歌声合成ソフトを始めたいけれど、「Dreamtonics Thriller Bundle」は名前の似たバンドルが3つ並んでいて、何が違うのか分からない……
そんな状態で止まっていませんか?
歌声合成とは、歌詞と音符を入力すると人の声で歌ってくれる技術のこと。バンドルは複数の製品をまとめて割安に買えるセット、拡張パックは本体に後から足す音色や楽器のデータのことです。
3つとも中身はDreamtonicsの製品。歌声合成ソフト「Synthesizer V Studio 2 Pro」、合唱のAIボイス「Choir Voices 2」、AIで楽器の演奏を再現する「Instrument X」の拡張パックを、どこまで入れるかで3段階に分けたのがThriller Bundleシリーズです。
名前の通り、映像やゲームに付ける音楽(劇伴)の中でもホラーやスリラー向けの内容ですが、ボカロ曲や映像BGMにも使えるセットだという印象。違いを整理して、どれを選べばいいかまで決めていきましょう。
目次
Dreamtonics Thriller Bundleは何が違う?3バンドルの中身を比較
3つの正体は、中身の積み上げ方で見るとシンプルです。
Dreamtonics Thriller Expansion Bundle :Choir Voices 2とInstrument X Orchestral Violin 1のセット
Dreamtonics Thriller Bundle :上のセットにSynthesizer V Studio 2 Pro本体が付く
Dreamtonics Thriller Bundle Plus :Thriller Bundleに、Orchestral Contrabass 1とOrchestral Flute 1がさらに付く
「Expansion → 無印 → Plus」と、右へ行くほど中身が積み上がっていきます。
Expansion Bundle Thriller Bundle Thriller Bundle Plus Synthesizer V Studio 2 Pro なし あり あり Choir Voices 2 あり あり あり Orchestral Violin 1 あり あり あり Orchestral Contrabass 1 なし なし あり Orchestral Flute 1 なし なし あり 購入前に必要なもの Synthesizer V Studio 2 Pro なし なし 向いている人 すでにProを持っている人 歌声合成を一から始める人 始めると同時に劇伴用の楽器も揃えたい人
注意したいのは一番左のExpansion Bundleです。拡張パックだけのセットなので、Synthesizer V Studio 2 Proのライセンスを持っていることが前提。持っていない人が買っても、合唱ボイスを動かす土台がありません。
収録されている製品をざっくり把握する
バンドルの中身は、役割で分けると3種類です。
Synthesizer V Studio 2 Pro:歌声合成の本体
音符と歌詞を打ち込み、歌わせる声を選び、表情を整えて歌を作るソフト。買い切りで、月額課金はありません。
Pro単体を買うと、歌声データベース(AIが歌うための声のデータ)が1つ付いてきます。選べるのは、日本語の女声「Mai 2」、英語の男声「Liam」、中国語の女声「Mo Xu」。どの声でも、日本語・英語・中国語・広東語・スペイン語・韓国語の6言語で歌わせられます。
Version 2ではレンダリング(音の書き出し)が最大300%高速化し、AIが歌い直しを提案する「AIリテイク」や、子音のタイミングを調整するパネルも加わりました。新機能の詳細はSynthesizer V Studio 2 Proの新機能まとめ にあります。
Choir Voices 2:言葉を歌う合唱隊
合唱を再現するAIボイスで、「アー」「オー」だけでなく、入力した歌詞を歌わせられるのが売りです。
Choir Voices 2はシリーズの2番目で、ソプラノ・メゾソプラノ・テノール・バリトンの4パートを収録。クラシックやオペラ、映画音楽向けの重厚な方向性です。国内では「アンサンブルシリーズ vol.2」 の名前で案内されています。
人数は1人から16人まで選べて、ソロとして使えば合計16の声が使えます。声の表情はBright・Rounded・Smoothの3モードで切り替え可能。コレクションの詳細はSynthesizer V 2 アンサンブルシリーズの解説記事 でも書いています。
ホラー映画の予告編みたいな「ゴゴゴ……」という重い合唱を、自分の言葉で歌わせられる。これは単純にワクワクします。
Instrument X の拡張パック:サンプルを使わない楽器
Instrument Xは、録音した音を再生するのではなく、AIが楽器の鳴り方をモデリングして演奏を作る仕組みの音源。拡張パックを買うと、使うためのエディターも付いてくるので、Instrument X本体の追加購入は不要です。
収録されているのは弦と木管の3つ。
Orchestral Violin 1 :スタッカートやレガートに加え、弓の木の部分で弦を叩くコル・レーニョなどに対応。複数の奏法を1音に重ねられます。ホラー系の表現に使えるラフネス(荒々しさ)の調整も売りとされています
Orchestral Contrabass 1 :弦・胴・駒・指板のやりとりをモデル化した低音の楽器。スコアの足元に、重く唸るような迫力を足す役割です
Orchestral Flute 1 :ビブラートの深さと速さを自分で操作できるフルート。弱々しく人間くさい質感を出しやすい楽器だとされています
どの楽器も、別テイクをAIが作る「AIリテイク」、同じ音を最大16人分重ねられるユニゾン機能、マイク位置を切り替えるミキサーが共通。レンダリングはローカルで完結し、ネット接続は不要です。1楽器あたり約160MBと、軽いのも地味にありがたいところ。
Dreamtonics Thriller Bundleの価格とセール情報【2026-10-24時点】
価格は為替などで変わるため、購入前にPlugin Boutiqueで確認してください。
Plugin Boutiqueの円表示で、セールは2026年11月1日まで です。
通常価格は、各製品を単品で買ったときの合計と一致しています。単品の価格は次の通り(同日時点)。
Synthesizer V Studio 2 Pro:¥18,172
Choir Voices 2:¥32,949
Orchestral Violin 1 / Contrabass 1 / Flute 1:各¥17,949
ここで見ておきたいのが、バンドル同士の差額です。
無印とPlusのセール価格の差は¥8,694。この金額でContrabass 1とFlute 1が付いてきます(単品なら合計¥35,898)
ExpansionとThriller Bundleの差は¥8,695。この金額でSynthesizer V Studio 2 Pro本体が付きます(単品¥18,172)
有料購入なら、期間限定の特典としてMoogのサチュレーター「Moogerfooger MF-109S Saturator」も選べます。
価格の評価は、セールならかなりアリ。特にPlusは、半額で楽器3つが付く計算なので、劇伴の道具を一式そろえたい人に刺さります。ただ、どれも数万円の買い物。「いま必要か」は一度立ち止まって考えたいところです。
Dreamtonics Thriller Bundleのメリット・デメリット
メリット
歌声合成ソフトと合唱、楽器の音源を一度に導入できる
買い切りなので、購入後に月額費用がかからない
持っている製品に合わせて、3段階から選べる
デメリット
3つとも数万円クラスで、気軽に試す金額ではない
無印やPlusは、すでにProを持っている人にはProが重複する
楽器は弦とフルートだけで、金管や打楽器は入っていない
Choir Voices 2は中国語で録音されたコレクションなので、日本語の歌わせ心地は試聴で相性を見たい
Instrument Xは新しい音源で、海外のレビュー の一つには、重ねたときのアンサンブル感や、仕上げの手作業が必要になる点を指摘する声もある。アップデートで変わりうる内容なので、最新の状態は体験版で確かめたいところ
「何でも入りのお得セット」というより、劇伴や歌ものを作る人向けに用途を絞った構成、というのが正直な印象です。
自分に合うのはどれ?Dreamtonics Thriller Bundleの選び方
どれを買うかは、いま持っているものでほぼ決まります。
Synthesizer V Studio 2 Proを持っていないなら、無印かPlus
歌声合成を始める人は、この2択。決め手は「Contrabass 1とFlute 1が必要か」だけです。
歌をメインに作りたい、楽器は他の音源があるなら無印
映像やゲームの劇伴も作りたい、低弦と木管を足したいならPlus
劇伴に少しでも興味があるなら、Plusの方が結果的に納得しやすい人は多いと思われます。まず歌声合成だけ触りたいなら無印で十分ですが、楽器を後から単品で足すと割高です。先ほどの通り、2つで¥35,898かかるものが、バンドルの差額なら¥8,694で済みます。
すでにProを持っているなら、Expansion Bundle
Proを持っている人が無印やPlusを買うと、本体を二重に買うことになります。Choir Voices 2とViolin 1がほしいなら、Expansion Bundleが筋の通った選択です。手持ちがバージョン1のProの場合は対象外なので、購入前にバージョンを見ておいてください。
選ぶときの考え方
自分なら、ホラーや劇伴に少しでも興味がある時点でPlusに寄せます。差額の割に、低弦と木管という「物語の空気」を作る楽器が手に入るからです。逆に、歌ものだけで十分なら無理にPlusへ行く必要はなく、Proを持っている人なら迷う余地はあまりありません。
──迷ったらPlus、手持ちにProがあるならExpansion。
使いどころ:ジャンル別の活用イメージ
ホラー・サスペンス系の劇伴
ここがバンドル名の本領。ヴァイオリンのコル・レーニョやラフネスで不穏な質感を作り、コントラバスで低域に重さを足し、そこへChoir Voices 2の合唱を重ねる。ホラー映画の予告編にありそうな緊張感は、この3つだけでかなり組み立てられそうです。フルートの不安定なビブラートを足すと、怖さの種類が増える印象。ジャンプスケアや不穏なテクスチャーを足す音源は、Heavyocity Psychosisの記事 で紹介しています。
ボカロ曲・歌もの
Synthesizer V Studio 2 Proの本領です。メロディと歌詞を入れて声を選び、仕上げていく。日本語の声を選べば、日本語の曲づくりがすぐ始められます。合唱を重ねてサビを壮大にするアレンジも可能。全体の流れはボカロ曲の作り方の解説記事 で書いています。
買う前に試せる?無料トライアルとライセンスの考え方
バンドルを買う前に、合う・合わないは確かめられます。
Synthesizer V Studio 2 Pro :14日間の無料トライアル。クレジットカード登録は不要で、期間が終わると機能制限モードに移るだけで、自動課金はありません
歌声データベースとChoir Voices :それぞれ7日間のトライアルがあります
Instrument X :14日間の無料体験があり、拡張パックも14日間試せます。体験版には、1グループあたり150ノートまで、バウンス(音の書き出し)は使えないという制限があります
ライセンスの仕組みも整理しておきます。
Synthesizer V Studio 2 Pro:Dreamtonicsのアカウントに紐づく方式。エディタ上でログインすると、アカウントで所有している声が使えます
Instrument Xの拡張:エディターが付属するため、他のソフトは必要ありません
Instrument Xの音がわかる動画
Instrument Xの音は、動画で聴いておくとイメージしやすいと思います。公式の紹介動画と、海外のクリエイターの動画です。いずれも英語です。
Synthesizer V Studio 2 Proの声は、Dreamtonicsの製品ページ で詳細が見られます。
どんな人におすすめ?
歌声合成を初めて始めたくて、ボーカルとオーケストラ系の音を同時に揃えたい人(無印かPlus)
ホラーやサスペンス、映画音楽のような不穏でドラマチックな曲を作りたい人
合唱に「言葉」を歌わせて、オリジナルの呪文や詩を入れてみたい人
すでにSynthesizer V Studio 2 Proを持っていて、合唱と弦だけ足したい人(Expansion)
逆に、金管や打楽器を含むオーケストラ全体を1つで済ませたい人、日本語ネイティブ録音の合唱にこだわる人は、他の選択肢も見てからの方が安心です。ほかのセールも比較したい人は、最新のDTMプラグインセールまとめ にも目を通してみてください。
FAQ
Q. Choir Voices 2に日本語の歌詞は歌わせられますか?
A. 歌わせられます。英語・中国語(北京語)・日本語・スペイン語・広東語・韓国語の6言語に対応しています。ただし、このコレクションの録音は中国語。日本語は多言語合成の機能で歌う形なので、発音の自然さは7日間のトライアルで試しておくと安心です。
Q. Synthesizer V Studio 2 CoreとProは何が違いますか?
A. Coreは、Proと同じエンジンを使った機能限定版のDAWプラグインです。Proでは、複数トラックの編集、パラメータのオートメーション、AIリテイク、内蔵エフェクト、スクリプトなどが使えるようになります。Plugin Boutiqueでは、購入金額に応じた特典の一つとして用意されています。バンドルにはPro本体が入るので、バンドルを買う場合にCoreを意識する必要はありません。
Q. DAWの中でも使えますか?
A. 使えます。Synthesizer V Studio 2 Proは、DAWの中でプラグインとして立ち上げられるほか、単体のアプリとしても使えます。
Q. 作った曲は商用利用できますか?
A. Synthesizer V Studio 2 ProとDreamtonics公式の歌声データベースには商用利用のライセンスが含まれていて、曲の配信や収益化ができます。Choir Voicesで作った合唱もロイヤリティフリー。声ごとの細かい利用条件は、購入前に見ておくと安心です。
Q. 歌声合成は初心者でも使えますか?
A. 音符と歌詞を入力して声を選ぶだけで、まず歌わせるところまでは進めます。そこから息づかいや抑揚をAIリテイクや各種パラメータで整えていく流れです。細部を詰める段階では慣れも必要ですが、最初のハードルは思ったより低いと思われます。
まとめ
Dreamtonics Thriller Bundleは、「Synthesizer V Studio 2 Proを持っているか」と「低弦と木管が必要か」の2点で選べば迷いません。
Proを持っていないなら、歌ものが中心なら無印、劇伴まで広げたいならPlus。Proを持っているなら、合唱と弦だけのExpansion Bundle。この3パターンで整理できます。
特にホラーやスリラー系の曲を作りたい人には、不穏な弦、重い低音、言葉を歌う合唱が1セットで揃う面白い構成。セールは2026年11月1日までなので、気になるならまず無料トライアルで合唱と声を聴いてみてください。
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