ピアノ音源を選ぶとき、意外と悩ましいのが「きれいなグランドピアノだけで足りるのか?」という問題です。
クラシックやジャズなら、立派なグランドピアノが欲しい。
ポップスの歌モノなら、少し前に出るスタジオ向けのピアノが欲しい。
シネマティックやLo-Fi寄りの曲なら、フェルトピアノやトイピアノのような空気感が欲しい。
ピアノ音源は1本買って終わりに見えて、実際には曲調によって欲しい質感がかなり変わります。
そこで候補に入れたいのが、Rolandの EARTH Piano。
Rolandが長年積み重ねてきたピアノ技術を、ソフトウェア音源としてまとめた製品です。

セール情報・価格
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Roland EARTH Pianoとは
EARTH Pianoは、Rolandのピアノサウンド技術をソフトウェア音源としてまとめたバーチャルインストゥルメントです。
Rolandは1973年に電子ピアノEP-10をリリースして以降、デジタルピアノ、シンセサイザー、V-Piano系のモデリング技術まで、長くピアノサウンドを作り続けてきたメーカーです。
EARTH Pianoでは、詳細なマルチサンプリングとRoland独自のモデリング技術を組み合わせ、演奏時の反応、共鳴、ノイズ、空間まで調整できる構成になっています。
単純な「サンプルを鳴らすだけのピアノ音源」ではなく、ピアノ音を曲に合わせて作り込むための音源。
個人的には、グランドピアノ専用音源というより、制作向けピアノ総合音源として見るほうがしっくり来ます。
7種類のピアノタイプを収録
EARTH Pianoには、7種類のピアノタイプが入っています。
- Classic Grand
- Session Grand
- Artist Grand
- All Silver
- Natural Upright
- Natural Felt Upright
- Toy Piano
Classic Grandは、ヨーロピアンスタイルの大きくクリアなグランドピアノ。
Session Grandは、V-Piano Grandをベースにしたバランス型。
Artist Grandは、ジャズやインスト系に合いやすいアメリカンスタイル。
All Silverは、すべて銀弦だったらどう鳴るかをイメージしたファンタジーモデル。
Natural Uprightは、現代的なポップスや歌モノで使いやすいアップライト。
Natural Felt Uprightは、フェルトを挟んだ柔らかい質感。
Toy Pianoは、可愛い方向にも不穏なシネマティック方向にも使える小さなピアノです。
ラインナップを見ると、クラシック専用ではありません。
ポップス、劇伴、アンビエント、Lo-Fi、シネマティック、インディー系まで想定した作りです。
ピアノ音源で重要なのは「種類」より「曲に置けるか」
ピアノ音源は、単体で弾くと良く聞こえる製品が多いです。
ただ、曲に入れると急に難しくなる。
低域が大きすぎる。
高域のアタックが目立ちすぎる。
リバーブが曲の奥行きと合わない。
機械ノイズが足りず、リアルさが薄い。
逆にノイズが多すぎて、ミックスで邪魔になる。
ピアノは音域が広く、倍音も多く、サステインも長い楽器です。
良い音であるほど、アレンジの中で場所を取ります。
EARTH Pianoが面白いのは、音色の種類だけでなく、共鳴やノイズ、空間、エフェクトまでプラグイン内で詰められる点です。
共鳴を細かく調整できる
アコースティックピアノらしさは、打鍵音だけでは決まりません。
弦の共鳴。
キャビネットの鳴り。
鍵盤を離したときの余韻。
ペダル操作の反応。
複数の弦が共振する複雑な響き。
EARTH Pianoでは、ストリング、キャビネット、キーオフ、シンパセティックレゾナンスといった要素を調整できます。
ピアノ音源でありがちな「音はきれいだけど、楽器の胴鳴りが見えない」感じを避けやすいのはかなり便利。
静かな曲では共鳴を少し増やす。
バンドアレンジでは共鳴を整理して、音の輪郭を前に出す。
映画音楽風のピアノでは、ペダル感や余韻を残して空気を作る。
同じピアノタイプでも、共鳴量で曲への馴染み方がかなり変わります。
キーオフノイズとペダルノイズを調整できる
ピアノ音源で地味に大事なのが、機械的なノイズです。
ハンマーが戻る音。
鍵盤を離したときの音。
ペダルを踏む音。
録音されたピアノには、演奏以外の小さな音が必ず含まれます。
ノイズを完全に消すと、ピアノ音が清潔になりすぎることがあります。
反対に、ノイズを出しすぎると、歌やギターの隙間で気になりやすい。
EARTH Pianoでは、キーオフノイズとペダルノイズを調整可能です。
Lo-Fi、アンビエント、シネマティック系ではノイズを少し残すと近さが出ます。
ポップスの伴奏なら、ノイズを控えめにしてミックスの邪魔を減らす。
ピアノを「演奏された楽器」として聴かせたい場面では、ノイズ調整がかなり効きます。
1音ごとの調整までできる
EARTH Pianoには、8種類の調律法に加えて、各キーごとのチューニング、音量、キャラクター調整があります。
かなり細かいです。
普通に曲を作るだけなら、全キーを細かく触る必要はありません。
ただ、特定の音だけ出すぎる、特定の音だけ曲の中で浮く、低域の数音だけ重い、という場面はピアノ音源では普通に起きます。
EQで全体を削る前に、鍵盤ごとの音量やキャラクターを調整できるのは助かります。
特にソロピアノや、ピアノが主役のBGMでは便利。
ピアノ音源をミックスで整える前に、楽器内部でバランスを取れるからです。
Venueで空間を選べる
EARTH Pianoには、Venueという空間シミュレーターが入っています。
コンボリューション技術を使い、9種類の実空間由来の響きを選べる機能です。
広い大聖堂。
コンサートホール。
スタジオ。
ラウンジ系の空間。
ピアノ音色だけでなく、鳴っている場所までプラグイン内で決められます。
ピアノはリバーブ選びが難しい楽器です。
広すぎるとボーカルやストリングスとぶつかる。
狭すぎると高級感が出ない。
EARTH PianoのVenueは、ピアノ音と空間をまとめて作る入口として使いやすいです。
一般的なミックス用リバーブも使えますが、まずVenueで方向性を決めてから外部リバーブで整える流れが使いやすいです。
EQ、コンプ、90以上のマルチエフェクト
EARTH Pianoは、ピアノ音源としての基本部分だけでなく、内蔵エフェクトもかなり多いです。
- 3バンドEQ
- FET / Optical / VCAモードを持つコンプレッサー
- Venue空間シミュレーター
- アルゴリズムリバーブ
- ZENOLOGY FX由来の90以上のマルチエフェクトプリセット
ピアノ音源に豊富なエフェクトが入っていると、普通のリアル系ピアノだけでなく、サウンドデザイン寄りにも使えます。
モジュレーション。
ディレイ。
フィルター。
ビットクラッシャー。
ピッチシフター。
ルーパー系。
アンビエントやLo-Fiでピアノを崩したい人にはかなり面白い部分です。
普通のピアノ音源として買っても良いですが、個人的には「加工前提のピアノ素材」として見ると購入理由が強くなります。
100以上のプリセット
EARTH Pianoには、クラシック、ジャズ、ロック、アンビエントまでをカバーする100以上のプリセットが用意されています。
ピアノ音源はプリセット選びが地味に大事です。
グランドピアノ名だけを見ても、曲に合う音かどうかは分かりにくい。
プリセットが用途別に用意されていると、作曲中に試しやすいです。
曲作りの途中で、細かい調整に入りすぎると手が止まります。
まずプリセットで方向性を決める。
必要なら共鳴、ノイズ、Venue、EQ、コンプで詰める。
EARTH Pianoは、作曲の速度を落とさずにピアノ音を作れるタイプです。
EARTH Pianoのメリット
- 7種類のピアノタイプを1本で扱える
- グランド、アップライト、フェルト、トイピアノまで幅広い
- Rolandのマルチサンプリングとモデリング技術を組み合わせている
- 共鳴、キーオフ、ペダルノイズを調整できる
- 各キーごとのチューニング、音量、キャラクター調整に対応
- Venueで空間ごと作れる
- EQ、コンプ、90以上のマルチエフェクトが内蔵されている
- アンビエント、Lo-Fi、シネマティック用途にも使いやすい
EARTH Pianoのデメリット
- 超大容量の専用グランドピアノ音源と比べると、単一モデルの深掘り目的では方向性が違う
- クラシック専用の細かいマイクポジション操作を求める人には向かない可能性がある
- Roland Cloud Manager経由の導入が必要
- ピアノタイプやエフェクトが多いため、最初は方向性を決めないと迷いやすい
どんな人に向いている?
EARTH Pianoは、ピアノを曲作りの中でよく使う人に向いています。
特に合うのは、次のタイプです。
- ポップス、BGM、劇伴でピアノを頻繁に使う人
- グランドだけでなく、アップライトやフェルトピアノも欲しい人
- ピアノにノイズや空気感を足したい人
- アンビエントやLo-Fiでピアノを加工したい人
- Roland系の音が好きな人
- ピアノ音源を複数買う前に、幅広い質感を1本で押さえたい人
反対に、クラシックピアノの細密なマイクコントロール、膨大な奏法切り替え、ホール録音のリアルさだけを求めるなら、専用大型ピアノ音源のほうが合う可能性があります。
EARTH Pianoは、制作現場で動かしやすいピアノ音源です。
まとめ
Roland EARTH Pianoは、グランドピアノ専用の超特化音源ではありません。
Classic Grand、Session Grand、Artist Grand、All Silver、Natural Upright、Natural Felt Upright、Toy Pianoをまとめて扱い、共鳴、ノイズ、空間、エフェクトまで作り込める制作向けピアノ音源です。
ピアノを主役にする。
歌の後ろに馴染ませる。
フェルトピアノで近さを出す。
トイピアノで不思議な空気を作る。
アンビエント用にエフェクトで崩す。
用途が広いです。
──きれいなピアノ音だけではなく、曲に置けるピアノ音が欲しい人にはかなり便利。
ピアノ音源を1本で幅広く使いたいなら、EARTH Pianoは候補に入れておきたい製品です。
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