オーケストラの楽器を1トラックずつ立ち上げて、バランスを取るだけで日が暮れる…… アイデアはあるのに、鳴らし始めるまでが遠い……
そんなときに使いたいのが「Hollywood Scoring Tools」。
Hollywood Scoring Toolsは、EastWestとSonuscoreの164楽器を使った、編曲済みの「スコア」を選んで弾き始める音源です。ジャンルで絞って1つ読み込めば、イントロ、メインA、メインB、アウトロの4パターンがその場で鳴ります。
選ぶ軸は、作りたい場面のジャンル。アクション、トレーラー、ホラー、ファンタジーのように、場面の空気が先に決まっている曲なら、白紙から楽器を積むよりずっと早く土台ができそうです。反対に、パートを1本ずつ細かく打ち込んで仕上げたい人には、役割が違うタイプ。
目次
Hollywood Scoring Toolsとは? スコアを選んで弾き始めるスコアリング音源
ジャンルを絞ると4パターンがすぐ鳴る、という発想がまず面白い。
ブランドはEastWest Sounds。素材の約8割がEastWestのライブラリ、約2割がSonuscoreのライブラリという構成です。
ひとことで言うと、「楽器を1つずつ読み込む音源」ではなく、「編成と演奏パターンまで組まれたプリセットを読み込む音源」。この単位を「スコア」と呼びます。1つのスコアに10個のスロットがあり、各スロットに楽器とアルペジオのパターンが入っています。
主なスペックは次のとおり。
スコア:300以上(公式FAQの数え方では328)
アレンジ:スコアごとに4パターン(Intro / Main A / Main B / Outro)
楽器:164(オーケストラ57、シンセ43、バンド20、ワールド34、クワイア&パーカッション10)
ジャンル:14(Action、Trailer、Documentary、Fantasy、Mystery、Romance、Historic、Adventure、Thriller、Drama、Horror、Uplifting、World、Sci-Fi)
スタイル:12(Tension、Underscore、Wall of Sound、Hybridなど)
容量:約103GB
ライセンス:買い切り(永続ライセンス)
ジャンルとは別に「Ensemble」というカテゴリーがあり、Big OrchestraやFantasy Orchestraのような大編成、マレットや撥弦楽器を集めたワールド編成が入っています。
SonuscoreのThe Orchestra やThe Pulse で知られるオーケストレータープログラムをベースにEastWest Soundsのサウンドを鳴らせるシステム。
映像に音をつけるスコアリングに特化した内容で、複雑な楽器同士のオーケストレーションを簡単に仕上げることができるのが特徴です!
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Sonuscore The Scoreとの関係
Hollywood Scoring Toolsは、Sonuscoreの「The Score」の作り方を引き継ぎ、音の素材をEastWestのハリウッド系の録音に寄せた音源。スコアの内訳は、新しく作られた177スコア(708アレンジ)と、The Scoreから持ち込んで手を入れた151スコア。合計で328、という数字です。
The Scoreを使ったことがある人は、スコアを選んで中身を差し替える流れに馴染みやすいと思われます。Sonuscore製品については、Sonuscoreのセール&おすすめ記事 で紹介しています。
Hollywood Scoring Toolsの主要機能
画面は3つのページ(Find、Shape、Play)で構成されています。
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Scoreブラウザ(Find)
ジャンルを複数選ぶと、すべてに当てはまるスコアだけに絞られます。たとえばFantasyとAdventureを同時に選べば、その両方のタグを持つものだけが並ぶ形。
スタイル(12種)との組み合わせで、雰囲気をさらに絞る
拍子で絞り込み、名前で検索
よく使うスコアに星を付けて、星付きだけ表示
自分で保存したスコアは「User」のタグにまとまる
クリックで読み込んで次を探し続けられ、ダブルクリックなら読み込みと同時にShapeページへ移動します。標準で入っているスコアには、音楽的な狙いと弾き方(音域のどのあたりで弾くか、低音を伸ばすタイミングなど)の短い説明が付いています。
10スロットのミキサー(Shape)
1つのスコアは10スロットで動いていて、画面には5つずつ表示されます。スロットをクリックすると楽器ブラウザが開き、164楽器のどれにでも差し替えできる仕組み。
スロットごとに、ボリューム、パン、オクターブ、リバーブセンド、ソロ、ミュートがあり、チャンネルストリップのような扱いです。
MinとMaxのハンドル:モジュレーションホイールを動かしたときの最小音量と最大音量。ホイール1本で、小さく親密な響きから大編成まで動かせる
アーティキュレーションの切り替え:専用のスイッチはなく、楽器そのものを入れ替える方式(High Strings Sustain、Staccato、Pizzicatoは別々の楽器)
スロットごとのFX:アタックとリリース、3バンドのパラメトリックEQ、インサートFX3枠(21種類のエフェクトから選択)
Global FX:全スロットが送るリバーブで、実在の空間を使うコンボリューションと、広さを調整できるアルゴリズミックから選べる
いじった結果は、スコアバーのSaveで「Userスコア」として保存できます。保存数に上限はなく、標準のスコアと同じブラウザに並ぶ仕組み。
アルペジエーター(Play)
10スロットそれぞれに専用のアルペジエーターがあり、スロットの帯にパターンが表示されます。クリックするとエディターが開き、音の順番、レート、ベロシティ、自作シーケンスまで触れます。
拍子は自分で選べて、パターンの長さは1・2・4小節、再生はハーフタイム、ノーマル、ダブルタイムから選択。音を1つずつ「弾く」より、「パターンを動かす」寄りの音源と思われます。
セクションの切り替え
1つのスコアには、Intro、Main A、Main B、Outroの4つのアレンジが入っています。C1〜F1のキースイッチでセクションを切り替え、G1は最後のコードで止めるエンディングの役割。キースイッチのオクターブは設定で移動できます。
モジュレーションホイールの下にあるセレクターには、今鳴っているセクション名が表示され、クリックで直接選ぶことも可能です。さらに、あるセクションのパターンを全スロット分コピーして別のセクションへ貼り付けられるので、Main Aを元にMain Bを作って少し変える、という流れが組めます。
MIDIをDAWへドラッグ
弾いた演奏は、MIDIのタイルをDAWのトラックへドラッグして取り出せます。スロットごとに1トラック、楽器名が付いたマルチトラックのMIDIファイルとして落ちてくる形。
164の楽器
164楽器は5つの世界に分かれています。
オーケストラ(57):ストリングス、ブラス、ウッドウィンド、マレット、ハープ、ピアノ、チェレスタ
シンセ(43):リード、ヒット、ベース、パッド、アンビエンスFX
バンド(20):ベース、ギター、ドラムセット、キー
ワールド(34):撥弦、擦弦、メタロフォン、管、パーカッション
クワイア&パーカッション(10)
オーケストラだけでなく、シンセやバンド楽器まで同じスコアに混ぜられるのが特徴。ハイブリッド系のトレーラーやSF系のサウンドも、1つの音源内で組み立てられる設計です。
Hollywood Scoring Tools
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メリット
楽器の選定とバランス取りを飛ばして、鳴らしながら曲の方向を決められる
1スコアにIntro、Main A、Main B、Outroの4パターンが入っていて、曲の構成を作りやすい
164楽器にシンセとバンド楽器が含まれ、オーケストラ以外の音もまとめて足せる
スロット単位でEQ、インサートFX、リバーブセンドまで触れて、そのまま自分用のスコアとして保存できる
演奏をマルチトラックMIDIで取り出せるので、DAW側で別の音源に差し替える使い方もできる
デメリット
EastWest Opus上で動く音源で、Opusのプレーヤーは製品に含まれる。すでにOpusを入れている人は1.6.6以上への更新が必要。Kontaktで動く音源ではない
容量は約103GB。保存先の空きに余裕が要る
アーティキュレーションの切り替えが「楽器の入れ替え」方式。1つの楽器の中でキースイッチを切り替えながら弾くスタイルとは別物
10スロットの枠が上限。11パート以上を1つのスコアに載せたいときは、別のトラックで補うことになる
編曲済みのスコアが出発点なので、何も触らずに使うと、同じスコアを選んだ人と似た響きになる可能性がある
Hollywood Scoring Toolsの使いどころ
仕様から見えてくる強みは、鳴らすまでの距離です。スコアを1つ読み込むと、10スロットに楽器とパターンが入った状態で始まります。あとはモジュレーションホイールで強弱をつけながら、IntroからMain、Outroへとキースイッチで進めていくだけ。
ここで注目したいのが、Min/Maxハンドルの存在。ホイールを動かしたときの音量の幅をスロットごとに決められるので、弦だけが先に膨らんで、パーカッションは後から入ってくる、といった強弱の差が作れそうです。
編曲済みのパターンをそのまま使う場合と、楽器を差し替えて自分の曲に寄せる場合では、役割が違います。前者は曲の雰囲気を決める下書き、後者は自分の音を作る作業。MIDIをDAWに落として別の音源で鳴らし直せば、Hollywood Scoring Toolsは「楽譜のたたき台を作るツール」として使えます。
──個人的には、「完成品をこれ1本で作る音源」というより、「曲の骨組みを最速で作るための音源」として見るのが一番しっくりきます。
ジャンル別の使いどころ
アクション・トレーラー:Wall of SoundやHybridのスタイルで、厚い編成を一気に立ち上げるのが得意そうです。シンセのヒットやベース、パーカッションも同じスコアに入るので、トレーラー用のBGMを素早く組み立てられる印象。
ファンタジー・RPG:FantasyやAdventureのジャンルに加え、ワールド楽器34種を混ぜれば、異国や古代の空気を足せます。冒険の場面のBGMを作る最初の一歩に向いていると思われます。
ホラー・ミステリー・スリラー:TensionやUnderscoreのスタイルと組み合わせて、不穏さを保ったまま鳴らし続ける使い方が考えられます。アルペジエーターのパターンがあるので、緊張感のある反復も作りやすそうです。
ドキュメンタリー・ドラマ・ロマンス:Underscoreで控えめに鳴らし、映像やナレーションの後ろに置く使い方が合いそうです。
ゲーム・動画のBGM全般:4つのセクションを切り替えられるので、ループ素材やシーン別のBGMを短時間で複数作りたい場面にハマりそうです。
EastWestの他の音源との違い
Hollywood Scoring Toolsは、EastWestのほかのハリウッド系音源と役割が違います。
公式の説明では、Orchestratorを使う製品はスロットとプリセットの構成が決まっているのに対し、Hollywood Scoring Toolsはスコアとアレンジを選び、スロットも自由に入れ替えられる、という違いがあります。
EastWest音源の全体像は、EastWest音源の厳選ガイド にまとめています。
どんな人におすすめ?
楽器を1つずつ読み込む作業で、曲のアイデアが冷めてしまう人
映画、ゲーム、トレーラー、動画のBGMを、短時間で何パターンも作りたい人
ジャンルを決めて、雰囲気から曲を始めたい人
オーケストラにシンセやバンド楽器を混ぜたハイブリッドなサウンドを作りたい人
作ったスコアを保存して、自分用のテンプレートを育てていきたい人
Hollywood Scoring Toolsの価格(2026-11-02時点)
購入特典として、2026-11-02時点では「Reaktor Prism」「ReSing SE」「Evolve Elastic Lite」の中から無料ギフトを選べます。もらい方はおまけプラグインをもらうやり方の記事 で解説しています。
ほかのセールはDTMプラグインセールの月次まとめ 、ブラックフライデーのセールはブラックフライデーまとめ にあります。
Hollywood Scoring ToolsのFAQ
EastWest Collectionの3種に入っていますか?
入っていません。EastWest Collection の3種(Hollywood Collection、Producer Collection、Complete Collection)の収録リストにHollywood Scoring Toolsはなく、単体で買う製品です。バンドルでEastWestの音源を揃えた人も、別に買い足す形です。
NKSには対応していますか?
公式の案内では、NKSに対応済みで、OpusのNKSサポートは無料です。
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