Cubase 16が2026年11月4日に出たけど、いま持っているバージョンから上げるべきか……。
迷いどころは、バージョンよりエディション。16の新機能は、全エディションに入るもの、ProとArtistに入るもの、Proにしか入らないものに分かれていて、ステム分離はArtistだと使えず、重ね音色をまとめるInstrument StacksはElementsに入りません。同じ「16」でも、手に入る中身が別物です。
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目次
Cubase 16の結論(バージョン・エディション別の早見)
決め手は2つ。無償アップデートの対象かどうか。対象外なら、使いたい新機能が手持ちのエディションに入っているかどうか。
いま持っているもの 16で増えるもの 結論 Cubase 15またはこれ以前で、2026/10/7以降に新規登録したもの(全エディション) 同じグレードのCubase 16 無償アップデートの対象。費用はかからない。先に動作環境(macOS 15以降など)を見るところから Pro 15(上の条件に当てはまらない) ステム分離の6種化、Spectral AudioWarp、オーディオセンド16本、Instrument Stacks、DrumChain ほか ステム分離の6種化が作業に効くなら、アップデート(13,200円から)を検討 Artist 15(同) Instrument Stacks、DrumChain、Module FM Library、Strum / Stretch ほか。ステム分離は入らない 重ね音色を組む作業が多いなら検討。ステム分離が目当てならProへのアップグレードが前提 Elements 15(同) Strum / Stretch、歌詞レーン、テンポ検出、設定画面の刷新、VocalTouch ほか 今の作業に困っていなければ急がなくてよい。アップデートは4,400円から 14(同) 15の追加分も一緒に 最大の増分は、ステム分離とExpression Mapsの刷新(Pro)、Pattern Sequencerのメロディ対応(Pro / Artist)。後半の表で自分の行を見る。金額は購入画面で確認 13(同) 14・15の追加分も一緒に 最大の増分は、Modulators、Drum Machine、スコアエディターの刷新。後半の表で自分の行を見る。金額は購入画面で確認 12(同) 13〜15の追加分も一緒に MixConsoleの刷新とVocalChainまで加わる。後半の表で自分の行を見る。金額は購入画面で確認 11以前 12以降の全機能 上位グレードへのアップグレード商品はPlugin Boutiqueに並んでいる(例:Artist 6〜11からPro 16が69,713円)。同じグレードで上げる金額は、元の製品を選ぶ購入画面で確認
──個人的には、分かれ目はステム分離がほしいか。ステム分離を使わない人は、Proまで上げる必要はなし。手持ちがArtistなら重ね音色を組む機会の多さ、Elementsなら今の作業に困っているかどうかで考えるのが現実的だと思います。
Cubase 16の新機能をエディション別に整理
新機能は、全エディション、ProとArtist、Proだけの3層に分かれます。
新機能 Pro Artist Elements ステム分離(6種類) ○ No ー Spectral AudioWarp ○ ー ー オーディオセンド16本 ○ 8本 8本 Instrument Stacks ○ ○ ー DrumChain ○ ○ ー Module FM Library(HALion Sonic用) ○ ○ ー キーエディターのStrum ○ ○ ○ キーエディターのStretch ○ ○ ○ テンポ検出 ○ ○ ○ 設定画面の刷新 ○ ○ ○ VocalTouch ○ ○ ○ Omnivocal Basic(15のBetaから正式版へ) ○ ○ ○ サウンド&ループ(5パック) ○ ○ ○ マスタリングプリセット ○ ○ ○ Ableton Link ○ ○ ○ Waves Illugen連携 ○ ○ ○
「ー」は含まれない項目で、「No」は公式が明示している箇所。センドは比較表の数字(Pro 16本、Artist / Elements 8本)です。
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ステム分離が6種類に(Pro限定)
15の公式まとめで「AIアルゴリズムによるステム分離」と紹介されていた機能が、パートナーZplaneの最新技術を使った改良版へ入れ替わりました。分け方は、ボーカル、ドラム、ベース、ピアノ、ギター、その他の楽器の6種類。15ではボーカル、ドラム、ベース、その他の4種類だったので、ピアノとギターが加わった形です。
使いどころは、リミックス、既存の録音から特定のパートを抜き出す作業、編集用トラックの準備。ギターを弾く側なら、耳コピのためにギターだけを取り出して聴く、という使い道も浮かびます。
注意点はエディション。ステム分離はProだけで、公式の比較表でArtistは「No」、Elementsは対象外です。ステム分離が目当てでArtist 15・Elements 15から上げるなら、16へのアップデートではなく、Proへのアップグレードが前提です。
Instrument Stacks(Pro / Artist)
複数のVSTi、サンプラートラック、ドラムトラックをまとめて、ひとつのスタックとして鳴らせる機能です。レイヤーごとにキー範囲、ベロシティ範囲、移調を独立して決められるので、複雑なMIDIルーティングを組まなくても重ね音色を作れます。スタックはプリセットとして保存でき、別のプロジェクトでも呼び出せます。
トラックを複製してMIDIの送り先を組む作り方もあったので、シンセとストリングスを重ねた音を毎回組み直していた人ほど効きそうです。ProとArtistに入り、Elementsには入りません。
キーエディターのStrumとStretch(全エディション)
Strumは、打ち込んだコードをギターのストロークのような演奏に変える機能です。音ごとのタイミングを調整して、さりげないストロークの揺れから、はっきりしたリズム効果まで作れます。コードを全部同時に鳴らすと機械っぽくなる、という悩みに向く内容で、ギターや鍵盤のコード打ち込みが多い人に効く方向。
Stretchは、オブジェクト選択ツールのメニューにある「ストレッチ選択」で、MIDIノートの長さとタイミングを直接伸び縮みさせる機能です。メロディ、コード進行、ベースラインに使えて、プロジェクトのテンポを変えずにリタルダンドやアッチェレランドも作れます。
キーエディターには歌詞レーンも加わりました。MIDIノートと並べて歌詞を入力・編集でき、発音と言語の設定、ノートの移動・コピーに合わせた歌詞の追従にも対応しています。Elementsを含む全エディションで使えます。
テンポ検出と設定画面の刷新(全エディション)
テンポ検出は、少ない手順で正確な結果を出す方向に作り直されました。新しい検出アルゴリズムで、クリックなしで録音した演奏の読み込みとテンポ分析がしやすく、結果はテンポトラックへ直接適用できます。クリックなしで弾いたギターのテイクにDAWのテンポを合わせたい、手持ちの曲を取り込んでテンポを揃えたい、といった場面向けです。
設定画面は、初期設定、キーコマンド(ショートカット)、プロジェクト設定、オーディオ接続などがひとつのウィンドウに統合され、検索もできるように。ノンモーダルなので、プロジェクトを開いたまま設定を変更できます。設定の場所が散らばっていた不満には、検索で応える形です。
DrumChainとModule FM Library(Pro / Artist)
DrumChainは、ドラム専用のマルチエフェクトです。パンチ、明瞭度、低音の重みを足すプロセッサーで、複雑なエフェクトチェーンを組まなくて済む作り。プリセットは42個で、ドラムバスの下処理を1プラグインで始められる位置づけです。
Module FM Libraryは、HALionのFM Labエンジン由来のライブラリー(HALion Sonic用)。リード、キー、ベース、テクスチャーなど200以上のプリセットが入っています。細かいサウンドデザインのためというより、音色探しで勢いをつけて制作に集中するための収録、というのが公式の位置づけです。どちらもElementsには入りません。
Spectral AudioWarp(Pro限定)
HALionチームが作った、スペクトル方式のタイムストレッチ/ピッチシフトのアルゴリズムです。極端に引き伸ばしても質を保てるとされていて、ボーカル、楽器、ドラム、フルミックスに使えます。
タイミング補正の仕上げというより、引き伸ばしてテクスチャーを作るようなサウンドデザイン寄りの機能と思われます。通常の補正が中心なら、これだけで上げる決め手にはなりにくいところ。Pro限定です。
オーディオセンド16本とASIO-Guard
Proでは、1チャンネルあたりのオーディオセンドが8本から16本に増えました。追加のグループチャンネルなどの回避策を使わなくても、広いサイドチェインや複数のエフェクトバスを組めます。Control Roomのキューセンドも4本から8本に(Control RoomもPro限定)。
ASIO-Guardは、処理レベルが3段階から5段階に。先読みバッファーは、従来の約100msから最大280msまで延びました。大きなプロジェクトで再生を安定させるための拡張で、トラックとプラグインが多いプロジェクトを回している人の項目です。
VocalTouchとOmnivocal Basic(全エディション)
VocalTouchは、洗練されたボーカルサウンドを素早く作るためのエフェクトです。30プリセット、15のボーカルスタイルがあり、ミキシングの経験が多くなくても形にしやすい作り。
Omnivocal Basicは、ヤマハのOmnivocal NXエンジンを積んだボーカルシンセで、ボイスバンクは2種類。歌メロのスケッチ、作曲のアイデア出し、アレンジの実験向けです。15では「Omnivocal (Beta)」として全エディションに入っていたものが、16ではBasicとして同梱されました。15から上げる人にとっては、新機能というより正式版への切り替えです。
そのほか全エディションで増えるもの
マスタリング用のFXチェーンプリセット(技法・ジャンル別)
Ableton Link対応(同じネットワーク上の対応アプリ・機器とテンポ・ビート・トランスポートを同期)
AAC / M4A / M4B / M4Rの読み込み(変換なし。スマホのボイスメモなどをそのまま取り込めます)
Wavetickと作ったサンプルパック5種(Afro House / Beats & Breaks / K-Pop / Latin Vibes / Organic Sessions)
Waves Illugenとの連携。2か月分のサブスクリプションクーポンがSteinbergアカウント経由で付きます
12・13・14・15からCubase 16に上げると増える機能
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古いバージョンほど、間の世代の追加機能もまとめて手に入ります。16には14・15の機能もすべて入っているからです。
行は、いま持っているバージョン。各セルは、16の新機能に加えて増える主な機能です。「+上の行」は、1つ上の行の内容も含む意味。
いま持っているもの Pro Artist Elements 15 ステム分離の6種化、Spectral AudioWarp、センド16本、Instrument Stacks、DrumChain Instrument Stacks、DrumChain、Module FM Library、Strum / Stretch Strum / Stretch、歌詞レーン、テンポ検出、設定画面の刷新、VocalTouch 14 15の分:ステム分離、Expression Mapsの刷新、新Modulators 6種、UltraShaper、メロディ対応のPattern Sequencer、Pitch Shifter +上の行 15の分:メロディ対応のPattern Sequencer、Writing Room Synths、Pitch Shifter +上の行 15の分:Folder Tracksとサミング、新Hub、オートメーション強化、FXトラック256本 +上の行 13 14の分:Modulators、Drum Machine、Pattern Sequencer、Dolby Atmosレンダラー 7.1.2、DAWproject +上の行 14の分:Drum Machine、Pattern Sequencer、Event Volume Curves、DAWproject +上の行 14の分:スコアエディターの刷新、64ビットのプロジェクトファイル、Auto Saves +上の行 12 13の分:MixConsoleの刷新、VocalChain、Chord Padsの再設計、Iconica Sketch +上の行 13の分:MixConsoleの刷新、VocalChain、Chord Padsの再設計、Iconica Sketch +上の行 13の分:MixConsoleの刷新、VocalChain、Chord Padsの再設計、Iconica Sketch +上の行
13の追加分は報道ベースの整理で、エディション別には分けていません。
11以前は、12以降の全機能がまとめて増える範囲です。上位グレードへのアップグレード商品はPlugin Boutiqueに並んでいます(例:Artist 6〜11からPro 16が69,713円)。同じグレードで上げる金額は、元の製品を選ぶ購入画面で確認する形です。
Cubase 16の無償アップデート条件と価格の仕組み
無償アップデートの条件
対象は、Cubase Pro 15 / Artist 15 / Elements 15、またはこれ以前のバージョンのうち、冒頭の登録日の条件を満たすもの。登録した内容は、アカウントの「クーポンコード」欄に約30分で反映されます。譲渡品は対象外です。
フルバージョン、アカデミック版、アップデート、アップグレードで入手したものも含まれ、対象者は16が使えるようになった11/4に、同じグレードのCubase 16ライセンスを自動で受け取れます。
公式の文面で基準になるのは、買った日ではなく、アカウントへ登録した日です。たとえば9月のセールで買っていても、10/7より前に登録を済ませていた場合は、文面どおりに読むと条件から外れます。個別の事情で判断がつかないときは、Steinbergのサポートに聞くのが確実です。
Steinberg日本公式の価格(税込、2026-11-05時点)
区分 Pro 16 Artist 16 Elements 16 フルバージョン 77,000円 39,600円 14,300円 アップデート(同じグレードの最新世代へ)下記価格から 13,200円 10,450円 4,400円 アップグレード(上位グレードへ)下記価格から 49,500円 30,800円 7,150円
アップデートは、同じグレードで新しい世代へ(Pro 15→Pro 16)。アップグレードは、上位グレードへ(Elements→Pro、Artist 12→Pro 16のように古い世代から上位版へ上げる場合もこちら)です。
注意したいのは「下記価格から」の表示。これは最安値で、元のバージョンによって実際の金額が変わります。「Pro 14からでも13,200円」とは限らないので、12・13・14からの金額は、元の製品を選ぶ購入画面で見る流れです。同じ世代の中での修正アップデートは無償。詳細はSteinbergの日本語ページ に。
Steinbergのセールは、例年春(3〜4月、30%OFF)と秋(9月、40%OFF)。2026年は4/2〜4/28と9/2〜9/28でした(どちらも16発売前のセール)。アップデートとアップグレードも対象です。
Plugin Boutiqueの価格(日本円表示、2026-11-05時点)
Plugin Boutiqueでもダウンロード版のCubase 16を買えます。
商品 表示価格 Cubase Pro 16 104,115円 Cubase Artist 16 52,300円 Cubase Elements 16 17,427円
アップグレード商品は、元のエディションと世代ごとに分かれています。
商品 表示価格 Pro 16(Artist 16から) 52,283円 Pro 16(Artist 12〜15から) 66,226円 Pro 16(Artist 6〜11から) 69,713円 Pro 16(Elements 12〜16から) 87,140円 Pro 16(Elements 6〜11から) 87,140円 Pro 16(AI / LEから) 87,140円 Artist 16(Elements 16から) 34,855円 Artist 16(Elements 12〜15から) 40,084円 Artist 16(Elements 6〜11から) 43,569円 Artist 16(AI / LEから) 43,569円 Elements 16(AI / LEから) 8,712円
Plugin Boutiqueに並ぶのは、新規の3エディションと上位グレードへのアップグレードです。同じグレードのアップデート(Pro 15→Pro 16など)は並んでいません(2026-11-05時点)。
商品ページはこちら。
Cubase 16のエディション差と体験版
エディションの土台の差
新機能とは別に、土台の差も判断材料です。
項目 Pro 16 Artist 16 Elements 16 トラック数 無制限 無制限 制限あり(MIDI 64 / オーディオ 48 / VSTi 24) 最大入出力 256 32 24 センド / リターン S16 / R64 S8 / R64 S8 / R8 VCAトラック 256 0 0 Control Room ○ ー ー VariAudio ○ ○ No ARA 2 ○ ○ ー Drum Machine / パターンエディター ○ ○ ー Dolby Atmos ○ ー ー モジュレーター ○ ー ー ステム分離 ○ No ー
体験版で試す
30日間、製品版と同じ機能を無償で試せます。対象はPro 16とElements 16で、Artist 16の体験版はありません。
Artistを検討している人がProの体験版を試すときは、Artistに入らない機能(ステム分離、Spectral AudioWarp、センド16本)を使っていないか、意識しながら触るのがコツです。体験版で見た便利さが、Artistでは再現できないことがあります。
Cubase 16に上げる前に見る動作環境
動作環境は、判断材料になる縛りがはっきりあります。上げる前に、ここだけは先に。
項目 条件 macOS macOS 15(Sequoia)、26(Tahoe)、27(Golden Gate)。macOS 14以前は対象外 Windows Windows 11はバージョン25H2以降、Windows 10はバージョン22H2以降(64bit) RAM 16GB(必須)
macOS 14以前のMacは、OSを15以上に上げられない機種だと16は選べません。16を入れる前にOSの更新が前提です
RAMが16GB未満のパソコンは、無償アップデートの対象でも16の動作環境を満たしません
Cubase 16のFAQ
体験版で作ったプロジェクトは、製品版を買ったあとも続けられる?
続けられます。クレジットカードの登録は不要で、30日が過ぎるとライセンスが無効になるだけ。課金はされません。体験版のライセンスはSteinbergアカウントに付与され、すでに入れている旧バージョンのCubaseのインストールには、基本的に影響しません。
1つのライセンスで、何台のパソコンに入れられる?
最大3台までアクティベートできます。同時に使えるのは1人だけで、使わないパソコンのライセンスは無効にして、別のパソコンへ移せます。インターネット接続が必要なのはアクティベーションのときだけ。ライセンスはSteinberg Licensing(アカウント型)で、USB-eLicenserは不要です。
VST2のプラグインは使える?
VST2は、Cubase 16の公式サポート外です。WindowsとIntel Macでは、VSTプラグインマネージャーでVST2スキャナーを有効にすると読み込める場合があります。Apple siliconネイティブでは読み込めません。VST3を基本に考えておくのが無難です。
まとめ
手持ちのバージョンとエディション、登録日、OS。この4つを並べると、上げる理由があるかどうかが見えてきます。
Cubase 16の商品ページはこちら 。ほかのDAWはDAWの記事一覧 にまとめています。
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