ドラムバスにコンプとサチュレーターを挿したのに、パンチも重みも思ったほど出ない…… かといってプラグインを足すたびに設定が増えて、どこを触れば良いのか分からなくなる……
そんなときの選択肢が、DECAP監修のドラム処理プラグイン「KNOCK 2」です。2026年11月に出た、前作「KNOCK」の後継で、処理を1本に集約できます。
ドラムのパンチ・重み・抜けを作るプラグインで、今作からCOMP(コンプ)が加わり、6つのモジュール構成。
気になるのは、これから買う人と前作を持っている人とで悩みが違うところ。
これから買う人は、前作ではなくKNOCK 2を選ぶ理由があるのか。そもそも、DAWに付いているコンプやサチュレーターを並べた今のやり方で足りないのか。
前作を持っている人は、アップグレードで増えた機能が自分の使い方に効くのか。判断の軸は、COMP・モジュールの順番の入れ替え・位相モード・MAGICの4つです。
買ってから「今のやり方で足りていた」と気づくのが、いちばんもったいない。足りる人は買わなくていい、という結論も先に書いておきます。
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目次
KNOCK 2とは?ドラムのパンチ・重み・抜けを1本で作る
KNOCK 2は、ドラムサンプルシリーズ「DRUMS THAT KNOCK」で知られるプロデューサーDECAPが監修したドラム処理プラグイン。開発はKnock Audioで、公開は2026年11月3日です。
コンセプトは、DRUMS THAT KNOCKのサウンド作りに使うパラメーターを1本にまとめること。DECAP制作のファクトリープリセットも付いていて、初心者からプロまで使える作りと案内されています。
モジュールの並びは初期状態で、PUNCH → COMP → SATURATE → SUB → AIR → CLIPの6つ。各モジュールに電源スイッチがあり、ドラッグで順番を入れ替えられます。
画面の上にはBYPASS・PRESETS・MIX(ドライと処理音のクロスフェード)、下にはINPUT・OUTPUT・TONEなどが並ぶ構成。公式サイトでは、試聴用のループ8本でオン・オフを切り替えて聴けます。
KNOCK 2の主要機能
PUNCH
1打ごとのアタックとサスティンを整えるトランジェントシェイパー。マルチバンドで動き、低域のドンッとした重みと、中高域のパチッとした張りを別々に調整できます。
ノブはTHUMP(キックのアタック)、CRACK(中高域の張り)、BOOM(キック下の低域の持続)、TAIL(中高域の余韻の長さ)の4つ。モードはCLASSIC・FAT・BEATS・DARK・ROUNDの5つで、BEATSはMPCチョップ風の最速でタイトな設定です。CLASSICは前作のPUNCHと1対1で同じ。
COMP(新規)
KNOCK 2で新しく加わったモジュール。クラシックなハードウェアコンプをモデルにしていて、圧縮とメイクアップゲインを同時にかけます。メインノブを上げると、音量が跳ねずに太く、まとまる方向に動く設計。
ノブはSNAP(アタック感)、PUMP(リリースの速さ)、GRIP(レシオの強さ)、SLAM(低域と高域の圧縮のかけ分け)。ゲインリダクションのメーターも付いています。
モードは5つ。TIGHT、GLUE(バスのまとめ向き)、BITE(サブミリ秒のアタック)に加えて、低・中・高を別々に圧縮するマルチバンドのVICEと、ブリックウォール寄りのマルチバンドのBRICKがあります。
SATURATE
倍音を足しながら、聴感上の音量を補正するサチュレーター。ノブはGRIT(立ち上がりの硬さ)、CREAM(ヒットを抜けさせつつ高域の残り方を調整)、BUMP(低中域を温める)、WEAR(フラッター感とカラーで古びた質感)。
モードはCLASSIC・CLEAN・TUBE・BROKEN TUBE・TAPEの5つ。前作のsoft・medium・hardの3段階から、質感で選ぶ形に広がりました。
SUB
キックの存在を検出して、その下に重ねるサブ音を作るモジュール。ここは前作から入っていて、KNOCK 2の新規ではありません。
今作ではDUCK(キックの後ろにサブが来るようにサイドチェーン)、COLOR(ドライブと質感)、SUB専用のLO CUTが加わりました。音程はNOTEで音階指定、HZで周波数指定ができ、SUB SOLOでサブだけを聴けます。モードはKICK(短くタイト)、CLEAN、DIRTY(尾が長く荒いドライブ)。
AIR
刺さりを抑えながら高域を足すモジュール。今作でダイナミックEQとステレオコントロールが入りました。
ノブはSHIFT(帯域を下げて存在感、上げてきらめき)、BLUR(アタックには残して尾では引く)、OPEN(高域のステレオ幅)。モードはCLEAN(9〜13kHzのシェルフ)、VINTAGE(2〜4kHzのプレゼンスベル)、SOUL、HUSH、GLOSSの5つです。
CLIP
ピークを0dBFSの天井に押し込むクリッパー。潰れた感じを出さずに、密度と音圧を上げる役割です。
ノブはCRUNCH(カーブを硬くして、ざらつきとエッジを出す)、ROUND(トランジェントを丸める)、FRESH(明るくする)。この3つはモードではなくノブです。モードはCLASSIC(前作のクリッパーそのまま)、AGGRESSIVE、VELVET、DARK、PILLOW(ソフトリミッター寄り)の5つ。SATURATEとCLIPは、オーバーサンプリングを1X・2X・4Xから選べます。
モジュールの並べ替え
前作は5つのモジュールが固定の順番で直列につながっていました。KNOCK 2は、ドラッグで順番を入れ替えられます。位置が変わると処理の順番が変わるので、同じ設定でも音が変わります。
サチュレーターの前にクリッパーを置くのか、後ろに置くのか。DAWで複数のプラグインを並べ替えて試す作業を、1本の中で済ませられるイメージです。
位相モード3種
位相の扱いを3つから選べます。
- MIXED PHASE:初期値。標準の音で、マルチバンドで動く
- ZERO LATENCY:追加レイテンシーなし。トラッキングや演奏向けで、シングルバンドで動きCPU負荷は低め
- LINEAR PHASE:位相を揃えて、クリーンな高域になる。レイテンシーもCPU負荷も最大で、上級者向け
ZERO LATENCYでは、PUNCHのCRACKとBOOM、SATURATEのBUMPが無効。
CALIBRATEとMAGIC
CALIBRATEは、入力した音を約5秒聴いてINPUTを自動で設定し、OUTPUTをゲインマッチするボタン。音量差で良し悪しを誤認しにくい。
MAGICは、50を超えるパラメーターを組み合わせて、新しいプリセットを自動で提案する機能です。ほかに、全体にかかる上品なフラッターのPURR、明暗を傾けるTONE、出力のラウドネスをドライ信号に合わせるGAIN MATCH、最終段のSAFETY CLIPがあります。
前作KNOCKとKNOCK 2の違い
前作は、各モジュールにビジュアライザーとノブ1つだけの、シンプルな作りでした。KNOCK 2は、そこを広げた構成です。
| 項目 | 前作KNOCK | KNOCK 2 |
|---|
| モジュール数 | 5つ | 6つ(COMPが加わった) |
| 並び順 | 固定 | ドラッグで入れ替え可 |
| 操作 | ビジュアライザーとノブ1つ | メインノブに加えて、詳細パネル(INPUT・MIX・モード・専用ノブ) |
| PUNCH | 1種類 | 5モード、マルチバンド、4つのノブ |
| SATURATE | soft・medium・hardの3段階 | 5モード、4つのノブ |
| AIR | vintage・cleanの2種類 | 5モード、3つのノブ |
| CLIP | 1種類(ハードとソフトのカーブを調整) | 5モードに加えて、CRUNCH・ROUND・FRESHの3ノブ |
| 全体の機能 | HP/LPフィルター、トーン、ドライ/ウェット、プリセットなど | 前作の機能に加えて、CALIBRATE・MAGIC・PURR・GAIN MATCH・SAFETY CLIP・オーバーサンプリング設定 |
前作と同じ処理が残っているモジュールもあります。PUNCHとCLIPのCLASSICモードは前作と同じ。SATURATEのCLASSICは前作の系統です。
前作ユーザーはアップグレードすべき?COMP・順序・位相・MAGICで判断
アップグレードで増えた機能のうち、判断材料は4つ。
COMPが効く人
ドラムバスのコンプを、KNOCKとは別に挿している人。前作のKNOCKはPUNCHで張りを、SATURATEで密度を作れましたが、圧縮そのものを担当するモジュールはありませんでした。COMPが入ると、まとまりまで1本で作れます。
特にVICEとBRICKはマルチバンド。VICEは低・中・高を別々に圧縮します。SLAMのノブは、低域と高域の圧縮のかけ分けです。
今のコンプで、まとまりに不満がない人には効きません。
順序の入れ替えが効く人
前作の固定の順番で、音が決まる人には、必要ない機能です。
効くのは、同じ設定なのに音がしっくりこないとき、順番を入れ替えて探りたい人。PUNCHで整えてからSATURATEで厚みを足すのか、逆にするのか。位置を動かすだけで音が変わるので、ノブを回す前に試せる選択肢が1つ増えます。
位相モードが効く人
ZERO LATENCYは、ドラムパッドやキーボードでドラムを叩きながら、KNOCKを通して聴きたい人向け。遅れが出ないので、演奏のタイミングを崩さずに叩けそうです。その代わり、PUNCHのCRACKとBOOM、SATURATEのBUMPが使えません。
LINEAR PHASEは、位相を揃えたクリーンな高域が欲しい人向け。レイテンシーもCPU負荷も最大なので、ミックス中に限って使う形になりそうです。
ミックス作業が中心で、初期値のMIXED PHASEで困っていない人には、効かない機能です。
MAGICが効く人
プリセットを選んだところで作業が止まりがちな人。MAGICは、50を超えるパラメーターを組み合わせて新しいプリセットを提案してくれます。自分では選ばない組み合わせに出会える機能です。
自分で追い込む派の人には、なくても困りません。
上げなくていい人
4つのどれも、自分の作業に当てはまらない人。その場合、前作のままで困ることはありません。
逆に1つでも「これは欲しい」と思ったなら、上げる理由になる。
新規なら前作でなくKNOCK 2を選ぶ理由
これから買うなら、前作を選ぶ理由は薄い。
前作の中核だったPUNCHとCLIPが、CLASSICモードとしてKNOCK 2の中に残っているからです。前作のPUNCHやCLIPの処理が欲しくて、前作を選ぶ必要はありません。しかも、COMP・順序の入れ替え・位相モード・MAGICが最初から付いてきます。
前作のほうが操作が単純、という理由も弱い。KNOCK 2もメインノブだけで使えて、詳細パネルは必要になってから開けば済みます。マニュアルも、まず各モジュールのメインノブを50%以上に上げてから詳細パネルを触るよう案内しています。
価格も前作より高くはありません。詳しくは「価格と購入」の節に書いています。
標準のドラムバス処理で足りる?足りない人の見分け方
KNOCK 2を買う前に、今のやり方で足りていないかを確かめたいところ。
足りる人
DAW付属のコンプ、サチュレーター、クリッパーを並べて、仕上がりに満足している人。作業も速いなら、KNOCK 2は足さなくていい。
足りない人
- ドラムバスのたびに、コンプ・サチュレーター・クリッパーを挿し直して設定している
- キックの下に、音程を決めたサブを重ねたい
- 処理の前後で音量が変わって、良し悪しを聴き間違える
1つ目は、6つのモジュールとプリセットで手間を減らせます。2つ目は、SUBのNOTEで音階を指定できるところが効きます。3つ目は、CALIBRATEとGAIN MATCHがその役割です。
3つとも当てはまらないなら、見送って大丈夫。
KNOCK 2のメリット・デメリット
メリット
- パンチ・重み・抜けを、PUNCH・COMP・SATURATE・SUB・AIR・CLIPの1本で作れる
- COMPが加わり、まとまりまで同じ画面で整えられる
- モジュールの順番を入れ替えられて、同じ設定でも音を変えられる
- CALIBRATEとGAIN MATCHで、音量差に惑わされずに比べられる
- PUNCHとCLIPには、前作と同じ処理のCLASSICモードが残っている
- 体験版は7日間、全機能(公式サイトで配布)
デメリット
- ZERO LATENCYでは、CRACK・BOOM・BUMPが使えない
- LINEAR PHASEはレイテンシーもCPU負荷も最大で、常用向きではなさそう
- モジュールごとのモードが5つ前後あり、全部試すと選択肢が多い
- SUBはキックの検出が前提なので、素材によって効き方が変わりそう
- Plugin Boutiqueでの購入には、体験版が付かない
KNOCK 2の使いどころ
ビートメイク
PUNCHのBEATSモードは、MPCチョップ風の最速でタイトな設定。サンプル主体のビートや、808を使った曲に向いていそうです。SATURATEも、808・ワンショット・ドラムループ向けと案内されています。キックの下をSUBで補うと、低域の重みが作りやすそう。
ポップス・ロックのドラムバス
COMPのGLUEモードは、バスのまとめ向け。CLIPで天井を押さえながら密度を足せば、ドラムの輪郭がはっきりする方向に動くはず。打ち込みのドラムでも録ったドラムでも、バスにまとめて挿す使い方が基本になりそうです。
演奏しながらのモニター
ZERO LATENCYは、トラッキングや演奏向け。パッドを叩きながら、遅れなくKNOCKを通した音を聴けます。
結論:手間を減らしたい人と、新機能が刺さる前作ユーザーに
KNOCK 2は、ドラムのパンチ・重み・抜けを作る手間を、1本にまとめたいプラグイン。COMPと順序の入れ替えで、前作より「まとまりまで作れる」構成です。
これから買うなら、前作ではなくKNOCK 2。前作のPUNCHとCLIPの処理はCLASSICモードで残っていて、COMPなども最初から付いてきます。
──個人的には、ドラムバスのたびに複数のプラグインを組み直している人には買う価値があります。前作ユーザーは、COMP・順序・位相・MAGICのどれかが作業に刺さるかで決めて十分。刺さらないなら、今のままで大丈夫です。
どんな人におすすめ?
- ドラムバスのたびに、コンプ・サチュレーター・クリッパーを組み直している人
- キックの下に、音程を決めたサブを重ねたい人
- 前作を持っていて、COMPや順序の入れ替えが作業に刺さりそうな人
- プリセットから始めて、MAGICで新しい組み合わせを探したい人
- ドラムパッドを叩きながら、遅れなくKNOCKを通した音でモニターしたい人
価格と購入
026/11/5~ 12/1 まで KNOCK 2 が 19%OFF】
¥25,682 ⇒ ¥20,664(※価格は為替レートで変動あり)
◯Ver.1のオーナーのアップグレード版はこちら
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体験版は公式サイトだけ
体験版は公式サイトで配布されていて、7日間・全機能。メールアドレスを登録するだけで、支払いは不要です。ダウンロードリンクがすぐに届きます。
Plugin Boutiqueでの購入には、体験版が付いていません。
認証は2段階
Plugin Boutiqueで買っても、認証はKnock Audio側のアカウントが必要です。流れは次の通り。
- Plugin Boutiqueで購入し、ライブラリの「Show License」から、
knock2-pib-で始まる引換コードを確認する
- Knock Audio側の引換ページ(
knockaudio.com/pib-redeem-knock-2/)で引換コードを入力する
- 名前・メールアドレス・住所・電話番号を入力し、パスワードを決めてアカウントを作る
- サンクスページから、ダウンロードとライセンスコードを受け取る
- プラグイン内でライセンスコードを入力し、オンラインで認証する
引換コードは1回だけ使えます。ライセンスコードは1つにつき最大3台まで。認証にはインターネット接続が必要です。
FAQ
買ったあと、最初に何をすればいい?
マニュアルの手順は5つ。使うチャンネルにKNOCK 2を挿し、5秒以上音を流しながらCALIBRATEを押します。次にプリセットを選ぶか、今の設定から始めて、各モジュールのメインノブを調整。最後にBYPASSで元の音と比べて、気に入ったら保存します。
ドラム以外のボーカルやベースにも使える?
ボーカルやベース、サウンドデザインにも使えるという海外の記述もありますが、設計の中心はドラムです。まずドラムで試す形が合います。
クリッパーだけ必要なときは?
同じメーカーから、クリッパーだけの単体版「KNOCK Clipper」が別に出ています。Plugin Boutiqueの表示は¥8,540(2026-11-05時点)。KNOCK 2のCLIPは、6つのモジュールの1つという位置づけです。
CLIPのメインノブを0%にすれば、クリップは止まる?
止まりません。メインノブが0%でも、CLIPの処理は動き続けます。クリップを切るには、モジュールの電源スイッチを切ります。
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