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LUX Orchestral Brassは何が違う?ブラス音源の打ち込みが安っぽいのを解消!

ホルンやトランペットを打ち込んでみたものの、なぜか一本調子でオモチャっぽい……。そんなブラスの悩みに向けて登場したのが、Sonuscoreの「LUX Orchestral Brass」です。

オーケストラの金管楽器をまるごと収録した、Kontakt用のサンプル音源。2026年10月に発売されたばかりの新製品で、同社のストリングス音源「LUX Orchestral Strings」と同じチーム・同じ機材・同じコンサートステージで録音されています。
Kontaktというのは、Native Instruments社が作っているサンプラー(録音した楽器の音を鍵盤で鳴らすためのソフト)のこと。この音源は無料版の「Kontakt Player」でも動くので、フル版を持っていなくても使い始められます。
ブラスは、決まるとめちゃくちゃカッコいい楽器です。ただ、打ち込みだと「音は派手なのに、なぜか生っぽくない」状態に陥りがち。LUX Orchestral Brassは、その原因になりやすい部分を最初から仕組みで解決しにいく音源です。
LUX Orchestral Brassとは?ブラスセクションをまるごと鳴らせるKontakt音源
LUX Orchestral Brassは、ブラスセクション(金管楽器の集団)を丸ごと収録したライブラリです。SonuscoreのLUXシリーズに属していて、価格は499米ドル。映画・ゲーム・トレーラー(映画の予告編に使われる音楽)向けに作られた音源ですが、クラシックやポップス、アンビエントにも使えます。
最初に気になったのが、打ち込みの手間を減らす仕組みがあちこちに用意されている点。奏法を自動で切り替えるパッチや、和音を奏者に自動で振り分ける機能など、初心者でも触りやすい方向に作られています。
ちなみに、ストリングス音源のほうはこちらの記事でも紹介しています。
ブラスの打ち込みが安っぽくなる理由とLUX Orchestral Brassの解決策
そもそも、なぜブラスの打ち込みは安っぽくなりやすいのか。よくある原因は、だいたい次の3つです。
- 全部の音が同じ強さ・同じ吹き方で鳴ってしまう
- 和音を弾くと、全員が同じ音色で「ベタッ」と重なる
- 音の立ち上がりや切り替えが不自然で、息づかいが感じられない
ブラスは息で鳴らす楽器なので、音量が変わると音色そのものも変わります。小さい音は丸くて柔らかく、大きい音は一気に明るく鋭くなる。この変化がないと、どうしても「それっぽい電子音」になってしまうんですよね。
オーケストラの打ち込み全般の考え方は、こちらの記事が参考になります。ブラスは盛り上がる場面で使うから強い、といった役割分担の話も出てきます。
LUX Orchestral Brassは、この3つの原因に対して機能で答えを用意しています。
強弱で音色が変わる「ダイナミクスレイヤー」
ダイナミクスレイヤーとは、弱い音から強い音までを別々に録音して、演奏の強さに応じて切り替えて鳴らす仕組みのこと。この音源では、長く伸ばす奏法がpp〜fff(ピアニッシモ〜フォルティッシモ。最も弱い音から最も強い音まで)の最大6層で個別に録音されています。
ポイントは、ただ音量が変わるのではなく、モジュレーションホイール(鍵盤の横にあるつまみ。CC1という信号を送ります)を動かすと楽器の音色まで変化する点。ブラスらしい「吹き込むほど明るくなる」感じを出しやすい設計です。
和音を「人数」で割り振るAuto Divisi
ブラスらしい和音は、実際には複数の奏者が音を分担して吹いています。この分担をディヴィジ(divisi)と呼びますが、Auto Divisiは入力した音符を自動で奏者に割り振ってくれる機能です。
たとえばホルンなら、1音だけ弾くと4人全員でその音を吹き、2音なら2人ずつ、4音なら1人ずつ。奏者の人数を保ったまま鳴るので、和音を弾いても薄くなりにくいのがうれしいところです。トランペットとトロンボーンは3人ずつで同じ考え方になります。
奏法の切り替えを自然につなぐS.A.T.
アーティキュレーションとは、音の出し方(なめらかにつなぐ、短く切る、強くアクセントをつける、など)のこと。ブラスは奏法で表情がガラッと変わります。
S.A.T.(Seamless Articulation Transitioning)は、音を伸ばしたまま、レガート(音をなめらかにつなぐ奏法)からサステイン(音を長く伸ばす奏法)へ、といった切り替えを再発音なし(音を鳴らし直さずに)で行える機能。キースイッチ(演奏用とは別の決まった鍵盤を押して奏法を切り替える方式)を軽く押すとゆっくり、強く押すと素早く切り替わります。切り替わる時間の目安は、ベロシティ(鍵盤を押す強さ)が低いと約4秒、高いと約1.2秒。生演奏の「吹き方が変わる瞬間」をそのまま再現するための機能です。
他のブラス音源との違いは?
ブラス音源は、大きくシネマティック系とポップス系に分かれます。シネマティック系は録音空間の響き(空気感)を含んでいて、壮大な映画音楽向き。ポップス系はドライで一音ずつの輪郭がはっきりしていて、歌ものやファンクに向きます。どちらが優れているかではなく、何を作りたいかで選ぶのが基本です。
LUX Orchestral Brassは、コンサートステージの響きを含んだ前者の立ち位置。そのなかでの個性は、音そのものよりも「打ち込みの手間を機能で減らす」方向にあります。奏法の選択、和音の振り分け、ブラス全体のアレンジを、それぞれ自動化する仕組みが最初から揃っている点が、この音源ならではの特徴です。
用途別のブラス音源の選び方は、こちらの記事でまとめています。
LUX Orchestral Brassの収録内容
ホルンからチューバまで、オーケストラの金管楽器がひととおり入っています。ソロだけでなく、複数人で吹いた録音も含まれています。
| 楽器 | 収録されている編成 |
|---|---|
| フレンチホルン | ソロ、2人(a2)、4人(a4) |
| トランペット | ソロ、3人(a3) |
| テナートロンボーン | ソロ、3人(a3) |
| バストロンボーン | 単独パート |
| バスチューバ/コントラバスチューバ | 単独パート |
| チンバッソ | 単独パート |
「a2」「a3」「a4」というのは、その人数で同じ音を一緒に吹いている録音のこと。ソロ楽器の重ね録りとは違い、複数人が同時に吹いた時の響きの厚みが入っているのが強みです。
チンバッソは、イタリア発祥の低音金管楽器。バストロンボーンとチューバの中間のような存在で、オーケストラの低音の迫力を支える楽器です。普段あまり目にしないぶん、入っているのはちょっとうれしい。
楽器の読み込み方は、大きく4タイプに分かれます。
- 複数の奏法をキースイッチで切り替える「Keyswitch」
- 1つの奏法だけを読み込んで軽く動かす「Single」
- 和音を弾くと奏者に自動で割り振る「Auto Divisi」
- ブラス全体を一度に鳴らす「Ensemble」
奏法の側には、弾き方で自動的に切り替わる「Adaptive」、2つの奏法をつなぐ「Morph」、重ねる「Combi」、テンポ同期の連打「Repetition」といったセットが用意されています。
サンプル曲

LUX Orchestral Brassの主要機能
Adaptive:弾き方に合わせて奏法が変わる
Adaptiveは、演奏した音の長さや内容に合わせて、アーティキュレーションを自動で切り替えてくれるパッチです。なめらかなレガートから、ファンファーレ風のスタッカティッシモ(極端に短く切る奏法)やマルカート(音を強調して区切る奏法)まで、弾き方で変わっていきます。
「どの奏法をいつ選べばいいかわからない」という初心者にとって、いちばん助かる機能かもしれません。まずはAdaptiveから始めて、慣れたら細かく選ぶ。この順番が合っているはずです。
Ensemble:ブラス全体を鍵盤1つで鳴らす
Ensembleは、ホルン・トランペット・トロンボーン・チューバといった複数の楽器をまとめて、鍵盤で弾いた音を自動でオーケストレーション(楽器への振り分け)して鳴らす機能です。
編成は10種類(Symphonic Brass、Heroic Brass、Chamber Brass、Low Brassなど)、ボイシング(和音の音の積み方)は10種類以上から選べます。たとえばFull Unisonoにすれば、全員が同じ音を吹く「キーボード・ブラス」として使えますし、Melodic Octavesならメロディを重ねたような力強い響きに。
ブラスのアレンジに自信がない場合でも、鍵盤1本でそれらしいサウンドが出るのは心強いところです。処理が重くなるので、レガートが必要な箇所以外はサステインを使うのがコツです。
Morph・Combi・Repetition:奏法の混ぜ合わせとテンポ同期の連打
少しマニアックですが、使いこなすと表現の幅が広がる機能もあります。
- Morph:スタッカートからマルカートへ、サステインからエスプレッシーヴォ(表情豊かに吹く奏法)へ、と音色が連続的に変化する
- Combi:サステインとスタッカートなど、2つの奏法を同時に重ねる
- Repetition:テンポに合わせた連打。モジュレーションホイールで回数を調整でき、固定の2〜4回も選べる
特にRepetitionは、トレーラー音楽のようなリズミカルな金管の連打を作るときに即戦力になる機能です。
ミックスページ:マイク位置を選んで空間を作る

収録時に使ったマイクは合計53本(ブラスの近くから遠くまで22本、ほかの楽器の音が混ざる用のブリードマイク31本)。ブリードとは、別の楽器の音がマイクにかぶって入り込むこと。これを混ぜることで、同じ空間で一緒に演奏しているような空気感が出ます。
使えるマイクポジションは、Close(近接)、Mid、Tree、Far(遠景)、Brass Bleed、Orchestra Bleed、そしてすぐ使えるFull Mixです。
ミックスページにはFull Mix、Sinfonic Mix、Big Open Mix、Close Mixなど9種類のプリセットが用意されています。3バンドのEQ、コンプレッサー(Supercharger GT)、リバーブ(Raum)も内蔵なので、迷ったらプリセットを選ぶだけでも形になります。
LUX Orchestral Brassの対応環境
動かすための条件は次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| ホスト | Kontakt 7.10.9以降(無料のKontakt Playerに対応) |
| OS | Windows 10/11、またはmacOS 13〜15(Apple Silicon・Intel両対応) |
| CPU | Intel Core i5相当以上 |
| メモリ | 8GB以上(さらに多いほうが安心) |
| ストレージ空き容量 | 59GB以上 |
| 推奨環境 | SSDと32GB以上のRAM |
注意したいのは容量。59GBはなかなかの大きさなので、ダウンロードとインストールに時間がかかる覚悟が必要です。サンプルを読み込む音源なので、SSDに置いたほうが快適に動くでしょう。
LUX Orchestral Brass の特徴
メリット
- Auto Divisiで和音がセクションらしい厚みで鳴る。ホルンは最大4人、トランペットとトロンボーンは3人に自動で割り振られる
- Adaptiveパッチがあるので、奏法に詳しくなくても曲を作り始められる
- 長い音はppからfffまで6層録音。強弱で音色が変わる設計
- S.A.T.で、奏法の切り替えを再発音なしでなめらかにつなげる
- マイク位置とミックスプリセットが豊富で、空間の作り込みがしやすい
- Ensembleなら、ブラスのアレンジが苦手でも鍵盤1本でそれらしく鳴る
デメリット
- 空き容量59GB以上、推奨32GB以上のRAMと、環境へのハードルはやや高め
- 499米ドルは、ブラス音源としては安いとは言えない価格
- Ensembleは処理が重くなりやすく、使い方に工夫がいる
- 録音空間の響きが自然に入る音なので、ドライでタイトなポップス系ホーンセクションには別の音源が合う場面もある
- 機能が多いぶん、最初は「どれを使えばいいのか」で迷うかもしれない
ブラスの打ち込みって、ギタリストの感覚だと「ハモリの音を弾いたら終わり」と思いがちなんですよね。ところが実際は、息継ぎ、アクセントの付け方、和音の振り分けで印象がガラッと変わる。そこをいちいち手で調整するのは正直しんどい……。
LUX Orchestral Brassの面白いところは、その面倒な部分を機能として最初から持っているところです。特にAuto DivisiとAdaptiveの組み合わせは、鍵盤で和音を弾くだけでセクションらしい質感に近づく設計。ブラスのアレンジに自信がない人ほど、恩恵を感じやすいはずです。
もうひとつ気になったのが、ストリングスとの組み合わせです。同じチーム、同じ機材、同じステージで録っているので、弦とブラスを並べたときのまとまりは期待できるところ。他メーカーの音源を混ぜるとき、リバーブや空気感を揃えるのに苦労しがちですから、この点はかなり助かる部分です。
499米ドルという価格は、正直悩ましいところ。ただ、ブラスのためにあれこれ調整する時間を考えると、手間を買うと割り切れる人には納得感がある金額です。
──映画やゲーム音楽のように、響きのあるブラスを作りたい人には刺さる一本。逆に、ドライで前に出るホーンが欲しいなら、先ほどのまとめ記事から別の音源を探すほうが近道です。
ジャンル別の使いどころ
映画・トレーラー音楽
ホルンのa4で厚みを出し、トランペットで主旋律を前に出す。そこへRepetitionでテンポ同期の連打を重ねれば、トレーラーでよくある迫力のあるブラスの掛け合いが作れます。低音はバスチューバやチンバッソで支えると、一気にスケールが広がるはず。
ゲームBGM
フィールド曲やボス戦では、Ensembleで王道のファンファーレを鳴らすのが手軽。Heroic Brassの編成が決め手になりそうです。静かなシーンはChamber Brassのような小さな編成で、ホルンだけをそっと重ねる使い方もあります。
クラシック・アンビエント
ホルンやトロンボーンの長い音を背景にゆったり伸ばす使い方は、録音空間の響きを活かせる場面です。ダイナミクスレイヤーが多いので、ppからゆっくり盛り上げる表現はやりやすいでしょう。
ポップス・ロックのアレンジ
ここぞというサビで、ホルンとトランペットをさりげなく足す使い方なら出番があります。バンドの中で前に出したいときは、ミックスページでCloseマイクを中心にして、EQで輪郭を足すのが使いどころ。
どんな人におすすめ?
- ブラスの打ち込みが平坦で、プロっぽく聞こえなくて悩んでいる人
- 奏法の切り替えやCCの操作に自信がなく、自動で助けてほしい人
- 映画・ゲーム・トレーラー音楽を作りたい人
- すでにLUX Orchestral Stringsを持っていて、ブラスを足したい人
- ホルン・トランペット・トロンボーンの和音のセクション感を出したい人
逆に、PC環境の用意が難しい場合は、優先度は下がります。
LUX Orchestral Brassの価格・セール情報
2026-10-19時点の公式価格は次のとおりです。
| 内容 | 価格 |
|---|---|
| LUX Orchestral Brass | 499米ドル |
| クロスグレード(LUX Orchestral Strings所有者向け) | 299米ドル |
| LUX Orchestral Strings + Brassバンドル | 799米ドル |
2026-10-19時点では、セール表示はありません。PayPalの分割払いも選べますが、条件は国によって異なります。ストリングスを持っていない人は、同時に買うならバンドルの799米ドル、すでに持っているなら299米ドルのクロスグレードが選択肢になります。
セールが始まったら動く価格帯、というのが個人的な感覚です。Sonuscoreは過去にブラックフライデーなどの大型セールで製品を割引しています。セールの動向は、こちらの記事にまとめています。
LUX Orchestral Brass FAQ
LUX Orchestral Stringsを持っていなくても使えますか?
はい、単体で使えます。LUX Orchestral Brassは独立した音源なので、ストリングスがなくてもブラスだけで曲作りを始められます。
ブラスで最初に動かすCCはどれですか?
まずはモジュレーションホイール(CC1)です。ダイナミクスと音量の両方をコントロールします。CC11は音量を追加で調整するためのCCで、長い奏法では音量と音色の変化を別々に扱えます。短い奏法では両者が連動します。最初はCC1でppからfffへ動かして、音色の変化を確かめるのがおすすめです。
パソコンのスペックが足りないときはどうすればいいですか?
軽量化の方法はいくつかあります。使う奏法を1つに絞ったSingleを使う、使わない奏法をオフにしてサンプルを解放する、使っていないキースイッチのページを減らす、画面のアニメーションをオフにする、といった方法です。
リアルタイムで演奏しても遅れませんか?
演奏用の「Live Mode」と、打ち込み用の「Lookahead Mode」があります。Live Modeは、通常の楽器では遅延0ms、Auto DivisiとEnsembleでは50msです。Lookahead Modeでは、すべての奏法のタイミングが揃う代わりに、250ms(Auto DivisiとEnsembleは300ms)の遅延が出ます。この遅れはDAWのトラックディレイで補正できます。
どのDAWで使えますか?
DAW上でKontakt Player(またはKontakt)をプラグインとして立ち上げ、その中にLUX Orchestral Brassを読み込む形で使います。DAW側は、Kontaktをプラグインとして読み込める環境を用意しておけば大丈夫です。Kontaktのバージョンは7.10.9以降が必要です。
まとめ
LUX Orchestral Brassは、ブラスの打ち込みが一本調子で安っぽくなる悩みに、機能で答えを出そうとしているKontakt音源です。
Auto Divisiで和音がセクションらしく鳴り、Adaptiveで奏法の切り替えもおまかせ。Ensembleならブラス全体を鍵盤1つで鳴らせて、Repetitionでトレーラー向けの連打も作れます。ppからfffまでの6層のダイナミクスとS.A.T.で表情をつけ、9種類のミックスプリセットで空間まで整えられるのが強みです。ストリングスと並べたときのまとまりにも期待できます。
気軽に手を出せる価格と容量ではありませんが、映画・ゲーム・トレーラー音楽に本格的なブラスが欲しい人には刺さる音源。最初は公式ページのオーディオデモで方向性を確かめて、セールが来たら動く、という買い方が現実的です。








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