アンプシミュを入れても、クリーンがどれも同じ顔に聞こえる…… ピッキングを強くしても弱くしても、音の表情があまり変わらない……
そんなときに試したいのが「Morgan Amps Suite X 」。
Morgan Amps Suite X
Morgan Amps Suite Xは、Neural DSPのアンプシミュレーターです。Morgan Amplificationのアンプ3台(AC20・PR12・SW50R)が入っていて、きらびやかなクリーンから厚みのある歪みまで、弾く強さに合わせて表情が動くのが持ち味。
Xが付かない前の版(以下、旧版)から、アンプ3台は変わっていません。Xで増えたのは、プリセットの管理と音作りのやり直しを楽にする機能と、アンプの新しいスキン2種。選ぶ決め手はアンプの音で、Xの新機能は作業の快適さを足すものです。旧版をすでに持っている人は、無料でXに更新できます。まだ持っていない人は、14日間の無料トライアルでクリーンの鳴り方を確かめてから決められるので、買ってから「思っていた音と違う」と悩む心配は小さめ。
目次
Morgan Amps Suite Xとは? Morgan Amplificationのアンプ3台を収めたプラグイン
Morgan Amps Suite Xは、アメリカのブティックアンプメーカー、Morgan Amplificationのアンプをデジタルで再現したプラグインです。開発はNeural DSP。Morgan Amplificationは2009年にギタリスト兼アンプビルダーのJoe Morganが立ち上げたブランドで、イギリスとアメリカのクラシックなアンプ設計を土台に、タッチへの反応と、ギター・ペダル・アンプの相性を大切にしてきたメーカーです。
Josh Smith、Michael Landau、Tosin Abasiといった、ジャンルの違うギタリストが使っていることも公式ページ で紹介されています。
実機のブランドについては、Morgan Amps、実機はどんなアンプ?メリット・デメリットを徹底解説 で整理しています。旧版のプラグインは、NeuralDSP Morgan Amps Suite!ネオソウル系にあうビンテージモダンアンプ で解説しています。
Morgan Amps Suite X
メリット
Morgan Amplificationのアンプ3台を1本で切り替えられる
ピッキングの強弱で音が動く、クリーン〜クランチ中心のラインナップ
位置を動かせるマイク10本と、数百種類のIR。自前のIRも読み込める
Global LockとUndo/Redoで、プリセット選びと音作りの試行錯誤が楽になった
旧版を持っていれば無料で更新できる
デメリット
アンプは3台とも1チャンネル。チャンネル切り替えで音色を変える使い方は想定されていない
キャビネットモデルはMorgan 112の1種類
極端なハイゲインは得意分野ではなさそう
コーラスやフェイザーのようなモジュレーション系は入っていない
使うにはiLokアカウントが必要
Morgan Amps Suite Xで変わったこと
Xで加わったのは次の要素で、公式ニュース で紹介されています。アンプ3台は旧版から変更なし。
Global Lock
プリセットを切り替えても、入力・ゲート・トランスポーズ・ダブラー・出力の設定をそのまま保てる機能。
プリセットを順番に試していくと、せっかく合わせた入力レベルや出力がプリセットごとに変わって、毎回調整し直すことになりがち。これを止められるのは地味に助かりそうです。
Preset Explorer
画面の左側にプリセットのフォルダが並んで、直近に使ったプリセットにすぐ戻れます。検索、タグ付け、お気に入り登録にも対応。
Xのプリセットは100種類以上。数が多いぶん、探す手間が減るのは実用的です。
Tooltips
パラメーターにカーソルを重ねると、下のユーティリティバーに説明が出ます。マニュアルを開かずに意味を確かめられるので、ブティックアンプ特有のつまみ構成に慣れていない人ほど出番がありそうです。
Undo/Redo
編集履歴つきで、設定を前の状態に戻したり、やり直したりできます。ツマミを大きく動かして「さっきの方が良かった」となったとき、手で数値を戻さずに済むのは気楽。
新しいスキン
アンプの見た目に、新しいスキンが2種類加わりました。
旧版から続いているもの
アンプ3台、プリエフェクト、9バンドのグラフィックEQ、ディレイとリバーブ、キャビシミュレーターとIRローダーは、旧版にもあった中身です。
Quad CortexとQuad Cortex miniへの対応は、公式ページに「SOON」と表示されていて、今後のCorOSアップデートで入る予定。ハードウェア側の話は、Quad Cortex/Quad Cortex Mini の比較!サイズとフットスイッチ数を絞り込んだコンパクトモデル にまとめています。
Morgan Amps Suite Xの特徴
アンプ3台(AC20 / PR12 / SW50R)を収録
プリエフェクト4種(CMP / OD1 / OD2 / TRM)
アンプごとに9バンドのグラフィックEQ(ハイパス・ローパスフィルター付き)
キャビシミュレーター+IRローダー(Morgan 112)
ポストエフェクト2種(DLY / RVB)
Transpose、Doubler、チューナー、メトロノーム(スタンドアロン専用)
100種類以上のプリセット
14日間の無料トライアル
AC20
AC20
ヴィンテージのVox AC30をベースにした、1チャンネル・20ワットのアンプ。澄んだ鳴りのクリーンから、ゲインを上げるほど温かく厚みが出て、豊かな歪みへつながっていきます。
チャイム感のあるクリーンが得意そうな1台。
PR12
PR12
Fender Princeton Reverbを土台にした、1チャンネル・12ワットのアンプ。明るくクリアなクリーンから、押すと柔らかくへたるオーバードライブへ。スプリングリバーブを内蔵しているのも、このアンプの音の特徴です。
小さめのアンプらしい、近い距離感のクリーンになりそう。
SW50R
SW50R
実機は注文を受けてから手配線で組まれる、1チャンネル・50ワットのアンプ。Dumbleのクリーンチャンネルを思わせる音で、真空管駆動のスプリングリバーブが組み合わされています。
ボリュームを上げ切ると、クリーンが一転して太く潰れた歪みに変わり、グランジやストーナーロックに向く重さが出るそうです。3台の中では、歪みの振れ幅が大きそうな1台。
キャビネットとマイク
キャビはMorgan 112。Celestion Creambackを積んだ1×12のオープンバックで、低域の厚みと豊かな中域が持ち味です。60年代後半のキャビを思わせる鳴りを狙っています。
マイクは10本あって、位置を動かせます。1本で芯を作る、2本を混ぜて奥行きと広がりを出す、ルームマイクを足して空間を作る、といった使い方が公式で案内されています。IRは数百種類から選べて、自前のIRも読み込めます。
プリエフェクト
Morganのアンプはペダルを足したときに良さが出る、というのが公式の説明。プリエフェクトはその前提で4種類です。
CMP:コンソール風のコンプレッサー。Blendで原音を混ぜられるので、ピッキングのアタックを残したまま粘りを足せる
OD1:中域が温かく前に出るオーバードライブ。アンプを押して歪みを深くしたり、リードの輪郭を出したりに使える
OD2:OD1より飽和感が強く、弾き方への追従がいいオーバードライブ
TRM:アメリカンなアンプらしいトレモロ。テンポ同期つき
EQ
アンプごとに9バンドのグラフィックEQがあり、ハイパスとローパスのフィルターも付いています。
ポストエフェクト
DLY:テープエコー風のディレイ。テンポ同期、ピンポンモード、ハイパス・ローパスフィルターつき
RVB:控えめな反射感から、長く伸びる余韻まで出せるリバーブ
グローバル機能
Doublerはダブルトラックのような軽いステレオの広がりを足す機能。チューナーは画面下に常時出せます。メトロノームは拍子・アクセント音・音符の長さを設定できて、スタンドアロンでのみ使えます。
スタンドアロンならDAWなしでも立ち上がるので、毎日の練習用に置いておく使い方もできそうです。
Morgan Amps Suite Xの使いどころ
チャイム感のあるクリーン、ジャングルポップやインディーロック
AC20の出番。澄んで鳴るクリーンにCMPで粒をそろえて、TRMでゆらぎを足すと、インディーロックやカントリー寄りの軽やかな伴奏が作れそうです。
ソウル・ブルース・R&Bの柔らかいクリーン
PR12とSW50Rのクリーン寄りの設定が向きそう。Dumbleのクリーンを思わせるSW50Rは、指で弾く強さの違いが音に出るタイプなので、コードの余韻や単音のフレーズを歌わせたい場面で試したいところ。
旧版の記事では、ネオソウル系のサウンドに合いそうだと書いていました。
グランジ・ストーナーの厚みのある歪み
SW50Rのボリュームを上げて、厚みのある飽和感を作る使い方が合いそう。OD1やOD2を前段に置けば、歪みをさらに足せそうです。
アンビエントなクリーンの広がり
DLYのテープエコー風の繰り返しとRVBの長い余韻を使い、Doublerで広がりを足せば、空間系を前面に出したクリーンが作れそうです。リバーブを内蔵したPR12やSW50Rとの組み合わせも試したいところ。
気になった点
歪みは、ゲインやボリュームを上げて育てるタイプの作り。深く潰したハイゲインを一発で出すアンプではなさそうなので、メタル系の音が主役なら別の選択肢が合います。たとえばNeuralDSP Archetype: Misha Mansoor X は、モダンメタル向けのアンプシミュレーターです。
3台とも1チャンネルなので、1本で音色の幅を広げたい人には物足りないかもしれません。その分、3台の個性ははっきり分かれているので、曲に合わせて選ぶ使い方になりそう。
Morgan Amps Suite Xの価格
2026年11月2日時点で、公式サイトの表示は€69.30です(比較用の€99.00も併記)。購入前に、公式ページの表示をそのつど確認してください。
14日間の無料トライアルあり
旧版を持っているユーザーは、無料のアップデートとして案内されている
購入とトライアルは公式サイトから。Neural DSPの購入手順は、Neural DSPプラグインの購入方法とインストール方法解説 でまとめています。
どんな人におすすめ?
クリーンからクランチまで、ピッキングの強さで表情が変わるアンプが欲しい人
ジャングルポップ、インディーロック、ソウル、ブルース、グランジを弾く人
ペダルの前段に歪みを置いて、アンプの音を土台にしたい人
旧版を持っていて、プリセット管理や音作りのやり直しを楽にしたい人
ハイゲインとは違う方向のアンプを、手持ちのシミュレーターに足したい人
FAQ
Q. 使うには何が必要?
無料のiLok License Managerと、iLokアカウントが必要です。トライアルの前に、アカウントを作っておくとスムーズ。
Q. プリセットは、そのまま使うしかない?
すべてのプリセットが調整可能です。Charlie Robbins、Jack Gardiner、Rabea Massaad、Joshua De La Victoria、Neural DSPのチームなどが作ったものが収録されています。気に入ったものを土台に、自分好みへ寄せていく使い方ができます。
Q. Transposeは何に使える?
ギターのピッチを+12/-12半音の範囲で上下できる機能です。ギターを弾き直してチューニングを変えなくても、チューニング違いの曲に合わせられます。プリセットを切り替えても設定を保つGlobal Lockの対象にもなっています。
Morgan Amps Suite Xのまとめ
Xで増えたのは、Global Lock、Preset Explorer、Tooltips、Undo/Redo、新スキン2種。アンプ3台は旧版のまま、無料で更新できます。初めて試す人は、14日間のトライアルでクリーンの鳴り方を確かめられます。
──個人的な見立てでは、歪みの強さで選ぶ人より、ソウルやブルースのコードの余韻を歌わせたい、クリーンの表情で選ぶ人向けのアンプ。
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