宅録した声に、部屋鳴きとノイズが乗っていた。でも録り直す時間はない……
曲からドラムだけ、ボーカルだけ取り出したいけど、手作業じゃ無理……
そんなときに使いたいのが「iZotope Photon」 。
iZotope Photonは、声のノイズ除去と、曲のステム分離(ボーカル・ドラムなどのパートごとの取り出し)をひとつにまとめたアプリ。ファイルを読み込み、モデルを選んで、強度を決めて試聴する流れです。パソコンのGPUで 動かすため、AIサービスのようなアップロードは不要。ローカル環境で最強なステム分離、整音処理が可能になります。
2026年7月、ビジュアルエフェクト(VFX)およびポストプロダクションソフト開発大手のBoris FX が、AIオーディオ技術のリーディングカンパニーであるiZotope を買収し、同社をグループ化しました
Boris FX 傘下になってから初めてのオーディオツールが「Photon」です。
目次
iZotope Photonとは? ローカルGPUで動くステム分離+ノイズ除去
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iZotope Photonは、スタンドアロンアプリとして使えて、ARA2プラグインとしてもDAW上で動く製品。 iZotopeとBoris FXの初の共同研究成果という位置づけ。
流れはシンプル。
ファイルを読み込む
モデルを選ぶ
強度を決める
試聴して、よければ書き出す
モデルは用途別に12個。ステム分離側の「DeMix」が6つ、補正側の「DeNoise」が6つです。
iZotope Photonの主要機能
DeMix:分離の6モデル
Music 4 Stems:完成曲を、ボーカル、ドラム、ベース、その他の4つに分ける
Music 4 Stems Ultra:同じ4分割の高品質版。分けたパート単体で聴かせられる精度を狙ったモデル
Drums 5 Stems:キック、スネア、ハイハット、タム、シンバルの5つに分ける。ドラムバスからでも、曲全体からでも使える
Voice 2 Stems:ボーカルと伴奏の2つに分ける
Voice Separator:最大6人の話者と、ルームトーンや背景を分ける
Cinema 4 Stems:声、音楽、効果音、その他に分ける。動画の音声向け
DeNoise:補正の6モデル
Voice Restore:マイクから離れた声、こもった配信音声、インタビューに入り込んだ交通音などが対象。ノイズ、レベル、マイクのトーン、エコーを整えて、聞き取りやすくする
Indoor:自宅での動画撮影や、吸音処理のない部屋でのインタビューで出るノイズと、部屋の響きを取り除く
Indoor Noisy:工場のフロアや、反響の大きいイベント会場など、通常より雑音の多い室内向け
Outdoor:屋外撮影でよくある背景ノイズを取り除く
Outdoor Traffic:車の走行音や、街頭の騒音に特化
Outdoor Wind:屋上や海岸など、マイクに強い風が当たる場面の風切り音を低減
声全体を聞き取りやすくしたいならVoice Restore、ノイズの種類がはっきりしているなら状況別のモデル、という見立て。
任意の位置から試聴
モデルと強度を決めたら、クリップ内の好きな位置から試聴できます。PBの説明では、結果は数秒で確認できるとのこと。ファイルの頭から最後まで待たずに、気になる箇所だけ先に聴ける仕様は、手数が多い作業ではかなり助かりそうです。
Model Manager
新しいモデルや改良版は、Model Managerから追加できます。再インストールは不要。モデルが後から増えていく前提の作りなので、買った時点が完成形ではない、というのが面白いところ。
動画ファイルにも対応
音声ファイルだけでなく、MP4やMOVなどの動画ファイルも読み込めます。動画のオーディオトラックを処理して、元の動画に差し替えて書き出す流れです。動画編集と一緒に使う人には、地味に便利な機能。
ARA2プラグインの利点
ARA2は、DAWのクリップ全体をプラグインに渡せる規格。クリップ全体の流れを踏まえて処理できて、複数のモデルを走らせたり、処理済みのものをキャッシュして切り替え比較したりもできます。モデルを変えながら聴き比べる使い方と相性がよさそうな仕組み。
iZotope Photonの使いどころ
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宅録の声の部屋鳴き・ノイズ
宅録したナレーションやボーカルに、部屋の響きや背景ノイズが乗ったとき。自宅の部屋で録った声の響きは、Indoorの説明に近い状況です。窓を開けて録って車の音が入った、といった場面は、Outdoor Trafficの説明に合います。Voice Restoreは、ノイズだけでなくレベルやエコーまでまとめて整えるタイプ。
声の質や素材で結果は変わりそうなので、試聴しながら強度を決める使い方が基本と思われます。ノイズ対策をほかのプラグインとも比べたい人は、W.A. Production DeNoizzer の記事も参考に。
動画・配信の声
動画の声が聞こえづらい、配信の音声がこもっている、という悩みはVoice Restoreの想定範囲。風の強い屋外撮影ならOutdoor Windの出番です。映像の音声を声、音楽、効果音に分けたいなら、Cinema 4 Stems。複数人で収録した音声なら、最大6人まで話者を分けられるVoice Separatorもあります。
動画ファイルをそのまま読み込めるので、音声だけ書き出す手間が減りそうです。
曲のステム分離
Music 4 StemsやUltraで、完成曲をボーカル、ドラム、ベース、その他に分けられます。リミックスの下準備、パートごとのバランス調整、練習用のカラオケ作りが使い道。Voice 2 Stemsなら、ボーカルと伴奏の2分割で済みます。
使う素材は、自分が権利を持つ音源や、許諾を得た素材が前提。分離は機械学習による推定で、元のトラックそのものを復元するわけではない点も頭に入れておきたいところ。
ドラムのサンプリング
Drums 5 Stemsは、スネアだけ、ハイハットだけを取り出してサンプリング素材にする用途が想定されているモデル。自分が権利を持つ音源なら、扱いの心配が少ない使い方です。
iZotope RXとの違い
iZotopeの位置づけでは、次のように役割が分かれています。
Photon:ドロップ&ゴー(ファイルを読み込んで手早く処理する使い方)で、広い範囲をすばやく片付ける
RX:スペクトログラム(周波数の分布を画像のように表示する画面)を見ながら、一箇所ずつ精密に直す
iZotope Photonは自動処理をメインとした時間効率を重視した時短ツール 。RXは役割: 音声や楽曲のノイズ、歪み、リバーブ、クリック音などを波形エディター上で1つずつ細かく分析・修正する精密修復ツール 。
これらは別々の製品で、併用が想定されています。
Photonで全体をざっくり整えて、残りをRXで手直しする流れ。RXの機能はiZotope RX 12 Standard の記事にまとめています。
RX 12にもMusic Rebalanceなど、ステム分離系の機能があり、重なる部分はあります。RXを持っている人にPhotonが必要かは、使いたい用途次第。ドラムを5つに分けたい、複数人の話者を分けたい、Ultraモデルを使いたい、といった用途がはっきりしているなら、クロスグレード価格(RX Advanced所持者なら¥8,751)はかなり背中を押してくれる金額です。
どんな人におすすめ?
宅録した声の部屋鳴きやノイズを、試聴しながら整えたい人
動画や配信の声の聞こえづらさを直したい人
自分の曲や許諾済みの素材から、ボーカルやドラムなどのパートを取り出したい人
ARA2対応のDAWで、モデルを聴き比べながら処理したい人
RXなどiZotope製品を持っていて、クロスグレード価格で追加したい人
購入前に確認したい条件
Mac:Apple Silicon必須。Intel Macは非対応
Windows:GPU(グラフィックス)が必須で、VRAM 4GB以上
プラグインはVST/AU非対応。ARA2プラグインか、スタンドアロンアプリとして使う
ARA2のホストとして記載があるDAWは、Pro Tools、Cubase、REAPERなど。ご利用のDAWがARA2に対応しているか、購入前に要確認。ARA2に対応しないDAWでは、スタンドアロンアプリで使う
iZotope Photonの選びどころ
声の整音も曲のパート取り出しも、モデルを選んで、強度を試聴で決める流れで進められる。動画の声にも使える。そこがiZotope Photonの軸です。波形を見ながら精密に直したい場面は、RXのほうが向いています。
iZotope Photonのセール情報(2026-11-04時点)
製品 通常価格(表示値) PB価格 期限 Photon(通常版) ¥58,600 ¥45,000(PB表示23% off) 2026年12月7日まで クロスグレード:有償iZotope製品所持者 ¥44,700 ¥32,000(PB表示28% off) 2026年12月7日まで クロスグレード:RX Elements所持者 ¥33,900 ¥22,501(PB表示33% off) 2026年12月7日まで クロスグレード:RX Standard所持者 ¥24,600 ¥12,800(PB表示47% off) 2026年12月7日まで クロスグレード:RX Advanced所持者 ¥16,900 ¥8,751(PB表示48% off) 2026年12月7日まで
※価格はPlugin Boutiqueの円表示で、為替レートによって変動します。
購入特典の無料ギフトもあります(内容は時期で変わります)。詳しくはPlugin Boutiqueのギフト の記事から。
ほかのセールはDTMプラグインセールの月次まとめ 、ブラックフライデーのセールはブラックフライデーまとめ にあります。
iZotope PhotonのFAQ
Plugin Boutiqueで買ったライセンスは、どうやって有効化しますか?
Boris FXアカウントで引き換えて、Boris FX Hubで有効化する方式です。iLokではありません。PBのライセンスコードを引き換えると、Boris FXアカウント側にActivation Keyが用意されます。Hubで入力するのはこのActivation Keyで、PBのライセンスコードとは別物です。
RXを持っていなくてもクロスグレードは使えますか?
有償のiZotope製品を持っていれば、「有償iZotope製品所持者」向けのクロスグレードが対象です。RX Elements、RX Standard、RX Advancedの所持者向けは、それぞれ専用の区分があります。
インターネット接続は必要ですか?
ネット接続が必要なのは、Model Managerのインストール時です。完全にオフラインの環境で使いたい場合は、オフラインインストーラについてBoris FXサポートへの問い合わせが案内されています。
ステム分離した音は、元のトラックと同じ品質ですか?
元のトラックを完全に復元するものではありません。ステム分離は機械学習による推定で、精密な修正が必要な場面はRXの領域、というのがiZotopeの位置づけです。分けたパートを聴きながら、必要に応じてRXで手直しする流れが想定されています。
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