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【ZAK Sound Deep Waters レビュー】77種の「本物の水音」をリバーブに:川・滝・雨・海がトラックに「深みと流れ」をもたらす異色のリバーブ

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  • 「リバーブはいつも同じホール、同じプレートを使っている」
  • 「もっと個性的な空間感を作りたいが、よくあるリバーブでは全部似たような音になってしまう」

——リバーブの「個性の限界」に直面したことはありませんか。ZAK Sound Deep Watersはその問いに対し、全く予想外の答えを提示します。

ZAK Sound Deep Waters

川、滝、雨、海、山の渓流——77種類の「本物の水の音」をコンボルーションリバーブのIR(インパルスレスポンス)として使用することで、「水がもたらす有機的で流れるような空間感」という、既存のどのリバーブとも異なる音響体験を実現します。XYパッドフィルターによるリアルタイムのサウンドデザイン、104の精巧なプリセット、内蔵ディレイ、ランダマイザー——Deep Watersは「リバーブの概念を更新する」という野心的なプラグインです。

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目次

ZAK Sound Deep Watersとは:「水」という音響素材の可能性の発見

「水の音」をリバーブのIRとして使うという発想

通常のコンボルーションリバーブは、実際のホール、教会、スタジオ、部屋、スプリングタンクなどの「音響空間の特性を記録したIR(インパルスレスポンス)データ」を使って、その空間の残響を再現します。

Deep Watersの根本的なアイデアは「本物の空間の反響の代わりに、本物の水の録音をIRとして使ったら、音楽にどんな空間感が生まれるか」という実験的な問いです。川の水が石の上を流れる音、雨粒がアスファルトを叩く音、波が岩礁に砕ける音——これらの「水の物理的な振動データ」を音楽のリバーブのソースとして使うことで、「ホールでもルームでもない、水の流れを想起させる固有の空間感」が生まれます。

ZAK Soundについて:「自然の音の再発見」を使命とするメーカー

ZAK Soundは「自然界の音響素材から革新的なサウンドデザインツールを作る」という独自のコンセプトで知られるプラグインメーカーです。無料のプラグイン「Atmospheres」(Deep Watersの処理エンジンをベースにした没入感のある空間系プラグイン)でDTMコミュニティに知れ渡り、Deep Watersはその「有機的な空間音響」へのアプローチの結晶として位置づけられています。

[!NOTE] コンボルーションリバーブ (Convolution Reverb): 実際の空間(ホール、教会など)にインパルス信号(パルス音)を放射し、その空間の反響特性を記録した「インパルスレスポンス(IR)」データを使って、DAW上でその空間の残響を再現するリバーブの方式。アルゴリズムリバーブ(数学的な計算で残響を生成)とは異なり、「本物の空間の反響」を使うためリアリズムが高い。 インパルスレスポンス (IR: Impulse Response): ある空間や物体に「特定のテスト信号」を入力したとき、その空間・物体がどのように反応するかを記録したデータ。リバーブではホールや部屋の「音の跳ね返り方」をIRとして記録し、これを使って同じ反響を再現します。


77種類の水音IR:「水の百科事典」がもたらす多様な空間感

Deep Watersの核心は77種類の水の録音から取られたIRデータのライブラリです。これらは単に「水の音がする」だけではなく、水の体積・流れの速度・周辺環境によって全く異なる音響特性を持っています:

川(River)

緩やかに流れる小川から、急流まで様々。小川のIRは「さらさら」とした細いテール(残響の尾)を作り、急流のIRは「ざあざあ」とした密なテールとなります。

滝(Waterfall)

垂直に落下する水のエネルギーが作る「轟音的なIR」。高いエネルギーが広い周波数帯に分散するため、「滝のリバーブ」はディフューズ(拡散した)な質感を持ち、アンビエント音楽やドローン(持続音)のテクスチャーに独特の効果をもたらします。

雨(Rain)

霧雨・小雨・激しい豪雨——降水量によってIRのキャラクターは大きく変わります。霧雨のIRは「繊細で短いテール」を生み出し、豪雨のIRは「エネルギッシュで複雑な反射」を作ります。

海(Ocean)

波が岩や砂浜に当たる独特のサウンド。海のIRはゆっくりとした「打ち寄せる感覚」を持ち、音楽に「広大な空間感」を与えます。

山の渓流(Mountain Stream)

岩の多い山岳地帯を流れる澄んだ渓流。石に当たって飛び散る水飛沫の音が、高域に「キラキラとした反射」を生み出すIRとなります。

77種という数字は「どんな音楽に何の水音IRが合うか」を試行錯誤できる豊富さであり、同じ楽曲に「川のリバーブ」と「海のリバーブ」を試し比べることで全く異なる空間演出も楽しめます。

[!NOTE] リバーブテール (Reverb Tail): 音源が止まった後も残り続けるリバーブの残響部分。テールが長いほど「大きな空間感」、短いほど「小さな部屋感」。Deep Watersの水のIRは、水の種類によってテールの長さと密度が大きく変わります。 ディフューズ (Diffuse): リバーブにおいて、反射音が様々な方向から来て「均一に広がる」性質。密なディフュージョンは「豊かで包まれるような」残響感を作ります。


104プリセット:5カテゴリがカバーするサウンドの宇宙

Deep Watersには104種類の精巧なプリセットが用意されており、5つのカテゴリに分類されています:

Atmospheric(アトモスフェリック)

「空気感を演出する」雰囲気型プリセット。アンビエント音楽、映画音楽の静かなシーン、ポストクラシカルなピアノに最適な、浮遊するような質感の残響。

Experimental(エクスペリメンタル)

「通常のリバーブでは絶対に出ない音」を作る実験的なプリセット。水のIRが持つ特殊な周波数特性を前面に出し、「リバーブというよりも別の楽器のような」独自のサウンドテクスチャーを生み出します。アバンギャルドな電子音楽やサウンドアートに。

Huge(ヒュージ)

「果てしなく広大な空間」を作るプリセット。大型の滝や海などの大規模な水音IRを使い、「宇宙空間のような」果てのない残響を演出します。シネマティック音楽のクライマックスや、ドローン系のアンビエントに。

Medium(ミディアム)

「中程度の自然な空間感」を演出するバランス型。ボーカルや楽器にナチュラルに馴染む、実用性の高いプリセット群。特にギター、ピアノ、合唱などのアコースティックな音源への応用が効果的。

Small(スモール)

「小さく「じわっと広がる」繊細な空間感」のプリセット。霧雨や小さな渓流のIRを使い、「素材本来の音色を活かしながら、ごじゅうのかすかな奥行きを加える」控えめな演出が得意。


XYパッドフィルター:「水の流れをリアルタイムに操る」

Deep Watersの最も直感的でダイナミックな操作要素がインタラクティブXYパッドフィルターです。

XYパッドは縦軸と横軸のそれぞれに異なるフィルターパラメーターが割り当てられており、画面上でカーソルを動かすだけで「ウェット(リバーブ)の質感が流れるように変化」します。

  • 横軸(X軸): ハイパスとローパスの組み合わせ、またはフィルターの種類
  • 縦軸(Y軸): フィルターの適用量、またはリバーブのキャラクター

この「マウスの動きがそのまま音の変化」という直感的な操作感は、DAWのライブパフォーマンスやリアルタイムのサウンドデザインセッションで特に威力を発揮します。「水が流れていく」ような滑らかなパラメーター変化が、Deep Watersの「水の音楽」というコンセプトを体験として感じさせます。

[!NOTE] XYパッド (XY Pad): 縦横2軸にそれぞれ異なるパラメーターを割り当て、一つの操作で同時に2つのパラメーターを動かせるインターフェース。シンセサイザーやエフェクトプラグインで広く使われており、「なめらかに2つのパラメーターを同時に動かす」表現が可能です。


詳細なウェット信号コントロール:「残響の形」を精密に彫刻する

XYパッドに加えて、Deep Watersはウェット信号(リバーブ成分の音)に特化して以下の4つのスライダーを搭載しています:

  • Pre-Delay(プリディレイ): ドライ(原音)とウェット(リバーブ)の間に挿入する時間的な「間」。値を大きくすることで「ドライとリバーブの間に空白が生まれ」、楽器の音が前に出た後にリバーブが広がる自然な空間感が生まれます
  • Highpass(ハイパス): リバーブ成分の低域をカット。ウェット信号が「もたつく」問題を解消し、スッキリしたリバーブを実現
  • Lowpass(ローパス): リバーブ成分の高域をカット。「暗くウォームな残響」を作りたい時に有効
  • Fade-Out(フェードアウト): リバーブテールの「終わり方」をコントロール。急に切れるリバーブか、ゆっくりと消えていくリバーブかを設定

これらのコントロールが全てウェット信号だけに適用されることが重要で、ドライ(原音)との分離が保たれたまま精密な残響の形成が可能です。

[!NOTE] ドライ/ウェット (Dry/Wet): エフェクト処理における「元の音(ドライ)」と「エフェクトがかかった音(ウェット)」の割合。Dry100%なら元音のみ、Wet100%ならエフェクトのみ。ミックスではこのバランスで「エフェクトの存在感」を調整します。 プリディレイ (Pre-Delay): 音が鳴ってから(ドライ信号)リバーブが始まるまでの無音時間。コンサートホールでは音が反射して聴こえるまで数ミリ秒〜数十ミリ秒かかります。このプリディレイを設定することで「ドライとリバーブの明確な分離」が生まれ、楽器やボーカルが混濁せずに前に出るミックスが実現します。


内蔵ディレイ:「時間の奥行き」をリバーブに加える

Deep Watersにはウェット信号専用の内蔵ディレイが搭載されています。リバーブとディレイを別々のプラグインで重ねる一般的な構成とは異なり、Deep Watersではリバーブ成分(ウェット)にだけディレイが適用されるため「ドライ(原音)をクリアに保ちながら、リバーブテールだけが繰り返す」という独特の空間感が生まれます。

例えばシンセパッドに適用すると「原音のパッドはすっきり → リバーブが広がる → そのリバーブが繰り返す」という3層構造の空間表現が一つのプラグインで完結します。


ランダマイザー:「予想を超えたサウンド」への扉

Deep Watersにはランダマイザー機能が搭載されており、クリックするたびにランダムなパラメーター組み合わせを生成します。

「何か面白いものを発見したいが、どのパラメーターをどう組み合わせればいいかわからない」という時に、ランダマイザーは「予測外の出発点」を提供します。生成されたランダム設定をそのまま使うこともできますし、「これは面白い!」と感じたものをベースに微調整するという「偶然の発見を起点にする」創造的なワークフローが広がります。


実践活用:Deep Watersが最も効果的に機能するシーン

シーン1:アンビエント・ポストロックの「揺れる空間感」

ギターのアルペジオやピアノのフレーズに川や渓流のIRを適用すると、音符が「水の上を流れていくような」独特の空間感が生まれます。通常のホールリバーブでは出ない「有機的な揺らぎ」がアンビエント音楽の核心的なテクスチャーになります。

シーン2:映画・ゲームの「自然の中のシーン」のサウンドデザイン

川辺、海岸、雨の中のシーンの音楽では「自然の音響空間」を感じさせるリバーブが効果的です。Deep Watersの水音IRを使えば「映像の中の自然がそのまま音楽に反映されるような」シームレスな一体感が生まれます。

シーン3:ボーカルに「霧の中の声」のような神秘感を

霧雨や小さな渓流のIRをボーカルのリバーブとして使うと、「通常のリバーブと違うんだけど、何か不思議な感触がある」という独特の質感のボーカルサウンドが生まれます。ドリームポップ、シューゲイザー、ネオソウルの幻想的なボーカル処理に最適な選択肢です。

シーン4:実験的なサウンドデザイン

XYパッドでリアルタイムにパラメーターを動かしながら録音することで「コントローラーを演奏するように動的に変化するリバーブ」が音楽制作の過程で生まれます。ライブエレクトロニクスやImprovised音楽との親和性も高い使い方です。


結論:ZAK Sound Deep Watersは「リバーブの概念を更新する」一本

ZAK Sound Deep Watersは「水の音をリバーブのIRとして使う」という根本的なアイデアの独自性から始まり、77種のIRライブラリ、104プリセット、XYパッドフィルター、内蔵ディレイ、ランダマイザーという充実した機能で「水が音楽にもたらす有機的な空間感」を徹底的に探求したリバーブプラグインです。

「いつも同じリバーブで満足できない」「自分の音楽に個性的な空間感を持たせたい」「自然の有機的なテクスチャーをサウンドデザインに取り込みたい」——そのどれかに共感するなら、Deep Watersは「答えの場所」として最高の水先案内人になるでしょう。

[!NOTE] ZAK Sound(ザックサウンド): 自然の音響素材を使った革新的なサウンドデザインツールの開発で知られるプラグインメーカー。無料プラグイン「Atmospheres」でDTMコミュニティに広く知られており、「有機的で没入感のある空間音響」をテーマとした製品を展開しています。 ドリームポップ (Dream Pop): 夢のようなぽっ壊れた浮遊感の音楽を特徴とするポップミュージックのサブジャンル。浮遊するようなリバーブ・ディレイの多用、漂うようなボーカル、シューゲイザー的なギターが典型的なサウンド。Cocteau Twins、Beach House、Mazzy Starなどが代表的なアーティスト。

過去セール履歴参照

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櫻井徳右衛門のアバター 櫻井徳右衛門 音楽プロデューサー・ミュージシャン

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VSTレビュー公開記事・触ったDTMプラグインは1,000個以上を超える。
ギタリスト・作曲家でもあり、音楽リスナーであることから聞くのも好きでイヤホン・ヘッドホンも集めはじめる。

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