ドラム音源を立ち上げて、キックを置いたところで手が止まる…… 手持ちのキットを選んでも、どの曲も聴いたことのある音になってしまう……
そんなときに使いたいのが「DrumNet 2」。
DrumNet 2は、Session Loopsが出したAIドラムマシン。パターンはジャンルを選んで生成し、鳴らす音色もAIが作ります。
迷いどころは、悩みが「いい音を探す」ことなのか、「音やパターンを作る」ことなのか。DrumNet 2は作る側の製品で、音もパターンもAIで作ります。サンプルが山ほどあって探すのが大変、という悩みなら、XOやAtlas 2のような探す系の領域で、DrumNet 2では解決しません。悩みの置き場所がずれていると、買ってから「欲しかったのはここじゃなかった」となりがち。
もうひとつ、買う前に押さえたいのが試用の条件。14日間は全機能を試せますが、期間が終わるとインポートとエクスポートは無効です。生成した音のDAWへの書き出しや、手持ちサンプルの読み込みを購入前に確かめられるのは、14日の間だけ。この2つを試用中に通しておけば、買ってからの「思っていた使い方と違った」は減らせます。
前作DrumNetを持っている人は、2で増えた部分が自分の悩みと重なるかどうかで、アップグレードの価値が変わります。
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目次
DrumNet 2とは? 音色もパターンもAIが作るドラムマシン
DrumNet 2は、ドラムの音色を生成するサンプラーと、パターンを組むシーケンサーが一体になったプラグイン。「ドラムマシン」と呼ばれていますが、中身は音色を作って並べる道具です。
前作DrumNetは、音色を生成するところが中心でした。2で加わったのが、ジャンルを選んでパターンを自動で組む機能と、できたパターンの手直し。ここが一番の違いです。
音色をAIが生成:13の楽器カテゴリ
音色の生成は、13の楽器カテゴリにわたって無限に作れます。ドラムの音を、押すたびに別の鳴り方で出せるイメージ。
生成した音は、ピッチ・エンベロープ・フィルターで整えられます。DAWやサンプラーへ書き出すこともできるので、ほかのドラム音源の中に混ぜて使う道もあります。
パターンを生成:気に入ったレーンだけロック
ジャンルを選ぶと、全レーンにわたってドラムパターンが生成されます。
おもしろいのが、気に入ったレーンをロックして、残りだけ再生成できるところ。キックとスネアは今のままでいい、ハットだけ変えたい、という使い方ができます。白紙から1音ずつ置いていく作業を、ガチャを回して選ぶ作業に変える機能。
生成後に直す:ヒットの編集と密度の調整
生成されたパターンは、シーケンサー上で好きなレーンのヒットを追加・移動・削除できます。出てきたものをそのまま使うのではなく、土台にして直せるわけです。
トラックごとの密度調整もあります。各レーンをスカスカからぎっしりまで動かせて、動かすとそのレーンが作り直されます。ハットを詰め込みたいのか、キックを間引きたいのか、といった方向をつかみやすそうです。
Deep Resampling:手持ちの音から変化を作る
Deep Resamplingは、手持ちのサンプルを素材に、似た性格の変化を無限に作る機能。前作のv1.8.0で加わり、2にも続いています。
お気に入りのスネアが1つあるなら、そこから兄弟のような音を何個も出せるわけです。曲全体の音色の統一感を保ちたいときに活きそうな機能。
32ステップ・シーケンサーと200プリセット
シーケンサーは32ステップで、ベロシティ、ノートリピート、スウィングに対応しています。プリセットは200個収録で、House、Disco、R&B、Hip Hopなど、打ち込み系のジャンルが中心です。
探す悩みか、作る悩みか:DrumNet 2が合う人の選び方
ドラム系の道具には、手持ちの音の中から探すのを助ける系統と、新しく作る系統があります。DrumNet 2は作る系統。作る中でも、音を作るもの、パターンを作るもの、両方を作るもので分かれます。
探す悩みなら:XOとAtlas 2
XLN AudioのXOや、AlgonautのAtlas 2は、手持ちのサンプルを並べ替えたりキットにまとめたりして、欲しい音を見つけやすくする系統です。サンプルの数が増えて探すのが大変、という悩みに向いています。
DrumNet 2は新しい音を作る側なので、役割は別。サンプルがすでに山ほどあって、その中から探す作業が悩みならXOやAtlas 2の領域です。
作る悩みなら:Playbeat 4、Emergent Drums 2、DrumNet 2
パターンを作る側で近いのが、Audiomodern Playbeat 4。ジャンルを指定してパターンを素早く書く系統で、Playbeat 4のレビューも書いています。DrumNet 2との分かれ目は、音色まで生成するかどうか。
音を作る側で近いのが、Audialab Emergent Drums 2。ニューラルネットで新しいドラム音を作る、16パッドでマルチアウトにも対応した楽器型です。音色を作り込んで自分で並べたいならEmergent Drums 2、パターンまで出してほしいならDrumNet 2、という選び分け。
生ドラム系とは別物
Addictive Drums 2のような生ドラムのマルチサンプル音源とは、性格が違います。Addictive Drums 2のレビューで書いたような、生ドラムを叩いた質感を求めるなら、そちらの領域です。
DrumNet 2は、ワンショットの音色を生成して並べる打ち込みタイプ。生ドラムのリアルさを求める人には、合いません。
どれで選ぶか
- 手持ちのサンプルが山ほどあり、探すのが大変:XO、Atlas 2
- 音を新しく作りたい(パターンは自分で組む):Emergent Drums 2、DrumNet 2
- パターンが思いつかない(音は足りている):Playbeat 4、DrumNet 2
- 音もパターンも作りたい:DrumNet 2
- 生ドラムのリアルな質感が欲しい:Addictive Drums 2のような生ドラム系
14日試用で確認したいこと:インポートとエクスポート
試用は14日間で、全機能を使えます。期間が終わると、インポートとエクスポートは無効です。ライセンスを購入すれば、制限が外れます。
つまり、生成した音の書き出しも、手持ちのサンプルの読み込みも、購入前に確かめられるのは14日の間だけ。ここを見ずに期限を迎えると、「曲に乗せるときの手順が自分のDAWで成り立つのか」を知らないまま、買うかどうかを決めるしかありません。
試用中に通しておきたいのは、次の4つ。
- 生成したドラムサンプルをDAWへ書き出して、トラックに並べて鳴らす
- 普段使うDAWで立ち上げて、いつものテンポのプロジェクトで動かす
- 手持ちのサンプルを入れて、Deep Resamplingで変化を作る
- ジャンル選択、ロック、再生成の流れが、自分の作業のペースに合うか
前作DrumNetを持っている人は、アップグレードすべき?
前作を持っている人がまず気になるのは、2で何が増えたのか。
増えたもの:
- ジャンルを選んで生成するパターン生成
- 生成パターンの編集(ヒットの追加・移動・削除)
- トラックごとの密度調整
前作から続くもの:
- 13の楽器カテゴリにわたる音色の生成
- Deep Resampling
- 32ステップ・シーケンサー
増えたのはパターン生成まわりの3つで、音を作る部分は前作から変わっていないのが整理のポイントです。
アップグレード版は、フル版とは別の商品として用意されています。
判断はシンプル。前作でドラムの音は作れていて、パターンは自分で組むのが苦にならないなら、アップグレードで得られるものは少なめ。反対に、前作で音色を作っても、パターンを組む段階で手が止まっていた人にとっては、2で増えた部分がそのまま悩みへの答えです。
DrumNet 2のメリットとデメリット
メリット
- パターンも音色もAIが作るので、白紙から始めずに済む
- 気に入ったレーンをロックして、残りだけ再生成できる
- 生成後にヒットを追加・移動・削除でき、出てきたものを土台に直せる
- レーンごとの密度調整で、スカスカからぎっしりまで方向を決められる
- 手持ちのサンプルから変化を作れて、オリジナルのキットの素材になる
- 14日間、全機能を試せる
デメリット
- 試用が終わるとインポートとエクスポートが無効になり、DAWへの持ち出しにはライセンスが必要
- 生ドラムのリアルな質感を求める音源ではなく、打ち込み系のワンショットが中心
- 前作の所有者にとって、増えた機能はパターン生成まわりの3つ。音色目当てなら差は小さい
- 生成は押すたびに結果が変わるので、気に入った音はその場で書き出して残す手間がある
ジャンル別の使いどころ
House・Disco
キックとハットのかみ合わせが曲の土台になるジャンル。キックのレーンだけロックして、ハット側を何度も再生成する使い方が合いそうです。4つ打ちの上で、ハットの密度だけ動かして表情を変える作業は、密度調整の出番。
Hip Hop・R&B
間の取り方が命のジャンル。生成したパターンからヒットを減らして、スカスカに寄せる作業がやりやすそうです。スネアやハットに自分の手持ちサンプルを使いたければ、Deep Resamplingで同じ雰囲気の兄弟音を作って、キットの統一感を出す手も。
ギターのデモ曲のリズム隊
ギターやメロディを乗せたいのに、ドラムの打ち込みで先に疲れる。そういう場面では、ジャンルを選んで出てきたパターンを、曲のたたき台として鳴らす使い方が考えられます。細部は後から直せるので、まず曲の流れを確かめたい段階に向いていそう。
自分のドラムキットづくり
パターンを使わず、音色の生成だけを使う道もあります。気に入った音を書き出して、ふだん使っているサンプラーやドラム音源に混ぜれば、オリジナルのキットの素材に。曲ごとに違う音の骨格を作りたい人向けの使い方です。
DrumNet 2の価格と購入
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どんな人におすすめ?
- ドラムの打ち込みで、パターンが思いつかず手が止まる人
- 手持ちのキットを選んでも、どの曲も似た音になってしまう人
- 手持ちのサンプルから、オリジナルのキットの素材を増やしたい人
- House、Disco、R&B、Hip Hopなど、打ち込み系のジャンルが中心の人
- 前作DrumNetを持っていて、パターンを組む段階で手が止まっていた人
DrumNet 2のFAQ
Q. Plugin Boutiqueで買ったあと、どうやって使い始める?
A. 購入するとリディームコードが発行されます。そのコードをSession Loopsのアカウントに入力して、プラグインを開いたら同じアカウントでログインする流れ。認証はアカウント方式なので、アカウントを先に用意しておくとスムーズです。
Q. 14日の試用が終わったら、何も使えなくなる?
A. 無効になるのはインポートとエクスポートです。Session Loops公式ブログでは、試用後もサンプル生成とパターン生成は使えると説明されています。
Q. 前作のDrumNetは、まだダウンロードできる?
A. 前作のダウンロードは引き続き可能です。2が出たあとも、前作を使い続ける道は残っています。
Q. Deep Resamplingに向いている素材は?
A. 結果は、元にする素材の質に左右されます。こもった音やクリップした音からは同じような質の音が出やすいので、きれいな素材を選ぶのが安全です。
結論:音を探すより作りたい人が、白紙から抜け出す入口として試したい
DrumNet 2は、音色もパターンもAIで作る道具。キックを置いたところで手が止まる人や、手持ちのキットではどの曲も似た音になってしまう人に刺さります。サンプルが山ほどあって探すのが大変な人、生ドラムの質感を求める人には合いません。前作でパターン作りに困っていない人は、アップグレードの必要もありません。
選ぶ軸は、悩みが「探す」ことなのか「作る」ことなのか。作る悩みなら、14日の試用の間に、書き出しと読み込みまで通せるかを確かめてから決める。この2点を押さえれば、購入後の「違った」は減らせます。
──個人的には、パターンを組む段階で毎回止まってしまう人が、まず14日の試用で書き出しまで試してみる価値のあるプラグインだと思います。
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