


スマートフォンのUIの「カチッ」という操作音、ゲームのメニュー選択の「ポン」という反応音、SFアニメーションの「ビープ」——これらの「クリックとUI系効果音」は現代のデジタル体験に欠かせないサウンドデザイン領域ですが、実は非常に奥深い世界でもあります。

UVI Clickは31,000以上のサンプル(900層)、680のプリセット、FM合成を含むBeepモジュール、5レーンアルペジエーター、グラニュラー・ディスパーサー・コーラスを含む多彩なエフェクト、そしてユーザー独自サンプルのインポート機能で、「クリック・UI音・フォーリー・実験的デジタルサウンド」の全領域をカバーするハイブリッドサウンドデザイン音源です。
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2025年5月にUVIがリリースしたUVI Clickは「UI/UXサウンド・機械的サウンド・フォーリー・ポストプロダクション」を一台で制覇することを目的として設計されたハイブリッド音源です。
現代のデジタル製品——スマートフォン、タブレット、スマートウォッチ、自動車のインフォテインメント、AIアシスタント——はすべて独自の「サウンドランゲージ」を持っています。ユーザーが画面に触れるたびに聞こえる「トン」「カチッ」「ポン」という音、アラートや通知の「ビープ」——これらを設計するには「膨大な選択肢」と「柔軟な加工ツール」が同時に必要です。
一方、ゲーム・映画・ポストプロダクションの領域でも「クリック系サウンド」の需要は高まっています。SF映画のコンソール操作音、ゲームのデジタルUI、スパイ・ハッキングシーンの電子音——これらを劇的に設計するためのツールがUVI Clickです。
動作環境はUVI Workstation(無料)またはUVI Falcon上で動作します。
UVI Clickのサウンドライブラリ(31,000以上のサンプル)は単なる「クリック音の集合」ではなく、様々な録音距離とコンタクトマイクによる多角度収録が実施されています。
この多層的な収録アプローチにより「同じ素材でも全く異なる質感の複数のサウンド」が得られており、選択肢の豊かさと音の個性が際立っています。
UVI Clickのライブラリに含まれるサウンドカテゴリ:
| カテゴリ | 収録内容 |
|---|---|
| UI Clicks | デジタル機器のタップ・クリック・ボタン操作音 |
| Mechanical Clicks | カメラシャッター・タイプライター・スイッチ・ラチェット等 |
| Electronics | 電子機器の操作音・リレー・電気接点等 |
| Foley | 日常的な物体を使ったフォーリー素材 |
| Beeps & Tones | デジタルビープ・通知音・アラーム |
| Glitch/Experimental | 電子的・実験的なクリックや音響素材 |
| Rhythmic Elements | リズミックに機能するクリック系素材 |
[!NOTE] コンタクトマイク(Contact Microphone): 空気中を伝わる音波ではなく、物体に直接接触して「固体の振動」を音声信号に変換するマイクロフォン。通常のマイクでは逃がしてしまう「素材固有の物質的振動音」を記録できます。機械・金属・木材・コンクリート等に貼り付けて使うことで「その物体そのものの声」とも言える独特のテクスチャーサウンドが得られます。映画音楽・サウンドデザイン・実験音楽で多用されます。
UVI Clickの音響エンジンは2つの独立したモジュールから構成されています。この2モジュール設計が「サンプルベースのリアルな音質」と「合成音のデジタル表現」を一台で統合する、Clickの「ハイブリッド」の核心です。
Clickモジュールは31,000以上のサンプル(900レイヤー)から成るサウンドライブラリを操作するプレイバックエンジンです。
各プリセットに7つのバリエーションが搭載されています。バリエーションとは「同一の基本素材から生まれた、わずかに異なる質感・角度・録音条件の7種類のサウンド」で、それぞれで独立設定できます:
7バリエーションがもたらす表現의幅:例えば「カメラシャッターのクリック音」プリセットがあるとき、その7バリエーションには「近距離・やや遠距離・コンタクトマイク録音・通常マイク×2種・処理バリエーション」等の7種類が入っており、状況に応じて最適な質感を選択できます。
メインのClickサウンドに加えて、最大2つの追加サンプルレイヤーをスタックできます。クリックモジュール全体では最大「メイン×7バリエーション+アドオン1+アドオン2」の構成が可能で、複数のクリック素材を重ねた「厚みと複雑さを持つ複合クリック音」が作れます。
例えば「鋭い金属クリック(メイン)+柔らかいフォーリータップ(アドオン1)+電子的なビープ(アドオン2)」を重ねたハイブリッドクリックは、単体の素材では出せない「立体感のあるUI音」になります。
[!NOTE] ラウンドロビン(Round Robin): 同一のMIDIノートを繰り返し発音させたときに、全く同じサンプルが繰り返し再生される「マシンガンエフェクト(Machine Gun Effect)」を避けるための技術。複数の異なるテイクのサンプルをローテーションで再生することで、人間が実際に演奏したときの「一回一回のわずかなブレ」を再現します。打鍵のたびに同じ音が鳴り続けると人工的に聴こえますが、ラウンドロビンで自然なバリエーションが生まれます。
BeepモジュールはClickモジュールとは完全に独立した「デジタル合成モジュール」です。サンプルではなく「合成音」でトーナルなビープ・電話着信音・アラーム・アプリ通知音等を作成します。
BeepモジュールのオシレーターはWaveshapeを連続的に変化させられる可変ウェーブシェイプオシレーターを搭載します:
FM合成が統合されており「複雑な倍音構造を持つリッチな電子音」が生成できます。FM合成の特性上、単純なオシレーターからは得られない「金属的な輝き」「非調和な倍音」「鐘やビブラフォン的な響き」が生まれます。
Beepモジュールには独立したステップシーケンサーが内蔵されており「リズミックなビープパターン」を組み込み設計できます:
Beepモジュールには複数のスピーカーIRが内蔵されています。スピーカーIRとは「特定のスピーカー/機器のEQ特性・共鳴・音響的個性」を記録したデータで、これを通すことでビープ音を「そのスピーカーで鳴らしたかのような質感」に変換します:
[!NOTE] FM合成(Frequency Modulation Synthesis / 周波数変調合成): 一つのオシレーター(変調波:モジュレーター)が別のオシレーター(搬送波:キャリア)の周波数を変調することで複雑な倍音構造の音を生み出す合成方式。ヤマハDX7シンセサイザー(1983年)で世界的に普及し、エレクトリックピアノ・ベル・マリンバ的な「ガラス質の倍音感」が特徴。Modulationの速さと深さによって「金属的・鐘的・電子的」など多様なキャラクターが得られ、UVI ClickのBeepモジュールではUIトーン・アラーム・電子音の作成に活用できます。 ウェーブシェーピング(Waveshaping): 音の波形の形状を変えることで倍音構造を変化させる音色変形テクニック。正弦波(滑らかな波)を「つぶした・ゆがめた」形に変形させることで、正弦波になかった倍音成分が生まれ音色が変わります。電子音楽・シンセサイザー設計の基本的な概念の一つです。
UVI Clickの最もユニークな機能の一つが5レーンアルペジエーターです。通常のアルペジエーターが「音程のシーケンス」を生成するのに対して、Clickのアルペジエーターは5つの独立したレーンがそれぞれ異なるパラメーターを制御します:
| レーン | 制御内容 |
|---|---|
| Pitch(ピッチ) | 各ステップの音程(クリック音をどのピッチで鳴らすか) |
| Velocity(ベロシティ) | 各ステップの音量(強く弱く) |
| Pan(パン) | 各ステップの左右定位(左から右へ動くような空間的動き) |
| Repeat(リピート) | 各ステップの繰り返し回数(同じ音を素早く複数回鳴らす) |
| Note Length(ノートレングス) | 各ステップの音の長さ(短く切るか長く延ばすか) |
最も重要な点は「5レーンそれぞれが異なる独立したステップ数を持てる」ことです。例えば:
このように各レーンが異なる長さで独立して進行すると「5つのリズムサイクルが少しずつズレながら重なる」ポリリズミックなパターンが自然に生まれます。単純な繰り返しではなく「常にわずかに変化しながら繰り返す、有機的なUIサウンドシーケンス」が得られます。
各レーンには独立したランダマイズ機能もあります。1クリックで「そのレーンのパターンをランダム生成」できるため、ピッチはランダム・ベロシティは手動設定、といった「部分的なランダマイズ」も可能です。
[!NOTE] ポリリズム(Polyrhythm): 異なる拍子のリズムを同時に重ねるテクニック。例えば「3拍子のパターン」と「4拍子のパターン」を同時に演奏すると「12拍後に初めて同じ位置に戻る」複雑なリズムが生まれます。アフリカ音楽や現代音楽・最先端の電子音楽でよく使われる手法で、「単純な繰り返しではない、有機的な複雑さ」を持つリズムが得られます。UVI Clickの5レーン独立ステップ数がポリリズム的なUIパターンを生成します。 アルペジエーター(Arpeggiator): 押さえたコード(和音)の各音を分解して順番に鳴らす自動演奏機能。シンセサイザーに標準搭載されることが多く、「ドレミ」「ミレド」「ドミレファ」等のパターンを自動で演奏します。UVI Clickの場合は音程だけでなく5つのパラメーターが独立したレーンで動く、拡張されたアルペジエーターです。
UVI Clickにはスタジオグレードの7種のエフェクトが内蔵されており、Clickモジュール・Beepモジュールの両方に使用できます:
時間差反響でリズミックなエコー感を加えます。UIサウンドに「デジタル的な広がり感」を付与したり、Beepのトーンにリズミックなエコーを加えたりする用途に。
アルゴリズムリバーブと**コンボルーションリバーブ(IR)**の両方を搭載:
UIサウンドに「空間のスケール感」を付与。小さなクリック音を「大きなサーバールームで鳴っているような残響感」にしたり、「密室の電子機器コンソール」的な響きにしたりできます。
全体の音域バランス調整。クリック音の「低域の重さ」「高域の鋭さ」を整えてミックスに馴染ませます。
GranulizerはUVI Clickの中で最もクリエイティブなエフェクトの一つです。クリック音をグラニュラー合成エンジンで処理することで:
Granulizer一つでUIクリック音を「環境音」「テクスチャー」「アンビエントドローン」に変換できます。
Disperserは全帯域に渡るオールパスフィルターで位相を分散させることで「音が空間に溶け広がっていくような」独特の空間感を生み出すエフェクトです。クリック音에 Disperserをかけると「一瞬のクリックが空間全体に広がっていくような」不思議な音響体験が得られます。
クリック音を複数のデチューンされたコピーで「厚みと揺らぎ」を加えるコーラスエフェクト。UIサウンドに快適な温かみや広がりを加えます。
コンプレッサーとリミッターを通じた最終的な出力ダイナミクスコントロール。
[!NOTE] グラニュラー合成(Granular Synthesis): 音を「グレイン(粒)」と呼ばれる非常に短い断片(通常1〜100ミリ秒)に分割し、これらの粒を別々に操作・再配置することで新しい音を作り出す合成方式。時間の伸縮(ピッチを変えずに長さを変える)が可能で、「時間が止まったような」「テクスチャーが溶け出すような」有機的なサウンドが得られます。ブライアン・イーノ的なアンビエントサウンドから、現代の電子音楽のグリッチサウンドまで幅広く活用される音響技術です。 ディスパーサー(Disperser): 位相をオールパスフィルターで周波数全体に渡り分散させることで「音が溶け広がるような」空間感を与えるエフェクト。音のエネルギーが時間軸に沿って「分散(ディスパース)」することで、クリック音が「霧散するような」不思議な後残りの感覚が生まれます。
UVI Clickには680のハンドクラフトプリセットが付属します。
| カテゴリ | 内容 |
|---|---|
| UI & UX | アプリ・デバイス向けの洗練されたUI操作音 |
| Game Audio | ゲームのメニュー・アクション・報酬・エラー音 |
| Foley | 映画・ポスプロ向けの機械・電子フォーリー |
| Sci-Fi | SF・サイバーパンク的なデジタル電子音 |
| Mechanical | タイプライター・カメラ・機械部品的なキャラクター |
| Notification | スマートデバイスの通知・アラーム・着信 |
| Experimental | グラニュラー・FM・実験的な電子音響 |
| Rhythmic | ループ的に機能するリズミックなクリックシステム |
UVI Clickには包括的なランダマイゼーション機能が搭載されています:
この機能が「偶然性から生まれる新しいUIサウンドの発見」を支援します。例えば「いいと思うClickモジュールの素材は固定して、アルペジエーターのパターンだけをランダム化する」という使い方で「素材の好みは維持しつつ、リズムパターンのバリエーションを素早く探索する」ができます。
UVI Clickの非常に重要な機能の一つがユーザー独自のサンプルをインポートできることです。
自分で録音したサウンドやサードパーティのサウンドライブラリの素材をClickモジュールに読み込むことで:
プロダクトデザインチーム・ゲームスタジオ・映画スタジオが「このプロジェクト専用の独自サウンド言語」を構築するための柔軟な拡張性がUVI Clickに備わっています。
UVI ClickはMIDI連携を重視した設計をとっています:
スマートフォンアプリ:
スマートウォッチ・IoT機器:
メニューナビゲーション:
バトル・アクションUI:
ポイント・報酬獲得音:
SF・サイバーパンクシーン:
ハッキング・AI・デジタルプロセス:
通常のポストプロダクション:
| UVI Click | Boom Library UI Sounds | SFX Bible UI | |
|---|---|---|---|
| 音源形式 | プラグイン音源(UVI Workstation) | オーディオファイルライブラリ | オーディオファイルライブラリ |
| リアルタイム演奏 | ✓(MIDIキーボードから演奏) | ✕ | ✕ |
| 合成機能(Beepモジュール) | ✓(FM合成・ステップシーケンサー) | ✕ | ✕ |
| アルペジエーター | ✓(5レーン独立) | ✕ | ✕ |
| グラニュラー処理 | ✓ | ✕ | ✕ |
| ユーザーサンプル読み込み | ✓ | ✕ | ✕ |
| プリセット数 | 680 | ライブラリ規模による | ライブラリ規模による |
| DAWオートメーション | ✓ | ✕ | ✕ |
オーディオファイルライブラリは「使いたいサウンドを探してインポートして使う」という静的なワークフローですが、UVI Clickは「リアルタイムに演奏・加工・設計する」動的なワークフローを実現します。
UVI Clickは31,000以上のサンプル(多角度・コンタクトマイク録音)、900レイヤー、680プリセット、ClickモジュールとBeepモジュールの2エンジン(FM合成・ウェーブシェーピング・スピーカーIR・ステップシーケンサー内蔵)、5レーンアルペジエーター(各レーン独立ステップ数・ポリリズム生成)、グラニュラー・Disperser・コーラス・ディレイ・リバーブ等の7種エフェクト、ランダマイゼーション、ユーザーサンプルインポート、MIDIフレンドリー設計を統合した「UIサウンドデザインの完全な動的制作環境」です。
静的な「素材集」から動的な「制作エンジン」への転換——UVI Clickはアプリ・ゲーム・映画・実験音楽に「自分だけのUIサウンド言語」を構築したいすべてのサウンドデザイナー・コンポーザーにとって、コレクションに加える価値の高いハイブリッド音源です。
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[!NOTE] UVI Workstation(ユービーアイ・ワークステーション): UVIが提供する無料のソフトウェアサンプラー/プレイヤーエンジン。UVI製のサウンドライブラリ(UVI Click含む)を動作させるための基盤ソフトウェアで、DAWのプラグインとして、またスタンドアロンで動作します。UVI Clickの使用にはUVI Workstation(無料)またはUVI Falcon(有料)のいずれかが必要です。 UVI(Univers Sons / Universal Instruments International): パリ発のプロフェッショナル音楽テクノロジー企業。映画音楽・ゲームスコア・コンテンポラリーミュージックに特化した高品質サンプルライブラリを多数開発。Drone・Meteor・Orbit・Asteroid・Walker2等のシネマティックシリーズをはじめ、専門性の高い音源ラインナップでプロのコンポーザーから高い評価を得ています。
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