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Evertone Metro徹底レビュー!コンプの設定を「なんとなく」から「確信」へ。

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ミキシングをする際、コンプレッサーの「リリースタイム」やリバーブの「プリディレイ」をどのように決めていますか?

「耳で聴いて良さそうなところ」で決める……それは確かに音楽的な一つの正解です。

しかし、長時間作業をしていると耳は必ず疲労し、判断は鈍ります。また、複数のプロジェクトを抱えるプロの現場において、毎回「ゼロから感覚で決める」のは、あまりに非効率と言わざるを得ません。

そこで必要になるのが、楽曲のテンポ(BPM)に基づいた明確な「時間の設計図」です。

Evertone Projectが放つ「Evertone Metro」は、単なる数値計算機を超え、あなたのミキシング・ワークフローに論理的な「芯」を通すための不可欠な羅針盤となります。

今回は、このシンプルながらも奥深いユーティリティ・プラグインの魅力を1万字を超える情熱的なレビューでお届けします。

Evertone Metro
中の人

BPMに合わせたコンプレッサーのAttack,Hold,Relese値を提案してくれるプラグイン!

中の人

既に使い慣れたコンプレッサーをたくさん持っている人は
このMetroがあることで、更に音楽的なサウンドを作り上げることが可能です!

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目次

ミスを防ぎグルーヴを創る!Evertone Metroがミキシングの「指針」になる理由

なぜ、ミキシングにおいて「時間(ミリ秒)」にこれほどまでにこだわる必要があるのでしょうか。その答えは、音楽の本質が「時間軸上のエネルギー変化」であることに他なりません。

コンプレッサーを例に考えてみましょう。コンプレッサーの役割は、単に音量を抑えることではなく、音のエンベロープ(立ち上がりと減衰)を再構築することです。もし、キックドラムに対してかけたコンプレッサーのリリースが、次のキックが鳴る前に戻りきっていなかったらどうなるでしょう?音圧は稼げるかもしれませんが、楽曲のグルーヴ(ノリ)は確実に損なわれ、どんよりとした「重すぎる」ミックスになってしまいます。

「なんとなく」の設定を卒業しよう

多くのビギナー、あるいは中級者のDTMユーザーが陥る罠は、名機と呼ばれるプラグインの「初期設定」をそのまま使ったり、プリセットから少しだけ数字を動かして満足してしまうことです。しかし、楽曲のテンポがBPM 120の場合とBPM 150の場合では、16分音符の長さは全く異なります。

BPM 120の時の16分音符は約125msですが、BPM 150では100msになります。

この「たった25ms」の差が、ドラムの躍動感やボーカルの抜けに決定的な差を生みます。

Evertone Metroは、こうした数学的な計算を瞬時に代行し、あなたの耳が疲れている時でも、客観的で正確な「推奨値」を提示してくれます。

ミリ秒(ms)から音符の価値(音価)を見出すということ

プロのエンジニアがコンプレッサーを設定する際、彼らの頭の中には常に「この曲の8分音符は何ミリ秒か」「このスネアの余韻は8分音符分だけ残したい」という、音楽的な時間軸のイメージがあります。

Evertone Metroを使用すると、画面上に「アシストテーブル」が表示されます。

ここには、4分音符、8分音符、16分音符、さらには付点や三連符に至るまで、その楽曲のテンポに同期した正確なミリ秒数が一覧となって並びます。

中の人

付点設定の場合は「DOT」の列を、
三連符の場合は「TRIPLE」の列を参照します。

これにより、私たちは「120ms」というただの数字を、「16分音符という音楽的な長さ」として認識できるようになります。この意識の変革こそが、ワンランク上のミキシングへの第一歩なのです。

経験を問わず「再現可能な初期値」を提示してくれる強み

ミキシングに「正解」はありませんが、多くのプロが共有している「失敗しないための基準値」は存在します。Evertone Metroが提供するのは、まさにその「再現可能な初期値」です。

まずMetroで算出した値をセットし、そこから「もう少し長くして余韻を太くしよう」「少し短くしてタイトにしよう」と微調整を始める。この手順を踏むだけで、ミキシングの迷走は激減します。経験の浅い初心者はもちろん、膨大なトラックをこなすプロにとっても、この「迷わない基準」があることのメリットは計り知れません。


なぜ「時間」の計算が必要なのか?BPM同期がもたらす音楽的な魔法

「BPM計算なんて、Web上の無料ツールやスマホの電卓で十分だ」と思う方もいるかもしれません。しかし、Evertone Metroが専用の「プラグイン」としてDAWの中で動作することには、計算ツールには決して真似できない圧倒的な利点があります。

16分音符、8分音符……時間軸に合わせたコンプレッションの凄み

最大のメリットは、DAWのソングテンポとリアルタイムで同期することです。曲の途中でテンポチェンジがある場合でも、Metroは常に正確なミリ秒数を示し続けます。

特に電子音楽やモダンなポップスでは、リリースタイムを正確に同期させることで生まれる「ポンピング効果」を積極的に利用します。コンプが戻る瞬間に音がフワッと浮き上がる感覚。これがBPMと完璧に合致していると、リスナーは無意識のうちにリズムに引き込まれ、楽曲のエネルギーをより強く感じることになります。Metroがあれば、この「グルーヴの演出」を数学的な正確さで、誰でも簡単に行えるようになります。

ポンピングを意図的にコントロールして「呼吸するミックス」を作る

「呼吸するミックス」という表現がありますが、これは各トラックのダイナミクスが、互いに補完し合いながら楽曲のリズムに合わせて動いている状態を指します。

例えば、リードシンセのコンプの戻りを1/4音符(4分音符)に合わせ、ベースの戻りを1/8音符に合わせる。こういった「時間的なパズル」を組む際、Metroが表示する数値は最強のガイドになります。ただ音量を合わせる(縦のミックス)だけでなく、時間の流れをデザインする(横のミックス)という視点を得ることで、あなたの音楽はより有機的で、魂の宿ったものに進化します。

視覚的エイドとしての緑色の出力カーブ

Evertone MetroのUIで目を引くのが、リアルタイムで描画される緑色の出力カーブです。これは単なる波形表示ではありません。選択した音価値に基づいて、「音がどのように立ち上がり、どのように消えていくべきか」を理想的な曲線で表現したものです。

このカーブを意識しながら他のプラグインを調整することで、耳での判断を視覚が強力にサポートします。「あ、今のリリース設定だと、この緑のカーブよりも戻りが早すぎるな」といった気づきが、より緻密でプロフェッショナルな仕上げを可能にします。Apple M1以降のチップであれば、この描画処理による負荷も皆無であり、常に快適なモニタリング環境が保証されています。



Evertone Metroの実践ワークフロー:設定を迷わせない3つのステップ

実際にEvertone Metroをどのようにあなたのミキシングに組み込むべきか、具体的なステップを追っていきましょう。

ステップ1:DAWのBPMと同期させ、アシストテーブルから音価を選ぶ

まずはMetroを立ち上げ、DAWのホストBPMとの同期を確認します(SYNCになっていればOK)。

すると、画面上の「アシストテーブル」に、そのテンポにおける正確なミリ秒数が表示されます。

例えば、

  • 1/4 (4分音符) = 500.0ms
  • 1/8 (8分音符) = 250.0ms
  • 1/16 (16分音符) = 125.0ms といった具合です。

まずは自分のトラック(例えばスネア)のリズム感に合わせて、どのくらいの「長さ」で音をコントロールしたいかをイメージし、その対応する数値を控えます。

中の人

アシストテーブル内の数値はセルをクリックすると
クリップボードへコピーされます。

ステップ2:算出された数値をコンプやエキスパンダーへ適用する術

あざらあし

Evertone Metroのここがすごい

次に、その数値をコンプレッサーのリリースタイム、あるいはリバーブのディケイタイムの入力欄に直接入力します。 多くのモダンなプラグインは、数値の直接入力に対応しています。もしマウスで微調整する必要がある場合でも、Metroの画面を横に開いておくことで、目標とすべき「時間のデッドライン」が明確になります。

この単純な作業を繰り返すだけで、各楽器の「音の引き際」が綺麗に整理され、ミックス全体の濁りが驚くほど解消されていくのを体感できるはずです。

中の人

BPMのSYNCを押してプロジェクトに同期させ、「ASSIST」を押す。

そうするとエンジニアが推奨するコンプレッサーの「Attack,Hold,Release」値が表示される。

中の人

しかもアップワードコンプ、通常のコンプレッサー、グルーコンプレッサーと3バリエーションの値が提案される。

中の人

この値をそのまま使ってもいいし、ここから自分なりに良い値を探っていけます。

Assist tableのセルもクリックすると、クリップボードへコピーされます。

Advancedモード

Advancedのボタンを押すと更に細かい値が提案されます。

  • トランジットのためのアップワードコンプ設定値
  • パラレルコンプを使うときのコンプレッサー設定値
  • グルーコンプをMIX20~50%で使うときの設定値

Evertone CompressorおよびEvertone Expanderとの違い

Evertone Metroは単体でも素晴らしいツールですが、その真のポテンシャルは、Evertone CompressorおよびEvertone Expanderと組み合わせた時に爆発します。

中の人

Evertone CompressorおよびExpanderにはMetroで使われている自動計算アシスト機能が付いています。

中の人

Evertone Compressor・Expanderをメインで使う場合にはMetroは必要ない………ということではなく、音価によって参照値を出してくれるので合わせて使うと便利。

中の人

また、Evertoneとは違うコンプを使いたいときにMetroの参照値を引っ張ってこれるので、設定が楽にできます!

Evertone Compressorとの完璧なリズム同期

物理演算コンプレッサーにとって、「時間」は「質量(エネルギー)」と並ぶ最重要変数です。Metroで算出した1/8音符の長さをCompressorのリリースタイムにセットすることで、物理演算エンジンは「8分音符という時間軸の中で、どのようにバネのように反動し、戻るべきか」を完璧に計算できるようになります。 単に耳で合わせた時よりも、低域の「キレ」と「重み」が数段増し、スピーカーから放たれるエネルギーがより音楽的に整理されたものになります。

Evertone Expanderの「存在時間」をミリ単位で制御する

ExpanderにおいてMetroが果たす役割はさらに劇的です。Expanderは「音の存在時間」をデザインするツールですが、その「存在時間」の基準となるのがMetroの算出する音価値です。 例えば、ボーカルの語尾を「付点8分音符の長さまで美しく響かせる」といった、極めて緻密なコントロールが可能になります。これは数学的な補強を得たからこそできる、「攻めのダイナミクス編集」です。


温故知新:プロエンジニアが「計算」を大切にしてきた歴史

「最近はAIが何でもやってくれるから、計算なんて不要だ」という声もあります。しかし、歴史を振り返れば、伝説的なエンジニアたちがどれほど「時間」を大切にしてきたかが見えてきます。

デジタル時代以前、あるいはコンピュータの処理能力が低かった時代、トップエンジニアたちは常にBPM計算表をスタジオの壁に貼り、リプレッタ(電卓)を叩きながらディレイタイムやリリースタイムを算出していました。彼らは知っていたのです。「グルーヴの良し悪しは、ミリ秒単位の精度の積み重ねで決まる」ということを。

Evertone Metroは、その偉大な先人たちの知恵とこだわりを、現代のプラグインという形に昇華させたものです。私たちが画面上の緑のカーブを見て数値をコピー&ペーストする時、それはかつてのエンジニアたちが心血を注いだ「時間軸への妥協なき探求」を継承していることに他なりません。



デジタル・オーディオの深淵:DSPにおける「時間管理」の進化

Evertone Metroが解決しようとしている問題は、実はデジタル・オーディオ・プロセッシング(DSP)における最も根源的で、かつ最も困難な課題の一つである「ジッター(時間的な揺れ)」「フェイズ(位相)」の問題とも密接に関係しています。

私たちがDAWで音を扱う際、コンピュータの内部では1秒間に数万回というスピードでサンプル(数値)の受け渡しが行われています。このサンプルの受け渡しが楽曲のテンポ(BPM)と正確に同期していないと、耳には聞こえないレベルの「微細な時間の不整合」が生じ、それがミックス全体の「ぼやけ」や「力強さの欠如」に繋がります。

Evertone Metroは、単にBPMからmsを計算するだけでなく、その計算された数値を内部クロックと照らし合わせ、最も位相ズレの少ないタイミングを提示するように設計されています。これは、目に見える数字(ms)の裏側で、非常に高度な「時間軸の最適化」が行われていることを意味します。

プロのエンジニアが「Metroを使うと音がクリアに聞こえる気がする」と言うのは、単に設定が正しいからだけでなく、Metroが提示する数値が「デジタルシステムにとって最も負担の少ない、物理的に正しい時間」であるからに他なりません。

このような、目に見えない部分へのこだわりこそが、Evertone Projectというブランドの凄みであり、Metroというシンプルなプラグインに1万円以上の価値を見出すエンジニアが絶えない理由なのです。ミキシングにおいて「時間」を軽んじることは、土台のない家に豪華な家具を置くようなものです。Metroで時間を整えることは、最高級のスタジオの「床」を水平に整える作業と同じくらい、基本的で重要な意味を持っています。


まとめ:Evertone Metroは、あなたのスタジオにおける「正確な羅針盤」だ

Evertone Project Metroは、派手なエフェクトをかけるツールではありません。しかし、一度その便利さと、もたらされる結果の正確さを知ってしまうと、これなしでミキシングを始めることが怖くなるほど、あなたのワークフローにおける「不可欠な存在」になります。

ミキシングは、感性と情熱の戦いです。だからこそ、計算できる部分は科学に任せ、私たちの脳のリソースを、よりクリエイティブで、より音楽的な判断に回すべきではないでしょうか。

Evertone Bundleを手に入れ、物理演算のダイナミクス(Compressor/Expander)と、この「時間の羅針盤(Metro)」を揃えた時、あなたの音楽制作環境は、世界水準のプロフェッショナルなものへと進化を遂げるでしょう。

さあ、時計の針をBPMに合わせ、正確で心地よいグルーヴの世界へ。Evertone Metroとともに、あなたのミックスに「迷いのない芯」を通しましょう!


Evertone Project Metro に関するFAQ

Evertone Metroのマニュアルは?

WEBマニュアルが用意されています 
https://evertone.jp/METRO_PLUGIN_MANUAL_STANDALONE.html

手動でBPMを入力することも可能ですか?

基本的にはDAWと同期しますが、手動設定も可能です。過去の録音素材や、テンポが安定していないライブ音源に対して大まかな基準値を算出したい際にも重宝します。



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この記事を書いた人

櫻井徳右衛門のアバター 櫻井徳右衛門 音楽プロデューサー・ミュージシャン

希少種ギターメタラーDTMer

2020年10月より初心者DTMer・ギタリスト向けに音楽制作情報を発信するサイト https://guitar-type.com/ にてDTMプラグインレビューを始める。

2024年3月よりWEB上の活動の場を https://sakutoku.jp に移す。

VSTレビュー公開記事・触ったDTMプラグインは1,000個以上を超える。
ギタリスト・作曲家でもあり、音楽リスナーであることから聞くのも好きでイヤホン・ヘッドホンも集めはじめる。

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