10月のおすすめDTMセールは「 アナログモデリング特集! 」

ホラー向け音源「Heavyocity Psychosis」で恐怖の劇伴を組み立てる

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ホラーの音作りで、ドキッとさせる一撃や背筋がゾワッとする空気感が、手持ちの音源では「それっぽくならない」……

そんなときに試したいのが、Heavyocity Psychosis(サイコシス)です。

Heavyocity Psychosis

ジャンプスケア(観客を驚かせる突然の大音量)、不穏なテクスチャー、いびつなリズムを詰め込んだ、ホラー・スリラー特化のKontakt音源。Kontaktは、Native Instruments社のサンプラー環境のことです。

「恐怖を設計する」というコンセプトの通り、怖い音が入っているだけではありません。琴やオルゴール、金属などを録音し、擦ったり引き伸ばしたり歪めたりした素材を、3つ重ねて自分だけの恐怖に作り替えていく仕組みがあります。

目次

Heavyocity Psychosisとはどんな音源?

Heavyocity Psychosisは、ホラーやスリラーに的を絞ったスコアリング音源です。スコアリングは、映画やゲームなど映像に付ける音楽・効果音を作ること。Damage 2やGravityのような「ドカンと来る」迫力が持ち味のHeavyocityが、その迫力を恐怖の方向へ振り切った一本という印象です。

中身は2つのインストゥルメントで構成されています。

  • Psychosis Designer:3チャンネルの音を重ねて作り込む、サウンドデザイン用の音源
  • Psychosis Menu:用意された音をメニューのように鍵盤へ並べて、すぐ弾ける音源
項目内容
収録ソース720種類(2,781サンプル)
プリセット332個(Cue Creator 35個を含む)
容量約7GB(NIのロスレス圧縮)
必要環境Kontakt 7.10.9以降(製品版または無料のKontakt Player)

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Heavyocity Psychosisの収録内容

素材はすべてHeavyocityのスタジオで録音された「オーガニックソース」。シンセではなく、実在の楽器や物体を録って加工した音が土台です。

カテゴリ数どんな音?
スティング324一瞬で驚かせる短い一撃。ジャンプスケアもここ
アトーナルリズム144音程のないテンポ同期のリズム。じわじわ不安を煽る
サステイン&テクスチャー120長く伸びる不穏な持続音や質感
トランジション72ライザー(盛り上がり)やリバース(逆回転)で場面をつなぐ音
トーナルリズム36音程のあるリズムや、低音を鳴らし続けるペダル
プレイアブル24鍵盤で弾けるキーやプラック系の楽器

ホラーの音作りでは、ずっと鳴り続ける不気味なドローン(低い持続音)と、ビクッとさせる一撃の両方が欲しくなります。Psychosisはスティングが324個も入っていて、一撃側がとにかく手厚い。ここが最初に気になったところです。

録音に使われたのは、琴、サーランギ、ラバーブ、オルゴール、あご骨、トイピアノ、サンダーシート、ゴング、ウィンドワンド、共鳴する金属類など。ギター歴が長い身としては、弦を擦る・弾く系の楽器が「呪われた質感」に変わっていくのが想像できて、ワクワクします。

プリセット(スナップショット)は、DesignerとMenuそれぞれに用意されていて、ボタン1つで設定がまるごと切り替わります。

Heavyocity Psychosisの主要機能

Psychosis Designer:3つの音を重ねて恐怖を作る

Designerは、最大3チャンネルまで別々のソースを読み込めるインストゥルメント。スティングの上にテクスチャーを重ね、下にリズムを走らせる……といった組み立てが1画面でできます。各チャンネルに音量・パン・チューン(移調)があり、鳴らせる鍵盤の範囲も別々に決められるので、「低い鍵盤はリズム、高い鍵盤はスティング」と弾き分けることもできます。

Macroシステム:1つのつまみで複数のパラメーターを動かす

Designerの核が「Macro」。複数のパラメーターを1つのつまみにまとめて、同時に動かせる仕組みです。中央のMacroノブを回すと、5つのカテゴリが連動します。

  • Envelope:音の立ち上がりと消え方
  • Tone:EQとフィルター
  • Drive:サチュレーション(音を温かく歪ませる効果)とディストーション。ビットクラッシャー的なモードもあり
  • Motion:ゲート(音量を細かく刻んでリズムを作る効果)と、ピッチの変化
  • Space:ディレイとリバーブ

3チャンネルぶんで合計15セット。数は多いですが、Macroのおかげで「つまみを1つ回すだけで、音がグニャッと歪んで空間に溶けていく」変化が作れます。

Macro Sequencer:時間とともに音を動かす

Macroノブは、内蔵のシーケンサーで自動的に動かせます。シーケンサーは、決めたパターンを順番に繰り返してパラメーターを動かす仕組み。パターンはテーブルに描き、トライアングルやランダムといった形をワンクリックで呼び出せます。LFO(周期的にパラメーターを揺らす仕組み)も加えられるので、ゆっくり不気味にうごめき続ける音が作れます。

Mixer・Perform:配合とリズムの遊び場

Mixerは、三角形のエリア内でカーソルを動かし、3つのチャンネルの音量バランスを連続的に変える画面。動かした軌跡を録音できる機能に加え、ランダム機能のDriftとScatterがあります。Driftは配合がじわじわ漂う動き、Scatterは鳴らすたびにバラけた位置から始まる動き。同じ鍵盤を叩いても毎回少しずつ違う音になります。

Performには、サンプルの再生位置を動かすWAVEモードと、リズムシーケンサーとアルペジエーター(和音を1音ずつ順番に鳴らす機能)が合体したSEQモードがあり、チャンネルごとに別の動きをさせられます。

Psychosis Menu:鍵盤にずらっと音を並べて弾く

Menuは「この音、すぐ欲しい」というときのインストゥルメント。ブラウザでソースを選び、鍵盤の好きな位置にドラッグするだけです。面白いのが「Expand Source to Keys」で、最後に弾いたソースを鍵盤全体にマッピングし、1つの音を普通の音階楽器として弾けるようにできます。鍵盤ごとにフィルターやEQも調整可能です。

Cue Creator:ワンシーンが一発で完成するプリセット

Cue Creatorは、スティング・テクスチャー・リズムを組み合わせて、すでに1つの「場面」として成立しているプリセット。DesignerとMenuの両方に入っていて、合計35個あります。何から重ねればいいかわからないときは、ここから始めて自分好みに崩していくのが近道です。

Master FX:トレードマークの「Punish」ノブ

出力全体にかかるマスターFXには、Heavyocityおなじみの「Punish」ノブがあります。コンプレッションとサチュレーションで音を痛めつけるエフェクトで、タイプは3つ。

  • GENTLY NOW(やさしめ)
  • HURT ME PLENTY(たっぷり痛めつけて)
  • NIGHTMARE(悪夢)

名前だけでもう楽しい。ほかにフィルター、コンプレッサー、コーラス・フランジャー・フェイザー、マスターEQ、ディレイ、リバーブが用意され、並び順もドラッグで入れ替えられます。

Heavyocity Psychosis

メリット

  • ジャンプスケア系のスティングが324個と豊富で、「ビクッ」の引き出しが多い
  • 実在の楽器を録って加工した素材なので、シンセとは違う生々しい不気味さが期待できる
  • Cue Creatorで、ワンシーンぶんの不穏な空気を一発で出せる
  • Macroで複数のパラメーターを1つのつまみにまとめられ、細かい調整が苦手でも音を動かしやすい
  • Menuの「Expand Source to Keys」で、気に入った単音をそのまま楽器化できる

デメリット

  • ホラー・スリラーに特化しているので、明るい曲やポップス用途ではほぼ出番がない
  • Designerは機能が多く、Macro・シーケンサー・SEQモードまで使いこなすには慣れが必要
  • ソースが720種類あるので、最初は音探しに時間を取られる印象

「怖い音だけに特化した」割り切りが、そのまま強みであり、弱みでもあります。

まず気になるのは、Designerの3チャンネル構成が、ホラーの音作りの流れと噛み合っていること。ホラーの音は「1発の衝撃音」で成立するシーンは意外と少なくて、「低音の持続+不規則なリズム+高域の軋み」のような層が積み重なって怖さが生まれます。その層を最初から3つ重ねる前提で設計されているので、組み立てはスムーズに進むと思います。

DriftとScatterのような「毎回少しずつ違う」作りも、ホラー向きだと思います。同じ音が同じ表情で何度も鳴ると、人は慣れて怖くなくなるんですよね。

逆に、初心者が最初に開くと情報量に圧倒されるかもしれません。まずはMenuで鍵盤を叩いて好きな音を探し、気に入ったらDesignerに移る順番がおすすめ。プリセットだけでも、ホラーの雰囲気はかなり出せるはずです。

──個人的には、ホラー系の映像やゲームの音作りに本気で取り組むなら、持っておいて損のない一本だと感じます。

ジャンル別の使いどころ

ホラー映画・ドラマの劇伴

王道の使い方。ジャンプスケアのスティングと、じわじわ迫る持続音を重ねるだけで、緊張感が一気に高まります。Cue Creatorで土台を作り、スティングを足し、場面転換にはトランジションを使う流れが良さそうです。

ホラーゲーム・脱出ゲームのBGM

ゲームは同じ場面が繰り返されるので、音が単調だと飽きられます。Macro SequencerやDrift、Scatterで変化をつければ、ループしても「同じに聞こえない」BGMが作れます。

YouTube・ショート動画の演出

ホラー系の実況動画や怪談の朗読動画にも相性がいいはず。音程のないアトーナルリズムを背景に敷くと、BGMとして主張しすぎず、不穏な空気だけを足せます。

ダークアンビエント・実験的な音楽

テクスチャーやサステインを重ねて、ホラーに限らない暗い音の風景を作る使い方も面白いと思います。サウンドデザインの考え方はアンビエントの作り方を解説した記事も参考になります。

Psychosisとほかのシネマティック音源の使い分け

Heavyocityには、暗い・重い方向のシネマティック音源がほかにもあります。シリーズ全体はHeavyocityのおすすめ音源紹介にまとめています。

  • Symphonic Destruction(Redux):クラシック・サスペンス・ホラー映画向けのオーケストラ音源
  • OBLIVION:DOOMのサウンドトラック風の曲が作れる音源
  • DYSTROPIA:ポストアポカリプスの風景や不穏なディストピアの世界観を描く音源
  • Gravity 2:映像を見ている人の感情を揺さぶるスコアリング音源

使い分けの軸は「曲の土台を作るのか、場面に差し込むのか」だと思います。オーケストラ編成の緊張感や、世界観そのものを描く音源は、曲やシーン全体の土台向き。一方でPsychosisは、驚かせる一撃(スティング)と不穏な質感に振った作りなので、場面の要所に差し込む役割が合います。

個人的には、Symphonic DestructionやDYSTROPIAで土台を組み、その上にPsychosisのスティングやテクスチャーを重ねる組み合わせが面白そうだと感じました。すでにHeavyocityの音源を持っている人ほど、役割が被りにくい一本だと思います。

どんな人におすすめ?

  • ホラー映像・ホラーゲームのBGMや効果音を作りたい人
  • 手持ちの音源では「怖さ」が足りないと感じている人
  • ジャンプスケア系の効果音を、自分で作り込みたい人
  • サウンドデザインの引き出しを増やしたい人

Q. ホラー以外のジャンルでも使えますか?

A. ホラー・スリラー向けに作られた音源ですが、音程のないアトーナルリズムや、サステイン&テクスチャーは、ホラーに限らず緊迫したシーンやダークな曲の隠し味として使えると思います。明るい曲やポップスのメインとして使う音源ではありません。

Q. スティングを映像のタイミングに合わせるには?

A. Menuでスティングのソースを選んで鍵盤に並べておけば、DAWのMIDIノートを映像の該当位置に置くだけで、単発の効果音として当てられます。音の頭の位置は、Performページのサンプル開始位置の設定でも調整できます。

Q. リズム系のソースはDAWのテンポに合いますか?

A. テンポ同期のソースは、WAVEモードのTEMPO SYNCで再生レートを調整できます。シーケンスの動作モードを「Free Run」にすると、DAWのテンポと曲の位置に合わせて動きます。

Q. メロディを弾くこともできますか?

A. 鍵盤で弾けるキーやプラック系の「プレイアブル」が収録されています。Menuの「Expand Source to Keys」を使えば、気に入った単音を鍵盤全体に展開して、音階楽器として弾くこともできます。

まとめ

Heavyocity Psychosisは、ジャンプスケア、不穏なテクスチャー、いびつなリズムを、実在の楽器の録音から作り込んだ、ホラー・スリラー特化のKontakt音源です。

3チャンネルを重ねるDesigner、素早く鍵盤に並べるMenu、ワンシーンぶんの音が出来上がるCue Creator。さらに、Macro Sequencerで音が時間とともにうごめき、DriftとScatterで毎回少しずつ違う表情になる。この「同じ音に聞こえない」作りが、怖さを持続させるうえで効いてくる音源だと思います。仕上げまで音源の中で完結できるMaster FXも魅力です。

ホラー以外では出番が少ないものの、怖さを本気で作り込みたい人には、頼れる一本になるはず。まず動画で音を聴いてから検討してみてください。

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あざらあし

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