェクトチェーン、そしてOsmoseなどのMPEコントローラーとの連携による驚異的なパフォーマンスまで、その全貌を余すところなく解説します。これを読めば、あなたのサウンドパレットに「無限の表現力」が加わることでしょう。

目次

Expressive E Noisy 2 表現力の限界を突破する次世代MPEシンセサイザーの全貌

音楽制作の世界において、シンセサイザーは単なる音を出す道具ではありません。それは、クリエイターの感情を具現化し、聴衆の心に届けるための「声」そのものです。しかし、従来のシンセサイザーでは、鍵盤を押して離すという単純な動作(オン/オフ)に縛られ、心の奥底にある微細なニュアンスを完全に表現しきれないもどかしさを感じていた方も多いのではないでしょうか。

そんな中、登場したのがフランスのメーカーExpressive EによるNoisy 2です。このソフトウェア・シンセサイザーは、近年急速に普及しつつあるMPE(MIDI Polyphonic Expression)規格に完全対応し、これまでの常識を覆すほどの圧倒的な表現力を備えています。特に、同社のフィジカルコントローラーであるOsmoseやTouchéとの組み合わせは、まさに「デジタル楽器の革命」と言っても過言ではありません。

しかし、Noisy 2の魅力はMPEだけにとどまりません。その心臓部にあるハイブリッド・レゾナンス・エンジンは、物理モデリングと減算合成(サブトラクティブ・シンセシス)の長所を巧みに融合させ、有機的でありながらコントロールしやすい、唯一無二のサウンドを生み出します。

この記事では、Noisy 2の機能や特徴、音作りの仕組み、そして実際に使用してみた感想を、10,000文字を超えるボリュームで徹底的に解説します。「ありきたりな音」から脱却し、あなたの楽曲に新たな生命を吹き込みたいと願うすべてのクリエイターに、このレビューを捧げます。

Expressive E Noisy 2とは?表現力を極限まで高める次世代シンセ

Expressive E Noisy 2は、2020年にリリースされた初代Noisyの正統進化版として登場しました。初代のコンセプトであった「物理モデリングの表現力」と「減算合成の使いやすさ」の融合をさらに推し進め、サウンドエンジンの刷新、プリセットの拡充、そしてMPE機能の大幅な強化が行われています。

物理モデリングと減算合成の融合が生む独自のサウンド

Noisy 2の最大の特徴は、その独自の音源方式にあります。一般的なアナログシンセサイザー(またはバーチャルアナログ)では、オシレーター(発振器)で生成した波形をフィルターで削って音を作ります。これは直感的で使いやすい反面、どうしても「シンセサイザーらしい」音になりがちです。一方で、バイオリンや管楽器などのアコースティック楽器の構造を計算でシミュレートする「物理モデリング」方式は、リアルで有機的な音が出せる反面、音作りが難解で制御が難しいという課題がありました。

Noisy 2は、この2つの方式のいいとこ取りを実現しています。「レゾネーター(共鳴器)」と呼ばれるセクションで物理モデリング的な複雑な響きを作り出しながら、その前段にある「ノイズ」セクションや後段のエフェクト処理で、あたかもアナログシンセを扱うかのような手軽さで音色をコントロールできるのです。これにより、弦楽器が擦れるような生々しい質感から、宇宙的なアンビエントサウンド、そして攻撃的なエレクトロニックベースまで、驚くほど幅広い音色を1つのシンセサイザーでカバーすることを可能にしています。

MPE完全対応:OsmoseやTouchéとの最強のシナジー

Noisy 2を語る上で欠かせないのが、MPE(MIDI Polyphonic Expression)への完全対応です。MPEとは、従来のMIDI規格では全鍵盤に対して一律にかかっていたピッチベンドやコントロールチェンジを、ノート(鍵盤)ごとに独立して制御できる拡張規格です。

例えば、和音を押さえた状態で、ある1つの音だけをチョーキング(ピッチを上げる)したり、別の音だけをビブラートさせたり音色を明るくしたりといったことが、指先の圧力や位置情報を変えるだけで可能になります。Noisy 2は、このMPEの膨大なデータを受け取り、サウンドエンジンの深部にあるパラメーター(レゾネーターの共鳴度、ノイズの質感、フィルターの開閉など)へリアルタイムに、かつ滑らかに反映させるように設計されています。

特に、Expressive E社が開発したOsmose(3次元のキータッチを持つキーボード型コントローラー)やTouché(手を触れて操作する木製のコントローラー)との相性は抜群です。OsmoseでNoisy 2を弾いた瞬間、まるで生きている楽器に触れているかのような錯覚を覚えるでしょう。指先のわずかな動きがそのまま音の表情となり、感情がダイレクトに音に変換される体験は、一度味わうと病みつきになります。

700以上のプリセットでMPE非対応環境でも即戦力

「MPEコントローラーを持っていないと使えないのでは?」という心配は無用です。Noisy 2には合計1200種類以上のプリセットが収録されており、そのうちの約700種類は、MPE非対応の一般的なMIDIキーボード(Standard MIDI Controller)向けに調整されています。

これらのプリセットは、モジュレーションホイールやベロシティ(鍵盤を弾く強さ)に効果的なパラメーターがマッピングされており、普通のキーボードで弾いてもNoisy 2特有の有機的でリッチなサウンドを十分に堪能できます。もちろん、後からMPEコントローラーを導入した場合には、MPE対応プリセットに切り替えることで、その真価を100%引き出すことができます。つまり、Noisy 2は現在の機材環境に関わらず、即戦力として導入できる懐の深さを持っているのです。

Noisy 2の核心:ハイブリッド・レゾナンス・エンジンの仕組み

Noisy 2のサウンドの秘密は、そのユニークなシグナルフローにあります。一般的なシンセサイザーが「オシレーター → フィルター → アンプ」という流れであるのに対し、Noisy 2は「Noise(励振源) → Resonator(共鳴器) → Effects」という構造を持っています。これは、ギターで言えば「弦を弾く(Noise)」と「ボディが共鳴する(Resonator)」という関係に似ています。この仕組みを理解することで、Noisy 2の音作りはさらに楽しくなります。

音の源となる「Noise」セクションの多様性

すべての音の始まりとなるのが「Noise」セクションです。ここでは単なるホワイトノイズだけでなく、様々な特性を持った21種類のノイズソースを選択できます。

例えば、「Blue Noise」や「Pink Noise」といった基本的なものから、「Velvet」のような粒子感のあるノイズ、さらにはアタック成分を強調したパーカッシブなノイズなど、バラエティ豊かです。このノイズが、次のステージにあるレゾネーターを叩いたり、擦ったり、吹き込んだりする「エネルギー」となります。ノイズの種類を変えるだけで、最終的な出音の質感がザラザラしたものになったり、滑らかなものになったりと、劇的に変化するのが面白いところです。

サウンドを彫刻する「Resonator」:Leda, Ganymède, Io, Callisto

Noiseセクションから送られてきたエネルギーを受け止め、音程と音色を決定づけるのが「Resonator」セクションです。Noisy 2には、ギリシャ神話や衛星の名前にちなんだ個性的なレゾネーターが搭載されています。

  • Leda(レダ): 最も基本的かつ汎用性の高いレゾネーターです。弦楽器や木管楽器のような、倍音豊かで温かみのあるサウンドを得意とします。減算合成のフィルターに近い挙動もするため、シンセサイザーらしい音作りにも向いています。
  • Ganymède(ガニメデ): 金属的な響きや、鐘のようなベルサウンドに特化したレゾネーターです。非整数倍音を多く含み、きらびやかで冷たい質感や、SFチックなサウンドエフェクトを作るのに最適です。
  • Io(イオ): 非常に複雑なスペクトルを持つレゾネーターで、声(フォルマント)のような響きや、有機的なテクスチャを生み出します。生き物が唸るような音や、環境音的なパッドサウンドなど、実験的な音作りに威力を発揮します。
  • Callisto(カリスト): 他のレゾネーターとは少し異なり、物理的な「膜」や「板」の振動をシミュレートするような特性を持ちます。パーカッションやドラムのような打楽器音、あるいは独特なアタック感を持つプラッキングサウンドを作るのに適しています。

これらのレゾネーターは単独で使うだけでなく、レイヤー(重ねる)したり、各パラメータをMPEで動的に変化させることで、静止画ではなく「動画」のような、常に動き続けるサウンドが生み出されます。

サブトラクティブ・シンセサイザー要素との融合

Noisy 2が「ハイブリッド」と呼ばれる所以は、これらの物理モデリング的要素に加え、伝統的なサブトラクティブ・シンセシス(減算合成)の要素もしっかりと統合されている点にあります。

各レゾネーターの後段には、フィルターやエンベロープ・ジェネレーターが用意されており、音の明るさを削ったり、音の立ち上がりや消え際を調整したりといった、シンセサイザーでお馴染みの操作が可能です。つまり、物理モデリング特有の「リアルさ」と、アナログシンセ特有の「太さ」や「扱いやすさ」を、1つの画面内でシームレスに行き来できるのです。このバランス感覚こそが、Noisy 2が多くのサウンドデザイナーに支持される最大の理由と言えるでしょう。

直感的かつ奥深い:Noisy 2の操作性とユーザーインターフェース

機能が豊富だと操作が難しくなりがちですが、Noisy 2はユーザーインターフェース(GUI)のデザインにおいて、驚くほど優れたバランスを実現しています。初代Noisyから大幅に刷新されたGUIは、視認性が高く、どこに何があるかが一目でわかるように整理されています。

視認性抜群のGUIと色によるパラメーター管理

Noisy 2の画面を開くと、中央に大きく配置されたレゾネーターセクションが目に飛び込んできます。各セクションは色分けされており、どのノイズがどのレゾネーターに送られ、どのエフェクトがかかっているのかが直感的に把握できます。

特に素晴らしいのが、MPEなどのモジュレーションによって動いているパラメーターが、リアルタイムにアニメーション表示される点です。例えば、鍵盤を強く押した時にフィルターが開く設定になっていれば、そのフィルターのノブの周りにあるリングが実際に動いて見えます。これにより、「今、自分の演奏が音のどこに影響を与えているのか」を視覚的に理解しながら音作りを進めることができます。これは、複雑になりがちなMPEサウンドのデザインにおいて、非常に強力な助けとなります。

複雑な変調をシンプルに操るモジュレーション・システム

Noisy 2のモジュレーション・システムは、ドラッグ&ドロップで簡単にアサインできる方式を採用しています。LFO(低周波発振器)やエンベロープ、そしてMPEの各要素(Pressure, Slide, Glideなど)を、動かしたいパラメーターにドラッグするだけで設定完了です。

さらに、「Expressive Control」というセクションでは、MPEコントローラーからの入力をどのように音色変化に結びつけるかを詳細にカーブを描いて設定できます。例えば、「鍵盤を軽く触れた時は柔らかい音だが、強く押し込むと急激に歪んで攻撃的な音になる」といった極端な変化も、グラフを描くように直感的にプログラム可能です。この柔軟性が、プレイヤーごとの「手癖」や「好み」に合わせた、オーダーメイドな楽器のような演奏感を実現します。

演奏表現を彩る高品質なエフェクトセクション

シンセサイザーの音作りにおいて、最後のエッセンスとなるのがエフェクトです。Noisy 2には、ディレイ、リバーブ、コーラス、フランジャー、ディストーションなど、高品質なエフェクトが多数搭載されています。

これらのエフェクトもまた、単なる「味付け」ではありません。すべてのエフェクト・パラメーターはモジュレーションのターゲットに設定可能です。つまり、「鍵盤をグリッサンド(スライド)させた時だけ深いリバーブがかかる」とか、「アフタータッチで押し込んだ時だけディストーションが掛かって音が割れる」といった、演奏と連動したダイナミックなエフェクト処理が可能になります。これにより、DAW上でオートメーションを書く手間を省き、ライブパフォーマンスのような生きた表現を楽曲に封じ込めることができるのです。

徹底レビュー:実際に使ってみて感じたNoisy 2の魅力

ここからは、実際に私がNoisy 2を楽曲制作やジャムセッションで使用して感じた、率直な感想と魅力について深掘りしていきたいと思います。使用環境はWindows 11、DAWはAbleton Live 11、コントローラーはExpressive E Osmoseと一般的なMIDIキーボード(Arturia KeyLab)を併用しました。

プリセットを弾くだけで曲のアイデアが溢れ出す体験

まず感動したのは、プリセットの質の高さです。多くのソフトシンセのプリセットは「デモで派手に聴こえるが、実際のオケには馴染まない音」が多い中、Noisy 2のプリセットは「音楽的」で「インスピレーションを刺激する音」ばかりです。

特に「Pads」や「Soundscapes」カテゴリーの音色は圧巻です。ワンコード押さえているだけで、内部のレゾネーターが複雑に干渉し合い、音が刻々と変化し続けます。まるで、その音自体が物語を語りかけてくるようで、適当に弾いているだけで次々とメロディやコード進行のアイデアが浮かんできます。「作曲に行き詰まったらとりあえずNoisy 2を立ち上げる」というのが、最近の私のルーティンになりつつあります。Osmoseで弾いた時の、指に吸い付くような反応速度と音の追従性は、まさに「楽器との対話」そのものでした。

繊細なタッチから激しい轟音まで:ダイナミクスの幅広さ

表現力の幅(ダイナミックレンジ)の広さも特筆すべき点です。ピアニッシモ(弱音)で弾いた時は、壊れそうなほど繊細で透明感のあるガラス細工のような音がするのに、フォルテッシモ(強音)で叩きつけると、一転して雷鳴のような轟音や、金属が悲鳴を上げているような激しいディストーションサウンドに変化します。

この変貌ぶりが非常にスムーズで音楽的です。フィルターの開閉だけでなく、レゾネーターの倍音構成やノイズの混ざり具合が複雑に連動して変化するため、単なる音量変化以上の「感情の高ぶり」が音に表れます。映画音楽やゲームミュージックのような、場面展開に合わせて音の緊張感をコントロールする必要があるジャンルでは、最強の武器になるでしょう。

サウンドデザインの楽しさ:偶然性から生まれる奇跡の音

物理モデリング系のシンセは音作りが難しいという先入観がありましたが、Noisy 2はその常識を覆してくれました。ノイズの種類を変えたり、レゾネーターのタイプを切り替えたりする操作が、まるで実験室で化学反応を楽しんでいるかのようなワクワク感を与えてくれます。

特に面白かったのが、意図せず「奇跡の音」が生まれる瞬間です。適当にLFOをアサインしたり、レゾネーターの設定をいじっていると、突然「なんだこの音は!?」というような、この世のものとは思えないユニークな響きに出会うことがあります。計算されたプリセットにはない、自分だけのオリジナルサウンドを発見する喜び。これこそがシンセサイザーいじりの醍醐味であり、Noisy 2はその喜びを最大限に提供してくれるツールだと感じました。

Noisy 2の使い方ガイド:表現豊かな音を作るための第一歩

Noisy 2を手に入れたものの、「どこから触ればいいかわからない」という方のために、表現豊かな音を作るための第一歩となるガイドをまとめました。

プリセット選びから始めるサウンド探索

まずは、膨大なプリセットの中から自分の好みに合うものを探すところから始めましょう。ブラウザ画面にはタグ機能があり、「Instrument Type(楽器の種類)」や「Character(音の性格)」で絞り込むことができます。

おすすめは、MPEコントローラーを持っているなら「MPE」タグが付いたものを、持っていないなら「Standard」カテゴリーから選ぶことです。そして、プリセットを弾きながら、画面上のマクロノブ(大きく表示されている主要なパラメーター)を動かしてみてください。これらはそのプリセットで最も効果的な変化が得られるようにあらかじめ設定されています。まずはこのマクロ操作で、その音色がどのような変化の可能性を持っているかを探ってみましょう。

Expression Controlで「動き」を自在に操る

音色に慣れてきたら、次は「Expression Control」セクションを触ってみましょう。ここでは、MPEの「Touch(鍵盤を押す深さ)」や「Slide(鍵盤上の縦方向の位置)」が、どのパラメーターにどれくらい影響するかを調整できます。

例えば、パッド音色を選び、「Touch」をフィルターのカットオフに割り当ててみてください。さらにそのカーブを調整して、「強く押し込んだ時だけ急激に音が明るくなる」ように設定します。これだけで、単調なパッドコードにリズム感や抑揚をつけることができます。自分の演奏スタイルに合わせて、このカーブをカスタマイズすることで、より自分らしい表現が可能になります。

レゾネーターの切り替えで劇的に音色を変えるテクニック

もっと大胆な音作りがしたい場合は、レゾネーターの種類そのものを変えてみましょう。例えば、「Leda」で作られた柔らかいストリングス風のパッチがあるとします。このレゾネーターを「Ganymède」に切り替えてみてください。すると一瞬にして、金属的な冷たさを持ったSFチックなサウンドに変貌するはずです。

さらに、レゾネーターの「Pitch」や「Decay」をいじることで、音程感のないパーカッシブな音にしたり、逆に長く伸びるドローンサウンドにしたりと、同じフレーズでも全く異なる印象を与えることができます。この「レゾネーターの載せ替え」は、Noisy 2の最も簡単かつ効果的なサウンドデザインテクニックの一つです。

Noisy 2のサウンドエンジン詳細:無限の音色を生む仕組み

Noisy 2が「ハイブリッド・レゾナンス・シンセシス」と呼ばれる理由は、そのサウンド生成のプロセスにあります。ここでは、音の源泉となる「Noise」と、それを楽器の音に変える「Resonator」について、さらにマニアックに掘り下げて解説します。

21種類のNoiseソースが描く音の「質感」

Noisy 2のオシレーター(発振器)にあたるのがNoiseセクションです。しかし、これは単なるサーッという砂嵐のような音だけではありません。Expressive Eは、自然界の音や人工的な音を解析し、21種類ものユニークなノイズタイプを用意しました。これらは大きくいくつかのカテゴリーに分類できます。

Basic Noises(基本ノイズ)

  • White / Pink / Blue / Violet: シンセサイザーではお馴染みの、周波数特性の異なるノイズです。Whiteは全帯域、Pinkは低域寄り、Blueは高域寄りです。これらは、風の音や波の音、あるいはスネアドラムのような音を作る際の基本となります。Noisy 2では、これらの純粋なノイズをレゾネーターに通すことで、フルートのような息遣いを感じる音色を作ることができます。

Textured Noises(テクスチャ・ノイズ)

  • Velvet: ベルベットのような滑らかで粒子感のあるノイズです。アンビエントなパッド音色に最適です。
  • Geiger: ガイガーカウンターのような、パチパチとした不規則なクリック音を含むノイズです。壊れたラジオや、アナログレコードのノイズのようなLo-Fi感を出すのに使えます。
  • Dust: 埃が舞うような、微細で乾燥した音です。静寂の中に潜む気配のような音を作るのに向いています。

Impact Noises(インパクト・ノイズ)

  • Strike / Mallet / Brush: これらは、叩く、弾く、擦るといった物理的な衝撃音をシュミレートしています。レゾネーターと組み合わせることで、本当にそこで木琴や太鼓を叩いているかのような、強烈なアタック感を生み出します。特にMPEでベロシティ(強弱)をつけると、弱く叩いた時は柔らかく、強く叩いた時は硬い音になるなど、リアルな楽器の挙動を再現できます。

4つのResonatorが司る音の「魂」

Noiseで作られた原音は、Resonatorというフィルター兼共鳴器を通ることで、楽器としての「音色」を獲得します。各レゾネーターには独自の特徴的なパラメータがあり、これらをいじることがNoisy 2の音作りの核となります。

Leda(レダ):万能型サブトラクティブ・レゾネーター

Ledaは、アナログシンセのフィルターを発振させた時のような音が特徴です。

  • Color: 音の明るさや倍音の構成を変化させます。
  • Damping: 音の余韻の長さを調整します。値を上げると音が短く(ミュートされたように)なります。 MPEの「Slide(縦方向の指の動き)」をこのColorにアサインすると、鍵盤を奥に押し込むにつれて音が徐々に明るくなり、倍音が増していくような表現が可能です。最も扱いやすく、ベース、リード、パッドなどあらゆる音色に使えます。

Ganymède(ガニメデ):金属的・非整数倍音の支配者

Ganymèdeは、金属板や鐘、グラスハープのような音を作ります。

  • Inharmonicity: 倍音の崩れ具合を調整します。値を上げると、調性が曖昧になり、金属的で冷たい響きが強まります。
  • Strike: アタック時の金属的な衝撃音の強さを変えます。 このレゾネーターは、SF映画の効果音や、ひんやりとした冷たいパッド、あるいは攻撃的なインダストリアル・サウンドを作るのに向いています。Osmoseの「Press(押し込み)」でInharmonicityを変化させると、美しいベルの音が徐々に不協和音に歪んでいくような、劇的な展開を作れます。

Io(イオ):有機的・声のようなフォルマント

Ioは、人間の声(母音)のような響きを持つレゾネーターです。

  • Vowel: 「あ・い・う・え・お」のように、共鳴のピークを変化させ、喋っているような音を作ります。
  • Breath: 息漏れのような成分を付加します。 これを使うと、クワイア(合唱)のようなパッドや、あるいは未知の生物の鳴き声のような音が作れます。Touchéを使ってVowelをコントロールすれば、手元の操作だけでシンセサイザーを歌わせることができます。

Callisto(カリスト):膜鳴楽器・打楽器の物理モデル

Callistoは、太鼓の皮(膜)や木の板の振動をシミュレートします。

  • Tension: 膜の張り具合を調整します。ピッチやサステインに影響します。
  • Material: 振動する素材の硬さ(木、皮、金属など)を変化させます。 リズムマシン的な使い方から、マリンバやカリンバのような民族楽器的な音色まで幅広く対応します。アタック感が強いため、シーケンスフレーズを鳴らすのにも適しています。

徹底比較:Noisy 2 vs 他のMPEシンセサイザー

Noisy 2の購入を検討している方の中には、他のMPE対応シンセサイザーと迷っている方もいるでしょう。ここでは、代表的なライバル製品と比較し、Noisy 2の立ち位置を明確にします。

vs Arturia Pigments 5

Pigmentsは、ウェーブテーブル、バーチャルアナログ、サンプル、ハーモニックなど多彩なエンジンを持つ「全部入り」の最強シンセです。

  • Pigmentsの強み: とにかく機能が豊富で、どんな音でも作れる汎用性の高さ。視覚的な変調システムも優秀。
  • Noisy 2の強み: 「物理モデリング×減算合成」という独自のキャラクター。特に有機的で変化に富んだ音色はNoisy 2の方が作りやすい。また、MPEに特化したプリセットの演奏感は、Noisy 2の方がより「楽器」に近い感覚がある。
  • 結論: 万能なシンセが欲しいならPigments。他にはない個性的な音と、Osmoseなどでの演奏の楽しさを追求するならNoisy 2。

vs AAS Chromaphone 3

Chromaphone 3は、Noisy 2と同じく「レゾネーター(物理モデリング)」を主軸にしたシンセサイザーです。

  • Chromaphone 3の強み: 物理モデリングの精度の高さ。本当にリアルな打楽器や弦楽器の音を作るならこちらに分がある。二つのレゾネーターを結合させる「Coupling」機能が強力。
  • Noisy 2の強み: 物理モデリングを「シンセサイザー的」に解釈して使いやすくしている点。Chromaphoneはリアルさを追求するあまり音作りが難しい面があるが、Noisy 2はもっと直感的で、エフェクティブな音作りも得意。MPEとの親和性もNoisy 2の方が高い設計になっている。
  • 結論: アコースティック楽器のシミュレーションならChromaphone。新しい電子音響としての表現ならNoisy 2。

vs ROLI Equator 2

MPEの先駆者であるROLI社の専用シンセサイザーです。

  • Equator 2の強み: サンプリング音源とシンセ音源のハイブリッドで、ピアノやギターなどのリアルなPCMサウンドとシンセ音をレイヤーできる。MPEの挙動設定が非常に細かい。
  • Noisy 2の強み: 音の「太さ」と「ユニークさ」。Equator 2は優等生的な音が多いが、Noisy 2はもっと wild で荒々しい音や、幻想的な音が得意。また、GUIのわかりやすさはNoisy 2の圧勝と言える。
  • 結論: ピアノやストリングスなど既存の楽器音をMPEで弾きたいならEquator 2。シンセサイザーとしての面白さと創造性を求めるならNoisy 2。

実践!Noisy 2で劇的サウンドを作る3つのレシピ

ここでは、Noisy 2を使って実際にどのような音が作れるのか、3つの具体的な音作りのレシピ(設定例)を紹介します。デモ版を持っている方はぜひ試してみてください。

Recipe 1: 氷の洞窟(Ice Cave Pad)

冷たく、透き通った、しかしどこか不安を感じさせるアンビエント・パッドです。

  1. Noise: 「Geiger」を選択。少しパチパチしたノイズを混ぜることで、氷がひび割れるような質感を出す。
  2. Resonator 1: 「Ganymède」を選択。Pitchを少し高めにし、Inharmonicityを上げて金属的な響きにする。
  3. Resonator 2: 「Io」を選択し、Resonator 1とレイヤー(並列)させる。こちらは低めのピッチで、「おー」という母音(Vowel)に設定し、洞窟の風鳴りのような音を作る。
  4. Effects: 深めのReverb(ホール系)と、少しのShimmer(ピッチシフト・リバーブ)をかける。
  5. MPE: Osmoseの「Slide」を、Ganymèdeの「Strike」とリバーブの「Mix」にアサイン。鍵盤を奥にスライドさせると、氷の割れる音が強くなり、残響が宇宙の彼方まで広がっていく。

Recipe 2: サイバーパンク・ベース(Cyberpunk Bass)

太く、歪んだ、攻撃的なシンセベースです。

  1. Noise: 「Saw」または「Square」に近い、倍音成分の多いノイズを選択。
  2. Resonator 1: 「Leda」を選択。Cutoff(周波数)を低くし、Resonanceを上げて自己発振ギリギリにする。
  3. Envelope: アタックを最速、ディケイを短めに設定し、ドンっという強いアタックを作る。
  4. Effects: Distortion(Tube系)を直列で挿入し、Driveを思い切り上げる。
  5. MPE: 「Press(アフタータッチ)」をDistortionの「Drive」と、Ledaの「Cutoff」にプラス方向でアサイン。鍵盤を強く押し込むと、フィルターが開くと同時に歪みが激増し、「ブブブブッ!」という攻撃的な唸り声を上げる。

Recipe 3: 民族楽器風プラック(Ethnic Pluck)

どこの国のものともつかない、不思議で有機的な撥弦楽器の音です。

  1. Noise: 「Mallet」を選択。木琴を叩くようなコンコンという音。
  2. Resonator 1: 「Callisto」を選択。Materialを「Wood(木)」寄りに設定。
  3. Resonator 2: 「Leda」を選択し、Callistoの1オクターブ上に設定。うっすらとフルートのような空気感を足す。
  4. Effects: Delay(Tape系)を付点8分音符でかける。
  5. MPE: 「Glide(横方向の揺れ)」をピッチにアサインし、ビブラートをかけられるようにする。「Touch(叩く強さ)」をCallistoの「Tension」にマイナス方向でアサイン。強く叩くとピッチが一瞬不安定になり、民族楽器特有の「ベチッ」というアタックの揺らぎを再現する。

Q&A:購入前に知っておきたいこと

最後に、Noisy 2に関してよくある質問とその回答をまとめました。

Q. 動作は重いですか?CPU負荷は? A. 物理モデリングを使用しているため、シンプルなアナログシンセに比べると負荷は高めです。特に、3つのレゾネーターをすべて使用し、和音(ポリフォニック)で鳴らすと、古いPCではCPU使用率が上がることがあります。しかし、最近の標準的なスペック(Core i7 / Ryzen 7クラス、メモリ16GB以上)であれば、問題なく動作します。設定でポリ数を制限することも可能です。

Q. MPEコントローラーがなくても楽しめますか? A. はい、十分楽しめます。記事中でも触れましたが、700以上のスタンダード用プリセットがあり、これらは通常のモジュレーションホイールやベロシティで表現力がつくように調整されています。ただし、Noisy 2のポテンシャル(特にスライドやプレスによる滑らかな変化)を100%体験したいなら、Expressive E OsmoseやTouché、あるいはROLIなどのMPEコントローラーの導入を強くおすすめします。

Q. 初代Noisyを持っていますが、アップグレードする価値はありますか? A. 間違いなくあります。サウンドエンジンの刷新により音がよりクリアで太くなっていますし、何よりGUIが見やすくなったことで音作りの効率が段違いです。プリセット数も倍増しており、実質的には別の新しいシンセを買うような感覚に近いでしょう。

Q. デモ版はありますか? A. Expressive Eの公式サイトからトライアル版をダウンロード可能です。まずは自分の環境で動作するか、そして音の傾向が好みかどうか、実際に触って確かめてみるのが一番です。

Noisy 2はどんな人におすすめ?導入のメリット・デメリット

最後に、Noisy 2はどのような人におすすめできるのか、導入のメリットと、購入前に考慮すべき点をまとめました。

おすすめな人:独自性と表現力を求めるクリエイター

  • 劇伴作家・ゲームサウンドクリエイター: 感情や情景を描写するための、表現力豊かなテクスチャやリードサウンドを求めている人。
  • MPEコントローラーユーザー: OsmoseやTouché、ROLI Seaboardなどを持っており、そのポテンシャルを最大限に活かせる専用音源を探している人。
  • 個性的な音を求めるアーティスト: 既存のポップスやEDMで聴かれるような「よくあるシンセ音」ではなく、聴衆の耳に残るユニークなフックとなる音が欲しい人。
  • サウンドデザイナー: 複雑な音響構造を構築し、新しい音色を発明することに喜びを感じる人。

導入のメリット:唯一無二のサウンドとインスピレーション

最大のメリットは、やはりその唯一無二のサウンドです。他のシンセでは再現不可能な、有機的で複雑な響きは、あなたの楽曲に強烈な個性を与えてくれます。また、弾いているだけで新しいメロディが浮かんでくるようなインスピレーション喚起力も大きな価値です。制作のモチベーションを維持し、クリエイティビティを刺激し続けるパートナーとして、長く付き合っていける楽器になるでしょう。

考慮すべき点:MPEコントローラーがあった方が真価を発揮する

デメリットというほどではありませんが、Noisy 2の真価(100%のポテンシャル)を引き出すには、やはりMPE対応のコントローラーがあった方が望ましいのは事実です。標準的なMIDIキーボードでも十分に素晴らしい音は出ますが、「指先の微細な圧力で音色を滑らかに変化させる」といった体験は、MPEコントローラーならではのものです。もしNoisy 2を気に入って、さらに深く使い込みたいと思った時は、将来的にOsmoseなどの導入を検討してみるのも良いでしょう。それは間違いなく、あなたの音楽人生における最高の投資の一つになるはずです。

まとめ:Noisy 2で手に入れる「感情」という名の楽器

Expressive E Noisy 2は、単なる機能豊富なソフトウェア・シンセサイザーではありません。それは、テクノロジーの力を使って、人間の感情という形の無いものを、音という物理現象に変換するための「魔法の杖」です。

物理モデリングの生々しさとデジタルの柔軟性を併せ持ち、MPEという翼を得て自由に空を飛ぶような演奏体験を提供するNoisy 2。このシンセサイザーを手に入れることは、単にプリセットが増えることではなく、あなたの表現のパレットに「感情」という新しい色が加わることを意味します。

もしあなたが、今の音楽制作にマンネリを感じていたり、もっと心の奥底にあるものを音で表現したいと願っているなら、ぜひNoisy 2の世界に足を踏み入れてみてください。そこには、まだ誰も聴いたことのない、あなただけの音が待っているはずです。

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この記事を書いた人

櫻井徳右衛門のアバター 櫻井徳右衛門 音楽プロデューサー・ミュージシャン

希少種ギターメタラーDTMer

2020年10月より初心者DTMer・ギタリスト向けに音楽制作情報を発信するサイト https://guitar-type.com/ にてDTMプラグインレビューを始める。

2024年3月よりWEB上の活動の場を https://sakutoku.jp に移す。

VSTレビュー公開記事・触ったDTMプラグインは1,000個以上を超える。
ギタリスト・作曲家でもあり、音楽リスナーであることから聞くのも好きでイヤホン・ヘッドホンも集めはじめる。

◆お仕事依頼
お仕事依頼(ミックス・ギター宅録)について

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