


Bloom Drum KitsやBloom Palette Modularを触っていて、Excite Audioの「Bloom」シリーズがすっかり気に入ってしまった人、地味に多いんじゃないでしょうか。鍵盤を押すだけでフレーズが鳴る手軽さと、それでいて音作りの幅がちゃんとある設計……一度ハマると、シリーズの他の音源も気になってくるんですよね。
ただ、Bloomシリーズって1本ずつ見るとそこまで安い価格帯じゃない。すでに1本持っているのに、もう1本フル価格で買うのはちょっと悩ましい……そんな人のために用意されているのが、今回紹介する「Bloom Synth Analogue」のクロスグレード版です。
このクロスグレードは、Full Bloom製品(Lite版ではなく通常のフル版)を1本でも持っている人が対象。通常価格より安くBloom Synth Analogueを追加できる、いわば「常連向けの裏ルート」的な購入方法です。今回は、クロスグレードの仕組みそのものから、製品としての主要機能、使い分け、そして対象条件の確認方法まで、初心者にもわかるように整理していきます。

Bloom Synth Analogueは、Excite Audioが展開する「Bloom」シリーズの1本で、クラシックなハードウェアシンセからサンプリングしたコード・リード・ベース・アルペジオ・フレーズを鍵盤に割り当てて演奏する、プレイアブル・サンプル楽器です。
Bloomシリーズはこれまでも、Bloom Drum Kits(ドラムループ)、Bloom Bass Groove(ベースフレーズ)、Bloom Ensemble Strings(ストリングス)など、生楽器やアナログ機材の質感をサンプルベースで手軽に鳴らせる音源をラインナップしてきました。Bloom Synth Analogueはその中で、アナログシンセ由来のフレーズネタを担当するポジションと言えます。
ゼロから音作りをするタイプのシンセではなく、あらかじめ用意されたフレーズを鍵盤やマクロで加工しながら曲に溶け込ませていく設計。この「フレーズを弾く」感覚がBloomシリーズ共通の設計思想で、モジュラーシンセのように音作りの自由度で攻めるBloom Palette Modularとは、また違うベクトルの使いやすさを狙った製品。
ここが今回の記事の核になる部分です。まず「クロスグレード」という言葉に馴染みがない人向けに説明すると、クロスグレードとは、同じメーカーの別製品や関連シリーズの製品をすでに持っている人が、通常価格より安く新しい製品を購入できる仕組みのことです。DTM業界だと「アップグレード」(旧バージョンから新バージョンへの乗り換え)はよく見かけますが、クロスグレードは「別のシリーズ製品を持っていることが条件になる」点が特徴です。
Bloom Synth Analogueのクロスグレード版の対象条件は、製品ページ上で「Full Bloomシリーズ製品のいずれかのフル版を持っているオーナー向けのクロスグレード」と明記されています。ポイントは2つ。
1つ目は、対象になるBloom製品が1種類に限定されていないこと。Bloom Drum Kits、Bloom Bass Groove、Bloom Ensemble Strings、Bloom Palette Modular、Bloom Bundleなど、Bloomの名がつくシリーズ製品であれば、どれか1本フル版を持っていれば対象になる、間口の広いクロスグレードです。
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鍵盤には14個のサンプルキー(フレーズが割り当てられたキー)が用意されていて、サンプルバンクは8種類・合計112サンプルを収録。バンクを切り替えるだけで、コード系・リード系・ベース系・アルペジオ系と、雰囲気の違うフレーズ集にアクセスできる構成です。プリセットは250種類、7つのカテゴリに整理されているとのことなので、探す手間もそれほどかからなそうです。
音を加工する要は、この4つのマクロノブです。Tube(真空管的な質感の付与)、Age(経年変化のようなヨレ・劣化感)、Circuit(回路由来のクセの強調)、Expand(音の広がり)。この4つを軽くいじるだけで、同じフレーズでも表情がかなり変わる仕組みになっています。凝った音作りをしなくても、ノブを2つ3つ動かすだけで質感を変えられるのは、Bloomシリーズらしい即戦力の作り込みですね。
Bloom Sequencerを使うと、ワンショットとループフレーズを重ねたり並べたりできます。さらにHalf-time、Double-Time、Reverse、Octave Down、Octave Upという5種類のFactory Modifierが用意されていて、同じサンプルでもテンポ感やオクターブを変えて別の表情を作れるのが便利なポイント。パターンを組んでからモディファイアで変化をつける、という流れが基本の使い方になりそうです。
手持ちのサンプルをインポートして自分用のバンクを作れる機能も搭載。プリセットのフレーズだけに頼らず、自分の音源ライブラリを持ち込んで使えるのは長く使う上でかなり助かるポイントだと思います。また、4つのChoke Group(発音を止め合うグループ設定)でハイハットのオープン・クローズのような排他制御もできるようなので、細かい演奏表現にも対応しています。
内蔵エフェクトは、Delay・Reverb・Modulationを中心とした5つのメインFXパラメーターと、並び替え可能な3系統のエフェクトチェーンで構成。空間系のMIXノブ調整だけで、フレーズの奥行きや前に出る感じをコントロールできる作りになっています。
Bloom Synth Analogueは機能が多いように見えて、実際の使い分けはシンプルです。
まずサンプルバンクとプリセットで「土台のフレーズ」を選ぶ。この段階で曲のジャンルやテンポ感に合うものを探すのが最初のステップです。次にTube・Age・Circuit・Expandの4マクロで質感を微調整。音の太さや前に出る感じを、曲のミックス内でのポジションに合わせて決めていきます。ここまでで「基本の音」はほぼ完成します。
さらに変化が欲しい場合は、Factory Modifierでオクターブやテンポ感を変える、もしくはBloomシーケンサーでパターンを組み替える、という順番で攻めるのが個人的にはやりやすいと思われる流れです。エフェクトのMIXノブは最後に微調整程度に触る、くらいの温度感がちょうど良さそうです。
アナログシンセらしい質感のコードフレーズをそのままバッキングに使うパターン。Tubeマクロを軽く上げて温かみを足し、Ageマクロでうっすらヨレを加えると、打ち込み感が薄れて生っぽいアナログシンセの質感が出せそうです。
リード系サンプルにExpandマクロをかけて音像を広げ、Reverbを深めにかけて背景レイヤーとして使うパターン。主張しすぎない質感の音を敷きたいときの選択肢として使いどころがありそうです。
アルペジオ系サンプルにDouble-TimeのFactory Modifierをかけてテンポ感を上げ、Circuitマクロでエッジを立たせるパターン。サビ前の展開で耳を引くフックフレーズとして使うイメージです。
実際に触った感触から言うと、というよりは製品情報から想像する範囲になりますが、Bloom Synth Analogueは「音作りを頑張らなくてもアナログシンセらしい質感がすぐ手に入る」設計になっているという印象です。マクロ4つだけで表情を変えられる手軽さは、他のBloomシリーズと同じく初心者にも扱いやすそうに思われます。
一方で、シンセを一からいじって音を作り込みたいタイプの人からすると、フレーズベースの設計はやや物足りなく感じる可能性もありそうです。あくまで「素材として鳴らす」タイプの音源であって、Bloom Palette Modularのような自由度の高いシンセシスを求める人には別のベクトルの製品だと思われます。
──個人的には、Bloomシリーズを1本でも気に入っている人なら、クロスグレードの差額込みでかなりアリな選択肢に見えます。
メリット
デメリット
Bloom Synth Analogueは初心者でも使える?
マクロ4つとサンプルバンクの切り替えが基本操作なので、シンセの知識がなくてもフレーズを鳴らして質感を変えるところまではすぐにできると思われます。ゼロから波形をいじるタイプのシンセより、ハードルは低めです。
通常版とクロスグレード版で機能に違いはある?
製品ページ上の説明を見る限り、クロスグレード版は購入条件が異なるだけで、インストールされる本体の機能自体に違いはないと考えられます。価格の違いは購入資格の違いによるものです。
クロスグレード対象か確認する方法は?
一番確実なのは、Plugin Boutiqueや購入したストアのマイアカウントにログインし、所有製品一覧にBloomシリーズのフル版製品(Bloom Drum Kits、Bloom Bass Groove、Bloom Ensemble Strings、Bloom Palette Modular、Bloom Bundleなど)が含まれているか確認する方法です。製品ページ側でも、カート画面に進むと対象製品の所有確認が入る場合があるので、購入手続きの途中で判定されるケースもあります。判断に迷う場合は、購入前にストアのサポートへ問い合わせるのが確実です。
Lite版だけ持っている場合も対象になる?
製品ページの記載は「フル版所有者向け」となっているため、Lite版・無料版のみの所有では対象外になる可能性が高いです。手持ちの製品がフル版かLite版か、購入時の記録やマイアカウントで確認しておくことをおすすめします。
対応DAW・環境は?
macOS 10.15以降、Windows 7以降に対応し、VST・VST3・AAX形式(macOSはAUも追加対応)で主要DAWから読み込めます。64ビット環境のみの対応で、インターネット認証が必須です。推奨バッファサイズは512サンプル以上とされています。
クロスグレード対象になりやすい人
クロスグレード対象にならない・優先度が下がる人
Bloom Synth Analogueのクロスグレード版は、Full Bloom製品を1本でも持っている人にとって、通常価格より約24パーセント安くシリーズを増やせる購入方法です。対象条件はシンプルで、フル版のBloom製品を1本持っていればOK。逆にLite版のみの所有では対象外になる可能性が高い点だけ、購入前に確認しておきたいところです。
製品自体は、4マクロでの質感調整とサンプルバンクの豊富さが軸になった、Bloomシリーズらしい即戦力型のフレーズ音源。すでにシリーズに馴染みがある人なら、導入のハードルは低めだと思われます。
シンセ系のプラグインを他にも比較検討したい人は、シンセサイザープラグインのレビューまとめや、同じBloomシリーズのBloom Drum Kitsのレビュー、Bloom Bundleのレビューもあわせてチェックしてみてください。
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